メッツ、事実上”売り”へ
現地2023年7月27日、メッツが事実上、優勝争いから降りる決断をしたと見ていいディールを敢行。クローザーのデービッド・ロバートソンを地区内ライバルのマイアミ・マーリンズへトレードすることを発表しました。
これにより、メッツはこのトレード・デッドラインで「売り」の体制となることが明らかに。リビルドのような状態にはならならいまでも、他に複数のディールが成立する見込みです。トミー・ファム(1年/ $6M) 、カルロス・カラスコ(2023年オプション行使済み)、マーク・カナ(2024年のクラブオプションあり)など、オフにFAとなる選手たちも今後出て行く可能性が高いです。
トレード概要
まずは概要を見て行くと、1ベテラン・クローザーに対して2プロスペクトという構図です。しかもこのプロスペクト達はまだ10代。
マーリンズGet
- デービッド・ロバートソン(David Robetson/38)RHP
メッツGet
- マルコ・バルガス(Marco Vargas/18)INF/右投げ左打ち/メキシコ出身
- ロナルド・ヘルナンデス(Ronald Hernandez/19)C&DH/右投げスイッチ
マット・バーンズが60 Day IL
なお、マーリンズはデービッド・ロバートソンのスペースを空けるため、ブルペンのマット・バーンズを60 Day ILに入れました。マット・バーンズは去る2023年7月25日に左股関節大腿骨寛骨臼インピンジメント修復手術を受けたところで、復帰は2024年のスプリング・トレーニングです。こちらの症状は股関節の関節唇や関節軟骨の損傷というのがあらましです。
エドウィン・ディアスの代わりにCLに
デービッド・ロバートソンがメッツとサインしたのは、2022年12月8日。当初はゲーム後半の試合運びに選択肢が増やせるようにという目的のサインでした。地区ライバルのフィリーズとの契約を早めに潰しておくという目論見があったかどうかは定かではありません。
ところが、現地2023年3月15日に行われたWBCの1次ラウンドPool Dで準々決勝進出をかけたプエルトリコ@ドミニカ共和国戦で、プエルトリコが5-2のスコアで勝利した後のセレブレーションでエドウィン・ディアスがまさかの大怪我。結果は右ひざ膝蓋腱の断裂でシーズン・エンディングとなったのでした。
メッツのフロント・オフィスは丁寧な対応を見せましたが、正直頭を抱えたと思います。
あの時、兄の怪我が悔しくて泣いていた弟のアレクシス・ディアスが今やレッズのクローザーとして地区優勝を目指そうかというポジションにいるというのも不思議なものです。
デービッド・ロバートソンはそのようにしてメッツのクローザーに指名されました。
好成績の2023
今季のデービッド・ロバートソンのクローザーとしての成績は非常に良いと見て良いと思います。
40試合に登板し、そのうち締めの機会が26試合で4勝2敗14セーブでERAは2.05。メッツは2022年に101勝を上げましたが、今季はここまで48勝ですから、ロバートソンのセーブ数もそれに伴った数字となっています。
セーブ数は少ないものの、内容が良く、右打者(打率.213)、左打者(打率.185)ともに圧倒。安定感があります。
38才、MLB15シーズン目でほぼリリーフオンリー61勝38敗、336ゲーム・フィニッシュ、171セーブのベテランは2022シーズンもトレード・デッドラインでカブスからフィリーズへ移籍。ポストシーズンでも活躍しました。ワールドシリーズでは4試合でERA 0.00。
2年連続でポストシーズンへの手助けを要請された形となっております。
なお、デービッド・ロバートソンの今季の契約は1/$10Mでしたが、残り期間分が$3.5Mほど残っています。どうやらこれは全額マイアミが引き取るようです。本来のトレードの形ですね。
マーリンズ、WCスポットを掴みに行く!
現地2023年7月27日を終えた時点でマーリンズの成績は55勝48敗。地区のタイトルはすでに64勝を上げているブレーブスが勝ち取るのは濃厚。ワイルドカード枠を狙いに行きます。
これがジャイアンツ、フィリーズ、レッズ、Dバックス、マーリンズと熾烈な争いを繰り広げています。現時点でマーリンズは3枠に入っていませんが、数試合後には入れ替わりもある状況。
【WCスポット争い】(現地2023年7月27日終了時点)
- SFG:56-47
- PHI: 55-47
- CIN: 56-48
- AZ : 55-48
- MIA: 55-48
ホルヘ・ロペスもすでに獲得
マーリンズはここまで左腕のA.J.パックがクローザーを務めてきましたが、今後はデービッド・ロバートソンがゲームを締める機会が増えそうです。マイアミには左腕のタナー・スコットもおり、パックとともに終盤の厳しい場面での左打者対策で2人を起用する選択肢も増え、ゲーム後半にゆとりが出てきました。
さらに、マーリンズは27日にツインズからホルヘ・ロペスを獲得。ディラン・フローロとのトレードを成立させています。ますますゲーム終盤に安定感をもたらすのは必至という状況となりました。
マーリンズは短縮シーズンの2020年にポストシーズンに進出しましたが、それを除けば162試合シーズンでポストシーズンに進むのはワールドシリーズチャンプとなった2003年以来のこととなります。
それにしてもシーズン開始前にマーリンズがメッツから「買う」ような状況になるとは。本当にわからないものです。
キム・アングGMはポジション・プレーヤーも狙っているようです。CWSのティム・アンダーソンやWSHのジェイマー・キャンデラリオの名前が上がっています。
メッツが獲得したプロスペクト
マルコ・バルガス(18)はメキシコ出身の左打ち内野手。今季はルーキーリーグで33試合に出場し、.283/.457/.442。SO 22に対し、BBが38。現時点では長打よりアベレージというところですが、非常に評価の高い選手です。
ロナルド・ヘルナンデス(19)は、ベネズエラ出身のスイッチヒッターの捕手。今季はルーキーリグで31試合で.298/.464/.452のをマーク。打撃の評価が高い捕手です。
二人ともまだまだこれからですが、非常に良い素材であることは間違いありません。忘れた頃にあの時のトレードの!ということになりそうな2人です。
メッツの贅沢税
現時点でメッツの贅沢税上のサラリーは基準値の$233Mに対してすでに$382.6Mで、$149.6M超えと異次元の額となっています。
予想税額はなんと$110M。もはやそれだけでマイアミのサラリーを超えるかもしれません。
これからサラリーを減らすことで、多少の税額の減額を試みることになると思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
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