トレード候補トップ需要だった右腕はBALに
アメリカ時間でも2月に突入。ピッチャー&キャッチャーのスプリング・トレーニングで早いところでは2週間程度で始まってしましますが、そんな中、なかなかの大型トレードが成立。
オフシーズン開始当初からトレード候補の筆頭として名前の上がっていたブルワーズのコービン・バーンズのディールが決定。なんと、オリオールズにトレードとなりました。
トレード概要
このトレードはエース1に対して、トップ・プロスペクト2という関係で成立。
オリオールズGet
- コービン・バーンズ(Corbin Burnes/29 ) RHP
ブルワーズGet
- ジョーイ・オルティズ(Joey Ortiz/25)INF/右投げ右打ち
- DL・ホール(DL Hall/25)LHP
背景
オリオールズはプロスペクトが豊富
先日発表になったPre-2024のトップ・プロスペクト・ランク100において6名もランクインしたオリオールズは文字通りプロスペクトの宝庫であります。Pre-2022のアドレー・ラッチマン、Pre-2023のガナー・ヘンダーソンら世代を担う選手が毎年のように目白押しの状態。
そのほとんどはポジション・プレーヤーでもありました。
懸念は2023年に15勝を上げたカイル・ギブソンがFAで離脱したこと(すでにカージナルスと契約)。さすがにこの穴は大きく、豊富なプロスペクトとの交換で強力な先発ローテーションを補強する噂は立っていました。
FA前の選手を放出:MIL
一方、ブルワーズはと言えば、サラリー削減のためFA前の選手を放出するのはもはやデフォルトとなっているようなクラブ。直近で言えば、ジョシュ・ヘイダーがそうであり、優勝のコンテンダーでありながら、トレード・デッドラインでパドレスに放出したのはご承知の通りです。
さらに、2023年11月には肩の手術で2024年はほぼ全休に近い予定のブランドン・ウッドラフをノンテンダーにしております。ブランドン・ウッドラフはMLSが5.161で2024年は調停のファイナル・イヤーで2023年のサラリーは$10.8Mでした。
このような状況ゆえ、コービン・バーンズは今オフの最初からトレード候補として名前が上がっていました。
複数の候補が上がっていたと思いますが、ブルワーズとしては、交換するプロスペクトが最も魅力的だったのがオリオールズだったということでしょう。
1年限りの契約か?
気になるのはコービン・バーンズの2024年終了後の去就。2024年1月時点でMLSが5.049となったコービン・バーンズは2024シーズン終了後にFA資格を有することになります。
2024年にこれまでの活躍を見せれば、マルチイヤーで$100Mは間違いないところであり、情報によっては8年/$200M~$250Mのメガ・ディールになるととも見れています。
本人は市場に出たい意向
コービン・バーンズ自身も、FA市場に出て自分の価値を確かめたいとも明言しており、その点においては、投手と野手の違いはありますが、ムーキー・ベッツも同じような状況で市場に出たいと考え、結果、トレードでドジャースに移籍し、2020年7月に12 年/$365M (2021-32)のメガ・ディールをゲットしました。
オーナー変更により、長期契約なるか?
これまでのオリオールズなら、ブルワーズと同じで選手が望もうが望むまいが、サラリー高騰を抑制する方向で動いていたことでしょう。
ところが、現地2024年1月30日に現オーナー・グループのアンゲロス・ファミリーがクラブ売却を決定。プライベート・エクイティ・ファンドのカーライル・グループのデイビッド・ルーベンスタインとアレス・マネジメント・コーポレーションのマイク・アロウゲティという2人のプライベート・エクイティ・ファンド・グループと合意に至りました。
新オーナーは要はメッツのスティーブ・コーエンのような巨万の富を得ているファンド・グループです。
経営がガラリと変わるので、コービン・バーンズに契約延長をオファーする可能性も十二分にあります。これは後々の動向が楽しみなお話です。
今、活躍しているアドレー・ラッチマン、ガナー・ヘンダーソン、そして今季デビュー予定のジャクソン・ホリデーらもFA資格近辺になった時に囲い込む可能性が大きくなってきました。
【BAL】コービン・バーンズとは
選手紹介です。コービン・バーンズはMLBを代表するご承知のように右腕の1人でもあります。1994年10月22日生まれの29才。FA資格取得時には30才となります。
ドラフトは2016年のブルワーズの4巡目指名。
デビューは2年後の2018年で、23才の時です。デビュー・イヤーはリリーバーとして30試合に登板し、7勝0敗でERAが2.61と素晴らしい成績を残しました。
2年目の2019年は開幕当初は先発ローテーションとしてシーズンINしたものの、4月の4先発で17.2イニングを投げ、被安打30、ER 21、被本塁打11と大いに打ち込まれ、0勝2敗、ERA 10.70となり、ローテーションが外れリリーバーに戻りました。このシーズンは序盤の数字が影響し、ERA 8.82。1年目とは大違いのシーズンに。
2020年から別人
短縮シーズンとなった2020年、コービン・バーンズは先発に復帰。そして別人になりました。先発9試合を含む12試合に登板し、59.2イニングを投げて4勝1敗、ERA 2.11、88 SOをマーク。サイ・ヤング賞投票では6位に入る活躍を見せました。武器のカットボールが冴えだしたのはこのシーズンからでした。
圧巻の2021年
2021年はコービン・バーンズが数々の際立った投球を披露したシーズンでした。
- 34.0 IP連続無四球(4/3から5/13の途中まで6試合に亘り)
- 無四球継続中に奪三振58(達成時:MLBレコード)(直後にゲリット・コールにより、0 BB/61 SOで更新されました)
- 10者連続SO (8/11カブス戦)
- 8回、99球、15 SOをマーク (8/11カブス戦)
- ジョシュ・ヘイダーとのコンバインドNO-NOを達成(9/11 ガーディアンズ戦)
- サイ・ヤング賞受賞
- NL ERAタイトル( 2.43)
- SO : NL3位(234)
- SO9: NL 1位(12.611)
- HR9最少: NL1位(0.377)
2022年
2022年はNL最多の33試合に登板し、202.0イニングを投げて12勝8敗、ERA 2.94の好成績をマーク。リーグ最多の243奪三振、さらに2年連続でオールスターに出場し、サイ・ヤング賞の投票でも7位に。
2023年
シーズン前、コービン・バーンズは年俸調停に突入し敗れました。$10.75Mを求めたのに対し、結果は$10.1M。両者の差は比較的小さかったのですが、クラブ側が2022年にポストシーズンを逃した主な理由はバーンズの成績にあるとしたのが納得出来なかったようです。筆者もジョシュ・ヘイダーのトレードが原因だと思います。
しかし、シーズン入ってからは7月に6試合に先発して39.0 IPで4勝1敗、ERA 1.85、47 SOをマーク。被安打はたったの15です。これにより、自身初のNL POMを受賞しました。
さらに、9月10日のヤンキース戦では、8回までノーヒッター投球を披露。9回を任されたデビン・ウィリアムスもそのままノーヒッターを継続。しかし、ゲームは延長13回までもつれて、ブルワーズは敗戦。2度目のNO-NO達成はならずという惜しいゲームがありました。
2023年は32先発、193.2IP で10勝8敗、ERA 3.39。シーズンを通じた被安打はわずか141でした。BB 66 、SO 200。WHIPではNLトップで、NLサイ・ヤング賞投票では8位に。ただ、ポストシーズンでは10月3日のDバックスとのNLWCシリーズのGame1に先発し、4回4失点で3-6のスコアで敗戦投手となりました。
【MIL】ジョーイ・オルティズとは
ジョーイ・オルティズは、1998年7月14日生まれの25才。右投げ右打ちの内野手です。ドラフトは、2019年のオリオールズの4巡目指名。
2023年4月27日にすでにデビュー済みですが、2024年はまだルーキー・ステータスです。
2023年は15試合で、.212/.206/.242、HR 0でまだまだこれからの選手。2023年のトリプルAでの成績は、.321/.378/.507、HR 9、二塁打 30、RBI 58と本来は安打を量産するタイプで、Pre-2024のプロスペクト・ランクでは63位に入っています。ジャクソン・ホリデーの昇格が待ったなしの今シーズン、内野はプロスペクトでひしめき合っていますので、トレードの対象となったというところです。
【MIL】DL・ホール
DL・ホールは、1998年9月19日生まれの25才。LHPです。ドラフトは2017年のオリオールズの1巡目指名。
すでにデビュー済みで、2022年8月13日に投げました。2024年はまだルーキー・ステータス。Pre-2022のプロスペクト・ランクでは97位に入りましたが、Pre-2024ではランク外。
2023年のMLBでの成績は18試合に登板し、19.1 IPで3勝0敗、ERA 3.26、SO 23と好投。レンジャーズとのALDSでは2度登板し、3.1 IPで無失点、被安打1、BB 1に抑えています。
BALのローテーション
【YOUTUBE】Corbin Burnes TRADED to Orioles! (Reaction/Breakdown of the move!)
コービン・バーンズが加入したことで、ブルワーズの2024年のローテーションはご覧の布陣に。
- コービン・バーンズ
- カイル・ブラデッシュ
- グレイソン・ロドリゲス
- ジョン・ミーンズ
- ディーン・クレマー
- タイラー・ウェルズ
ジョン・ミーンズはトミー・ジョン手術から復帰後初のフルシーズンとなります。
お読みいただき、ありがとうございました。
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