Dバックス、クローザー補強で巻き返しへ
現地2023年7月31日、直近10試合で2勝8敗と苦戦しているアリゾナ・ダイヤモンドバックス(以下、Dバックス)がトレード・デッドラインを目前に大きく動きました。
マリナーズのクローザー、ポール・セワルドを獲得です!
今季、Dバックスは4月半ばから首位争いを演じ、6月にはドジャースを抑えて首位に。エースのザック・ギャレン、ルーキーのコービン・キャロルを中心に見事な戦いぶりを見せていました。
しかし、オールスター後にその勢いは徐々に収まりを見せ、ついにはジャイアンツにも追い上げをくらい、現時点ではナ・リーグ西地区3位。プレーオフ予想からも外れてしまう状況に。
とはいえ、ワイルドカードの3枠目からはまだ1.0ゲームしか離れておらず、ポストシーズンを目指すべく、テコ入れに着手しようとしています。
トレード概要
では今回のトレード概要を。今回動くのは計4名。1:3の図式となります。
DバックスGet
- ポール・セワルド(Paul Sewald/33) RHP
マリナーズGet
- ジョシュ・ロハス(Josh Rojas/29)3B/2B or OF/右投げ左打ち
- ドミニク・カンツォーネ(Dominic Canzone/25※)OF or DH/右投げ左打ち/2019年8巡目指名
- ※2023/8/16の誕生日で26才になります。
- ライアン・ブリス(Ryan Bliss/23) SS, 2B or RHP/右投げ右打ち/ 2021年2巡目指名
ポール・セワルドとは
ポール・セワルドは1990年5月26日生まれの33才。2012年のメッツの10巡目指名でプロ入り。
デビューは2017年でメッツ時代。この時、27才でのビッグリーグ・デビューでした。2020年までメッツに在籍し、4シーズンで125試合に登板し、147.1 IPで1勝14敗、3セーブ、ERA 5.50。
2020年オフにノンテンダーFAとなり、2021年1月にマリナーズとサイン。現在はクローザーとして確固たる地位を築いているセワルドですが、この時はマイナー・ディールです。
マリナーズ移籍後はフル稼働。ゲーム最高のリリーバーの一人としてブレイクしました。2021年は62試合に登板して、10勝3敗、11セーブでERAは3.06。2022年は65試合で5勝4敗、20セーブでERAは2.67。2023年もここまで45試合に登板して、3勝1敗でERAは2.93。
ブルペンとしてフル稼働していたので、投手の主要成績では目立った数字を残せていませんが、このトレードデッドラインではブルペンのトップアームの一人として評価されていました。
腕の角度が低いゆえにファストボールの平均ベロシティーは92-93mphというところですが、平均以上のスピンがあるため、手元で伸び、そのギャップに面食らう打者が続出。それが高い空振り率にもつながり、過去3シーズン、いずれも30%以上のSO%をマーク。2021年に至っては39.4%です。
フライボール・ピッチャーで過去3シーズンのHR%の3.7%でリーグ平均をやや超えるところ。しかし、安定した成績とタフな登板数が彼の評価をグンと押し上げています。
Dバックスの背景
Dバックスは今季、アンドリュー・チェイフィン、ミゲル・カストロ、スコット・マクガフをFAで獲得。その効果もあり、上述のようにオールスター前には先発が作ったゲームをものに出来ていました。クローザーは主にマクガフが担っていましたが、絶対的な存在感でもなかったため、今回のセワルド獲得でより後ろを強化したというところ。
マリナーズは売り?
一方、マリナーズは現時点で54勝51敗で、ALワイルドカード争いでは4.5ゲーム差。少し前を走るエンゼルスがアグレッシブに編成を整えていく中、ここまで特に動きはありませんでした。
今ひとつ態度がはっきりしない中での今回のクローザー放出です。ということはもうポストシーズンを諦めたのか?というとそうでもなく、どうやらブルペンには強みがあり、実際、マリナーズのリリーバーのERAは4位で、SO%はアストロズを離しているくらい力があります。
アンドレ・ムニョスやマット・ブラッシュが機能していれば、その強いところから戦力を削っても・・・という判断があったと思われます。
マリナーズの今季の苦戦は明らかに打線。ではクローザーを出して良い打者を獲得したのか?というと、YESという答えになりそうです。ただし、エンゼルスがテコ入れしているようなすぐその場で打点やヒットを期待するという類の補強ではありません。
マリーズが獲得した選手
マリーズは求めていたレベルのセンスのある打者を獲得したのは間違いないです。ここで「求めていた」という項目の中には当然サラリーと数年はコントロール下に置けるという計算も入ります。才能と契約のバランス。
今回獲得した3選手は即戦力が1人、残る2人はかなりの短期間でゲームにインパクトを与える選手に化けるかも!という見立て。
ジョシュ・ロハスとは?
ジョシュ・ロハス(29歳)は即戦力として期待する選手。もともと2019年のTDLでザック・グレインキが動いたトレードでアストロズからDバックスへ移籍。
Dバックスでは2021年から22年にかけて264試合、1060 PAを経験。2年間で .266/.345/.401をマーク。20 HRで100 RBI。
内野守備は特に高い評価を受けたことはないものの、内野全体やOFのコーナー・スポットなどを殉難にこなせます。
今季は苦戦を強いられ、打率.228/.292/.296、シーズンのHRはありません。10%を超えていたBB%は8.3%まで下がり、三振は23.6%と悪化。エバン・ロンゴリアのIL入りがなければ、今季はメジャーでプレーを続けていたかどうかわからない成績ですが、ただ、上述の通り、2021-2022は非常に良い活躍を見せました。
マリナーズでは2B/3Bと柔軟に起用されるのではないか?と思います。
正直、プロスペクトとのセットでDバックスから提示されたのか?とも思います。多少の期待感もありますので。
セワルドの今季のサラリーは$4.1M。残りは$1.37Mほど。これはDバックスが引き受けます。
ジョシュ・ロハスのサラリーは$2.6Mでシーズン終了まで残り約$0.86M。Dバックスはこのうち$0.5Mを引き受けるようです。マリナースは少し軽くなりましたね。
ドミニク・カンツォーネとは?
ドミニク・カンツォーネは25才のOF。ほぼRFに限定される今季デビューのOFです。
マイナーでの成績はすごいです。2023年はトリプルAで .354/.431/ .634、HR16、RBIは71。2022年はダブルA、トリプルAを併せて.300/ .367/ .541、22 HR、89 RBI。
今季のMLBでの成績は、15試合で.237/ .293/ .368。メジャーの変化球に対応中というところですが、もともとは非常にセンスがあるので、慣れればかなりの打者になるかと。
ライアン・ブリスとは?
オーバーン大出身、2021年2巡目指名。今季はダブルAで.358/.414/.594と活躍。フューチャーズ・ゲームにも出ました。ベースボール アメリカは彼をDバックスのプロスペクトランクで16 位にランクしています。
身長が5’6″。メディアによっては5’9”となっていて、どちらが正解かわかりませんが、身長が低いのは間違いなく、5’6″なら168cmです。5’9″なら175cmほど。
二刀流の登録ですが、プロとしての登板はまだありません。SS/2B/3Bとして見て良いと思います。いい選手だと思います。
Dバックスはローテーションも模索しているようです。TDLまで残りわずか。どうなるか楽しみですね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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