そろそろ動き出しそうな今季のTDL
現地2023年7月24日、8月1日のトレードデッドラインまで残りあと1週間強となりました。今季は大谷選手の動向を巡ってか、様子見が続いており動きが鈍いです。当のエンゼルスがコンテンダーとなるべくロッキーズからマイク・ムスターカスを、メッツからエドゥアルド・エスコバーを獲得したのは1ヶ月前の現地2023年6月23日、24日のこと。
そこから目立った動きはなかったのですが、ブレーブスが動きました。ロッキーズからピアース・ジョンソンを獲得です!
トレード概要
今回のトレードで動くの以下の3選手。いずれも右腕です。
ブレーブスGet
- ピアース・ジョンソン(Pierce Johnson/32)RHP
ロッキーズGet
- ビクター・ヴォドニク(Victor Vodnik/23)RHP/2018年18巡目
- タナー・ゴードン(Tanner Gordon/25) RHP/ 2019年6巡目
今季のピアース・ジョンソン
契約内容
ピアース・ジョンソンは2022年12月にロッキーズと1年/$5M (2023)でサイン。この契約にはパフォーマンス・ボーナスがついていて、40、 50、 60登板ごとに$0.25Mずつ支払われるというもの。アウォード・ボーナスもついていますが、現実的なところはリリーバー・オブ・ザ・イヤーで$0.1Mというもの。
今季のピアース・ジョンソンは43試合に登板。すでに$0.25Mは達成。50試合も目前ですから、さらに$0.25Mは増えそうです。
ロッキーズは24日時点で162試合中100試合を消化。このトレードでブレーブスは$5Mのサラリーのうち、残り期間分の$1.854Mあまりを支払うことになっています。内容を引き継いだというところです。
なお、ピアース・ジョンソンはもともとは2012年のカブスの1巡目指名の投手。2017年に、26才でカブスでメジャー・デビュー。2018年にはジャイアンツで1年投げました。2019年、阪神タイガースでERA 1.38の素晴らしい数字を出し、2020年にパドレスと契約。パドレスには2022年まで在籍。3シーズンで102試合に登板して、ERAは3.39。
MLSは2023年1月時点で3.137で、FAにはまだ時間がありますが、海外リーグを経た選手は、一般的に通常のサービスタイム規定を回避できるような文言を契約に盛り込みます。ピアース・ジョンソンも例に漏れず、それを利用。MLSが6.0年になっていない中、2022シーズン終了後にFAに。
今季のシーズン終了時には再びFAとなる見込みです。
今季の実績
今季のピアース・ジョンソンの実績は開幕前のダニエル・バードの状態と密接に関係があります。
2022年、ロッキーズのクローザーとして57試合中48試合を締め、34セーブを上げていたダニエル・バードは当然のこととしてWBCでUS代表のメンバー入り。ところが、準々決勝のベネズエラ戦で2番手でマウンドに上がると、打者4人に1安打3四死球で4失点。1アウトも奪えずに降板したのでした。これはイップス再発か?と心配されました。
そのダニエル・バードは開幕はILとして迎え、選手生命の危機も取り沙汰されたくらい心配されました。
皮肉にもこのダニエル・バードの不調がピアース・ジョンソンにクローザーへの道を開かせたのでした。
ただし、ピアース・ジョンソンは圧倒的なクローザーではありませんでした。4月は9試合を締めて3セーブでERAは4.35。5月に至っては11試合を締めて8セーブを上げたものの、ERAは7.94。クローザーから降りた6月のERAは5.56で、7月は6.00。
四球が多く、今季のBB%は13.3%。
コロラドのバイアスを調整
ただ、SO%は高く、30.9%。これだけ力はあるということで、ピアース・ジョンソンの場合、ERAを額面通りに受け取るのではなく、ボールが飛ぶコロラドの状況を差し引いて考える必要はありそうです。どうしてもコントロールに気を使えば四球も増えます。
ブレーブスが獲得した背景
実はブレーブスはブルペンのアップグレードが特に必要ではない状況。A.J.ミンターがILに入っているのは確かに痛く、ベテランのジェシー・チャベスもILです。
しかし、クローザーにはライセル・イグレシアスがおり、実績のあるカービー・イェーツ、さらにジョー・ヒメネス、マイケル・トンキン、コリン・マクヒューとメンバーは揃っています。
現時点で2位のマイアミに11.5ゲームをつけ、NLイースト制覇が濃厚なブレーブスはプレーオフへの確率も100%に近い状況。それを想定して、今後どういう怪我人が出るかもわからない中、少しでも層を厚くしておきたいというのが今回のピアース・ジョンソン獲得の背景と言えそうです。
ライセル・イグレシアスにしても圧倒的なクローザーではありませんが、そのほかの投手もERAが1点台ということはありません。それでもかなりレベルの高いブルペンであることは間違いなく、そこにピアース・ジョンソンが入ることは心強いところかと思います。
ロッキーズが獲得した投手
ビクター・ヴォドニク
23歳のヴォドニクは、2018年にドラフト14巡目でブレーブスから指名を受けてプロ入り。2022年はダブルAとトリプルAを往復。34.2IPのリリーフでERA 2.34をマークしています。
タナー・ゴードン
25歳のタナー・ゴードンは2019年のブレーブスの6巡目指名の選手。
マイナーでは先発として活躍。2022年は主にダブルAで投げて、ERAは4.64。
SO%は20.5%、BB%は6.8%で、早く上で使いたい投手でもあります。
なお、この2人は今季中に40manロスターに入らないと、2023年のルール5ドラフトの対象となってしまいます。
ロッキーズは今後1週間でCJ・クロン、ランダール・グリチャック、ジュリクソン・プロファー、ブラッド・ハンドらが動くことになりそうです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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