ノーヒッター・アラートが点灯するも・・・
今日はちょっと切ないゲームのお話を。と言ってもロイヤルズは勝つには勝ったのですが、あまりに先発のブレイディー・シンガーが可哀想というお話です。
現地2023年8月14日、カウフマン・スタジアムで行われたマリナーズ@ロイヤルズ戦は、ロイヤルズ先発のブレイディー・シンガーが素晴らしい投球を披露!ゲーム速報ではノーヒッター・アラートが点灯するほど、彼の投球はヒートアップしていました。
今季のブレイディー・シンガー
今季のブレイディー・シンガーは春先にWBCのUSA代表にロスターインしましたので、かなり早い時期から仕上げてきていました。ただ、WBCでは1試合2.0イニングのみの登板で終わっています。4失点しましたので、登板機会が無くなりました。
シーズンが始まり、今季初登板の4月3日のトロント戦では、5.0 IPで2ヒッター、1失点で勝利投手となり、非常によい滑り出しを見せました。
ところが、4月はそれ以降は大量失点が続き、ラフ・スタートなり、4月のERAは8.49。その後も非常に良い日と悪い日の両極端な登板が続き、このゲーム前までは8勝8敗、ERA 5.05。
今季はここまでX/H%が悪化
2022年のQS%(Quality Start %)は、57.2%を誇ったブレイディー・シンガーですが、今季はここまで35%と低下。ちなみに2022年は10勝5敗、ERA 3.23です。
ブレイディー・シンガーが今季、特に悪くなっているのは、エクストラベース・ヒット・レート(X/H%)。これは打たれたヒットのうち、エクストラベース・ヒットがどれだけあるか?という比率ですが、過去3年は26-27%前後だったものが41%にアップ。長打を打たれることが多くなっています。
またBB%が前年の5.6%から7.2%にもアップしていることから、ランナーを貯めては長打を打たれる確率が高まっているということに。
今季は4シームを投げず、ファストボールはシンカーのみです。このシンカーのアベレージ・ベロシティーが93.8mphから92.3mphに下がっているのも大きな要因かと思います。これは2021年に肩の炎症を起こした影響があるのかもしれません。
なお、2022年にリストリクティッド・リストに入っていますが、これはカナダ遠征の際のワクチン未接種からくるリスト入りです。
7.2イニングまでNO-NO
さて、この日のブレイディー・シンガーの投球ですが、とにかく低めを丁寧にという投球。シンカーと高速スライダーが非常に切れており、マリナーズ打線に全くと言っていいほど、付け入る隙を与えませんでした。
あれよあれよという間に、ノーヒットのままイニングは進み、出塁は5回表にケイド・マーローに与えた四球のみ。6回を終え、ついにノーヒッター・アラートが点灯しました。
迎えた7回表、エウヘニオ・スアレスとカル・ラレーを2者連続三振に斬って取ったブレイディー・シンガー。ノーヒッターが現実味を帯びてきました。
しかし、2アウトから、ドミニク・カンツォーネを打席に迎え、スライダーがインローの甘めに入ったところをRFに弾き返され、ここでノーヒッターは終了。7.2イニングまで継続という素晴らしい投球でした。
その後、8回表もマウンドに上がったブレイディー・シンガーでしたが、1アウトからマイク・フォードに二塁打、ディラン・ムーアに死球を与えたところでお役御免に。
ブレイディー・シンガーは7.1イニング、106球で被安打2、失点2、BB 1、SO8という内容でした。失点に関しては後述します。
B・シンガー降板時は5-0でKCがリード
ロイヤルズ打線はリズムの良いブレイディー・シンガーの投球に呼応するかのように、序盤から爆発。1回表は、マリナーズ先発のローガン・ギルバートの立ち上がりを捉え、サルバドール・ペレスが3ランHRで先制。
ボビー・ウィットのランニングHR
さらに5回裏にはボビー・ウィット・Jr.のインサイド・パークHRが飛び出して、追加点。6回裏にも押し出しで1点を追加するなど、ブレイディー・シンガー降板時には5−0と試合を支配します。
カルロス・ヘルナンデスが3連打
ブレイディー・シンガー降板後、リレーされたのはカルロス・ヘルナンデス。カルロス・ヘルナンデスはブレイディー・シンガーの出した2人のランナーをきっちり返してしまいます。まず、ジョシュ・ロハスにシングルを打たれて満塁とされた後、フリオ・ロドリゲスに走者一掃のタイムリー・ダブルを打たれて3-5に。さらに、フリオには盗塁を決められ、スコアリング・ポジションにランナーを置いた状況で、エウヘニオ・スアレスにタイムリー・シングルで4-5。この3連打で一気に1点差ゲームにされてしまいます。カル・ラレーとドミニク・カンツォーネは2者連続三振に。
そして9回表、ロイヤルズはオースティン・コックスをマウンドに送りましたが、1アウトを奪うも、四球を2つ出したところで、ニック・ウィットグレンにスイッチ。ニック・ウィットグレンは2アウト目まで奪いましたが、この後、まさかの2者連続タイムリーでついにマリナーズに6-5と逆転を許してしまいます。
KC、スクイズでサヨナラ
しかし、ロイヤルズはさすがに負けられないと思ったようで、9回裏、マット・ブラッシュからボビー・ウィットとマイケル・マッシーが連続シングルを放ち、ノーアウト1、3塁とチャンスメイク。
ここでサルバドール・ペレスが犠牲フライを放って6-6の同点に。そして1アウトランナー3塁となったところで、ロイヤルズが採った作戦はスクイズでした。打席のダイロン・ブランコが初球をきれいに転がし、これで代走で出ていた3塁ランナーのサマド・テイラーがホームイン。確実にサヨナラを取りに行った作戦が見事に当たりました。
これはセイフティー・スクイズでした。
これでロイヤルズは7-6で勝ちました。
しかし、ブレイディー・シンガーは5点リードで降板してまさかひっくり返されるとは思わなかったでしょうね。力投も虚しく、勝ち星がつきませんでした。ちょっとかわいそうな投球でした。
ブルペンが弱いロイヤルズの弱点がもろに出てしまったゲームでもありました。
お読みいただき、ありがとうございました。
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