吉田選手の前半戦振り返り
現地2023年7月12日、MLBは束の間の休憩中です。9日に前半戦が終わった大半のクラブの選手は14日スタートの後半戦に向け、中4日の休みとなっています。シーズン中は連休というものがありませんから、この休みは嬉しいでしょうね。英気を養って後半戦に備えてもらえれば良いなと思います。
さて、レッドソックスの吉田正尚選手の前半戦について振り返っておきたいと思います。
期待通りの活躍!
吉田選手に関しては、「もう期待通りの活躍」この一言に尽きますね。
学生時代からバリー・ボンズのスイングを研究していたという吉田選手は今季、念願叶ってメジャー入り。
ボストン・レッドソックスが、ポスティング受理わずか1日で吉田選手を獲得。この前半戦の活躍で、レッドソックスのスカウトの評価も上がっております。
契約内容
実際、吉田選手の2023年のサラリーは$15M。サイニング・ボーナスを入れて、$18x5年という内容で、オリックスへのリリース・フィーも入れればレッドソックスが支払うのは$105.375M。
- 5 年/$90M (2023-27)
- サイニング・ボーナス:$3M
- $15M (2023)、$18M /年(2024-2027)
- オリックスへのリリース・フィー: $15.375M
WBC参戦をうまく活かす
今春行われたWBCでは、前年にオリックスが日本一になったこともあり、吉田選手も参戦。結果はご承知の通りです。
2009年のWBCで侍ジャパンはイチロー選手の神の一打で世界一を獲ったわけですが、その大会で大きく活躍したのは青木選手。青木選手抜きには2009年の世界一はあり得ませんでした。
2023年のWBCでその青木選手の役割を担ったのが、吉田選手でした。どれだけ良いところで打点を上げてくれたか!という活躍でしたね。
その吉田選手は、メジャーへのファースト・イヤーということもあり、栗山監督もメンバー入りをお願いするかどうか悩んだと言います。しかし、吉田選手抜きの侍ジャパン打線も考えられなかったことから、当然オファー。
吉田選手には断る選択肢もありました。WBCは公式戦ですから、激しいプレーとなり、春先に頑張りすぎて、足に致命的な大怪我を負うことも考えられました。メジャー1年目ゆえクラブ内での関係づくりもこれからというタイミングでしたし、とにかくリスクを孕んだ選択であったと思います。
しかし、吉田選手はNPBでの経験も活かし、プロとしての体力的な面はクリアー。侍ジャパンに合流する前には短期間ではあったものの、レッドソックスのスプリング・トレーニングにも参加。
なかなか一筋縄には行かなかったと思いますが、結果的にWBCに参戦して各国の一流どころの投手と真剣勝負で対戦出来たことが何よりもメジャーへ慣れる大きな滑り出しになったのではないでしょうか?
それに大谷選手やダルビッシュ投手と話す機会が出来たのも大きかったでしょうね。
特にメキシコ、アメリカとの対戦はスプリング・トレーニングに残って実践を積む以上の経験を得られたのではないかと思います。
5月に爆発
WBCで一躍評価を上げた吉田選手がメジャーで結果を出すのは至極当然のことのように思えました。
WBCに備えた調整や、メジャーへの慣れも含めた吉田選手の3月、4月の成績は、23試合に先発し、87-24で打率.276、OBP .373、SLG .460、OPS .832、HR 4,RBI 16、BB 12、SO 11。
まずは慣れることを優先したと思いますが、それでもOBPが.373と高いものでした。そして1月が経過し、吉田選手はさらなる結果を出すことに。
5月は24試合に先発出場し、96-34、打率.354、OBP .410、SLG .552、OPS .962、HR 3、RBI 15、二塁打 8、BB 8、SO 10。一気に数字を上げてきました。
【YOUTUBE】Masataka Yoshida continues to CRUSH! He has another great month and iss becoming a STAR!
6月に入り、春先からの疲れが出て来る頃で、さすがに少しダウンしました。それでも25試合中、23試合に先発出場し、93-25、打率.269、OBP .333、SLG .409、OPS .742、HR 2、RBI 9、BB 7、SO 14と平均以上の数字をマーク。
7月にさらに猛打炸裂中
そして体調も整い始めた7月。吉田選手はアンリーシュ状態となり、オールスター前の6試合で猛打炸裂中です。25-12、打率.480、OBP .500、SLG .680、OPS 1.180、HR 1、RBI 4、BB 0、SO 1、二塁打2となっています。
6月30日から続くマルチ安打は7試合連続となっており、非常に良い状態でオールスター・ブレイクを迎えたのでした。
前半戦の成績
MLBの規定打席=所属球団の試合数 × 3.1で、レッドソックスは前半戦で91試合を消化。現時点で282のPA(Plate Appearance)が必要となり、吉田選手のPAは335ですでに超えており、BA(打率)などのランキングに入ります。
G | PA | AB | BA | OBP | SLG | OPS | RBI | HR | 2B | BB | SO | SB |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
78 | 335 | 301 | .316 | .382 | .492 | .874 | 44 | 10 | 19 | 27 | 36 | 6 |
もともとNPBにいる時から、豪快なHRとともにBAとOBPにはかなりの定評がありましたが、MLBでもご覧のランクです。さすがですね!
RANK | BA | OBP | SLG | OPS | RBI |
---|---|---|---|---|---|
AL | 3位 | 4位 | 14位 | 4位 | 23位 |
MLB | 6位 | 11位 | 32位 | 13位 | 44位 |
打率はア・リーグ3位の数字。MLBで言っても6位。ちなみに今季はマーリンズのルイス・アラエズが.383というとんでもない数字を残していますが、MLBで.300を超えているのはたった12人。この中に余裕で入っている吉田選手の凄さです。
なお、レッドソックスのコーラ監督は吉田選手を大絶賛。打撃の確かさはともかく、数字に表れにくい走塁や守備でのカバーリング、送球なども高く評価しており、6盗塁もしているという事実が現場での指揮に大きなオプションを与えているとのことです。ヒットで吉田選手が出塁すれば、エンドランも出しやすいということですね。
ストーリーにはゆっくりとしたリハビリを求めるレベル
今季のレッドソックスはトレバー・ストーリーがトミージョン手術となり、SSを代役で賄っている状態。
キケ・ヘルナンデスのSSでの身のこなしは実に見事なのですが、前半戦は1塁へのスローイング・エラーが目立ち、SSでは使いにくい状況ではあります。キケはCFだとディフェンス力が格段にアップ。内野なら2Bに置きたいところです。
ストーリーが復帰したとして、肘の故障ゆえ当初はDHでの起用となり、ジャスティン・ターナー、吉田選手の枠が使えなくなります。ジャスティン・ターナーの本職は3Bですが、デバースがいるため、1BもしくはDHでの起用。
OFはRFのアレックス・ベルドゥーゴは外すことが出来ず、CFにアダム・デュバルも置いておきたいところ。そうなるとLFで吉田選手と今季大当たりのジャレン・デュランが重複し、ともに当たっているだけにロスが発生します。
トリストン・カサスも1Bで使って成長の機会を与えたいところです。となると、ストーリーは守備につかなければかなりのロスが発生してしまいます。
オールスター明けからストーリーはマイナーでのリハビリに入ることになっていますが、もはやゆっくりリハビリすることを要請するくらいの攻撃陣となっています(たぶん、そのような要請はしないとは思いますが)。
吉田選手は現地2023年7月15日で、30才の誕生日を迎えます。節目の年齢となりますが、吉田選手の力はまだまだこれから。
ますます息を吐くように安打を出し続けてくれるでしょう。
お読みいただき、ありがとうございました。
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