メッツにはアクーニャの弟が動くことに
現地2023年7月29日、レンジャーズのクリス・ヤングGMがなかなか仕事を頑張っています。
メッツからマックス・シャーザーを獲得しました。
同地区のアストロズからの追い上げを食らっているレンジャーズは、ローテーション投手の補強が急務。
ここ数日はホワイトソックスのランス・リン、メッツのマックス・シャーザー、ジャスティン・バーランダー(そのどちらか、あるいは両方!)、カージナルスのジャック・フラハーティー、ジョーダン・モンゴメリー、そしてエンゼルスの大谷選手、タイガースのE・ロッドなど各クラブのエース級の名前が噂として上がっていました。
このうち、ランス・リンはドジャースに獲られてしまいましたので、メッツのスーパー右腕のどちらかになるか?と思われましたが、マックス・シャーザーに決まりました。
トレード概要
このディールで動く2人を一応、整理しておきます。
レンジャーズGet
- マックス・シャーザー(Max Scherzer/39)RHP / サイ・ヤング賞3度
メッツGet
- ルーイーズアンヘル・アクーニャ※(Luisangel Acuña/ 21)SS/右投げ右打ち/ 173cm
- ※表記は今後変わるかもしれません。発音からすると「ルーイーゼンヘル、あるいはルーイーザンヘル」の方が良いかもしれません。
ブレーブスのロナルド・アクーニャ・Jr. の弟です。
シャーザーの2023年の成績
2013年7月27日の誕生日で39才になったばかりのマックス・シャーザーは、ここまで19先発で、107.2イニングを投げ、9勝4敗、ERA 4.01。これまで30%を超えていたSO%は27.4%に下がり、HR%が5.2%に上がりました。HR9 1.9はこれまでにない高さです。高いと言っても過去の実績と比べればの話しで、他の投手と比較するとやはりとても良い数字です。
現時点で被HR数23は確かに多いのですが、それでも9勝4敗にまとめているのがシャーザーたる所以です。
今季はステイッキー・スタッフの問題で10日のサスペンションを科されたこともありましたが、まだまだボールは強いです。
シャーザーのメガディール
シャーザーせよ、バーランダーせよネックなのが$43.33M/年のサラリー。この問題をどうクリアーするのか興味深かったのですが、今回のディールを見ると、レンジャーズのクリス・ヤングGMがかなり頑張ったと言っていいと思います。失ったものも大きいのですが・・・。
シャーザーの契約
マックス・シャーザーの現契約は2021年11月30日にサインした以下の内容です。
- 3年/$130M (2022-24)
- $43.33M / 年 x 3年
- アウォード・ボーナス
- $0.1M (オールスター出場、 LCS MVP)
- $0.15M (WS MVP)
- $0.2M (サイ・ヤング、リーグMVP)
- $0.15M (サイ・ヤング、リーグMVP2位)
- $0.05M (サイ・ヤング、リーグMVP3位)
- 2023年終了後にオプトアウト可
- フル・ノートレード条項
フル・ノートレード条項を解除
まず今回のトレード成立の前に、一切のトレードには応じないというフル・ノートレード条項を解除しています。ここが解除できないと話しが進まないので。
(トレード前)シャーザーは「オプトアウトは行使しない」
2022年から始まったこの契約は今季で2年め。そして2023年終了後に契約を撤回してFAとして他のクラブとサインできるオプトアウト条項が入っていました。
トレード前、マックス・シャーザーは「FAになるつもりはない。来年もメッツで争う道が見える」と語っていました。つまり、オプトアウトするつもりはないという意思です。メッツが「Seller」の方針を決める前にフロントオフィスと話し、その後、Sellerの方針を確認して「がっかりだった」との感想を述べておりました。
また、下記に記載しますが、レンジャーズは2024年もシャーザーをロックすることを約束したと伝えられています。つまりは2024年のサラリーも保証するということです。
TEXとNYMのサラリーの交渉
このトレードで最も難しいトピックだったのがサラリーの問題。通常であれば、トレードで獲得したクラブがその契約内容を引き継ぎますが、シャーザーとメッツの契約はあまりに巨額。
残り1年半(実際はもう少し短いですが)で下記のような残債があります。表の右側の通り、$58M。
済み($71.3M) | 未払い($58M) |
---|---|
2022 $43.33M | – |
2023 約$28M (ここまで) | 2023 約$15M (残り=$14.9M) |
– | 2024 $43.3M |
今回の交渉で決着したのは、下記の通りです。
- 2023年の残債約$15Mはメッツが持つということ
- 2024年のサラリー$43.3Mは、下記の通り按分するということ
- メッツが$20.833M
- レンジャーズが$22.5M
メッツのメリットは?
この内容だけを見ると、メッツのどこにメリットがあるのだ?ということになると思いますが、3年/$130Mが、3年/$107.5Mとなり、AAVは$35.8Mに抑えられ、これだけでも贅沢税上のサラリーは抑えられ、算出される税額も少なくなります。
そしてその代わりと言ってはなんですが、超有望なアクーニャの弟をもらったということになります。
レンジャーズ側からすれば、少しでもメッツに負担してもらうために、アクーニャの弟を差し出したと、言葉は悪いですが、図式とすればそうなります。
【メッツ】ルーイーズアンヘル・アクーニャ
先にメッツが獲得したルーイーズアンヘル・アクーニャについて書いておきます。
アトランタ・ブレーブスのスーパースター、ロナルド・アクーニャJr.の弟で、21歳のSS。
2018年にベネズエラアマチュアFAでサイン。2019年、17才でドミニカ・サマーリーグでプロデビュー。パンデミック明けの2021年にクラスAに昇格し、.266/.345/.404、12HRをマーク。
2022年にハイAで開幕を迎え、ダブルAに昇格。ダブルAでは.224/.302/. 349、3HR。秋にはアリゾナ・フォール・リーグにも参加。
2023年はダブルAで84試合に出場し、362-114、.315/ .377/ .453、7HR 、51 RBI、42 SBをマーク。ベースボール・アメリカは現在、87位にランクしています。メッツはリンドーアがまだまだ健在なので、そう遠くない未来に2Bとしてメジャーに上がってくるかもしれません。
先発ローテーションを補強したいTEX
前後しますが、トレードの背景としてはレンジャーズは先発投手を補強したいといのがあります。ご承知の通り、ジェイコブ・デグロムはトミー・ジョン手術でシーズンエンディング。戻ってきても来季途中のお話。さらにジェイク・オドリッチも肩の手術でシーズンエンディングです。
現在は、ネイサン・イオバルディを軸に、ジョン・グレイ、マーティン・ペレス、アンドリュー・ヒーニー、そしてデイン・ダニングで回している状況。
ちょっと気になるのがネイトがここに来て先発を一度スキップしたことです。明らかなベロシティー・ダウンが見られ、一旦は休ませて様子見をするということになっていますが、大事にならなければ良いということと、ひょっとしてシャーザー獲得の背景にはその辺も絡んでいないのか?というのが心配なところです。これは杞憂に終わってくれれば良いなと思います。
レンジャーズは現地2023年7月29日終了時点で60勝45敗で、ALウエスト首位ですが、アストロズに1ゲーム差に詰め寄られています。
もうシャーザーの参戦は待ったなしという状況。
さらに3位のエンゼルスもかなりアグレッシブにアップグレードをしています。
レンジャーズがポストシーズンに進出することになれば2016年以来のこと。コリー・シーガーやマーカス・セミエンを獲得し、攻撃力を増強させここまではうまく回っています。コーリー・シーガーは怪我で8月序盤まで出られず、さらにジョナ・ハイムも2−3週間の離脱を余儀なくされ、ここが踏ん張りどころです。すでに獲得したアロルディス・チャップマンを出せる状況にするべく先発投手の補強です。
レンジャーズにはジャック・ライターというトップ・プロスペクトもおり、未来は明るいです。前倒しで今季、結果を出したいところでもあります。
メッツはさらに放出予定
現地8月1日のトレード・デッドラインまであとわずか。メッツすでにデービッド・ロバートソン、マックス・シャーザーを放出。これからまだトミー・ファムやカルロス・カラスコ、マーク・カナ、ブルックス・レイリーなども噂に上っています。
まだ出すでしょうね。
そして、バーランダーも噂に上がっている点は注目です。バーランダーは今季、契約を結んだばかりで、単価はシャーザーと同じ$43.3M。これが2024年まで続きます。2025年は条件付き$35Mのオプション。フル・ノートレード条項ありです。
果たしてバーランダーも動くのか?注目です。
お読みいただき、ありがとうございました。
コメント