ガーディアンズの監督として2013年から11シーズン
現地2023年10月3日、クリーブランド・ガーディアンズは監督のテリー・フランコーナが今季をもって退任することになったと発表しました。
テリー・フランコーナ監督の退任は健康上の問題からすでに予想されていたことではありましたが、改めて区切りをつけられるとやはり寂しいものがあります。2013年にクリーブランドの監督に就任して以来、2023シーズンまで計11シーズン、ガーディアンズ(旧インディアンス)に貢献しました。
監督としてのキャリアにも終止符
今回のガーディアンズの監督の退任は同時に監督としてのキャリアに終止符を打つことにもなりそうです。
テリー・フランコーナは現時点でまだ64才。
これまで監督して輝かしい実績を残してきました。
フランコーナの監督としてのキャリアは、1997年のフィリーズの監督からスタート。フィリーズでは2000年までの4シーズンで勝率.500を超えることはありませんでした。1976年から1983年までコンテンダーであり続けたフィリーズは1980年代後半から1990年初頭まで低迷。1993年に地区優勝をし、ワールドシリーズに進出したことはありましたが、その後もすぐに低迷。強かった時代の反動を受け続けた時期でした。フランコーナーの時代はそこから抜け出す期間で、この後のラリー・ボーワ、チャーリー・マニュエル時代の基礎を作ったと言っても過言ではありません。
【BOS】バンビーノの呪いを解いた時の監督
その後、2004年にレッドソックスの監督に就任。ここで監督としての本領を発揮しました。
レッドソックス初年度に98勝64敗をマーク。101勝を上げたヤンキースと競り合い、惜しくも地区優勝は逃がしましたが、ALDSでエンゼルスをスウィープ。
そしてヤンキースとのALCSでは3連敗の後、4戦目も9回表で3-4と1点をリードされる展開。スウィープされる危機が迫る中、9回裏に現ドジャース監督のデーブ・ロバーツの決死の盗塁でチャンスをこじ開け、ビル・ミューラーのタイムリーで土壇場で4-4の同点に。そして延長12回裏にデービッド・オルティズのサヨナラHRで6-4で勝利。その後は先日お亡くなりになったティム・ウェイクフィールドがGm5で勝利投手になるなど、3連敗の後に4連勝してワールドシリーズに進出。ワールドシリーズではカージナルスをスウィープ。1918年以来のワールドシリーズ制覇を成し遂げ、「バンビーノの呪い」を解いたのでした。
松坂、岡島
さらにフランコーナは2007年にもレッドソックスをワールドシリーズ・チャンプに導きました。この年は、松坂投手が15勝、ジョシュ・ベケットが20勝、ティム・ウェイクフィールドが17勝を上げた凄まじいローテーションがいたシーズンです。岡島投手もブルペンで66試合を投げ、ERA 2.22。ペドロイア、オルティズ、バリテック、マイク・ローウェル、マニー・ラミレスらがいた時代でした。
レッドソックスでは8シーズンで744勝552敗で勝率.574。この期間の最低勝利数が2006年の85。それ以外の7シーズンはいずれも90勝以上をマークしたというとんでもない勝率の監督でもありました。
その後、2012年は一旦現場から離れました。
ガーディアンズ時代(旧インディアンス)
2013年にガーディアンズの監督となったフランコーナは、就任初年度に92勝を上げ、ワイルドカードでポストシーズンに進出。この時はレイズに敗れました。
そして2016年から2018年までALセントラルを3連覇。2016年のポストシーズンではアンドリュー・ミラーが鬼のように活躍。それを実現させたものフランコーナの起用で、この年はカブスとのワールドシリーズで死闘の末(Gm6まで)敗れはしたものの、オフシーズンにはリリーバーの価値がグンと上がることに。
その翌年の2017シーズンでは、22連勝を達成。2002年のアスレチックスの『マネー・ボール』シーズンの20連勝を抜く快挙。
2018シーズン後、インディアンスはリビルドに入り、かなりの戦力ダウンとなったにもかかわらず、盤石の投手陣でコンテンダーであり続け、2019年から2021年は3シーズン連続2位。ついには2022年に地区優勝までやってのけました。
ガーディアンズでは3度の地区優勝、6度のプレーオフ進出を果たしました。
満身創痍
まだMLBの監督としてやっていけそうな年齢のテリー・フランコーナですが、ここ数年体調が悪いのはご承知のとおりです。
中でも重たかったのでは胃と血栓の問題で、ICUに収容されたこともありました。短縮シーズンとなった2020年は60試合中46試合を欠場。2021年には、股関節置換手術と足の指の縫合手術のため、さらに63試合を欠場。血栓の問題はくすぶり続け、監督キャリアの初期には心臓の問題もありました。
監督勇退が決まった現在、すでに近日中に、右肩に人工関節を入れ手術が予定されており、ヘルニアの手術も受ける予定です。
本当に満身創痍としか言いようのない程、激しく体力を消耗しておりました。
MOYを3度
健康面の懸念があったことから、契約は1年延長の2023年までとなっていました。
監督しての実績をまとめますと、通算23年のキャリアで1950勝1672敗で勝率は.538。クリーブランド時代に、2013年、2016年、2022年と3度もALMOY(最優秀監督賞)を受賞。2017年には2位。
MOYに関しては、レッドソックス時代には4度にわたってトップ5入りを記録。なお、MOYを3度以上受賞した監督は史上9人しかおらず、テリー・フランコーナはそのうちの1人です。
スクーターに乗って球場入りする姿はMLBファンの間では有名です。
これから上述のように大きな手術が予定されていますが、孫と遊べるのを楽しみにしているようです。
お疲れ様でした。
“Tito”
テリー・フランコーナは”Tito”の愛称で親しまれていますが、これはお父さんのTito Franconaから来た愛称です。お父さんは1956年から1970年までMLBでプレー。インディアンスなどで15シーズンを過ごしました。通算1395安打を放っています。
お読みいただき、ありがとうございました。
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