2025年はほぼ微調整レベルの変更
現地2025年1月24日のこととなりますが、MLBは2つの新しいルール変更を競技委員会で全会一致で可決しています。ただ、この変更はいわばマイナー・チェンジで2024年と2025年ではフィールド上の光景はさほど変わらない見込みです。
ではその2つの変更点を見て行きます。
(1)シフトルールの罰則の強化
メジャー・ファンにはすでにおなじみになっているシフト・チェンジ。2022シーズン以前は2BがRFの前にいてSSが2Bの定位置、3Bが2塁ベース上にいたりとか、あるいは3Bが柔軟性よく2Bの定位置に入るなど二塁ベースからホームへのラインを境に片側に3人以上の野手が守るという極端なシフトが多数見られました。
しかし、2023年からはシフト・バン(禁止)が実施され、投球時に同ラインの片側に2人以上の内野手がいてはいけなくなりました。さらに、各内野手は外野の芝生に立ってはならず、浅いOFみたいなポジション取りも不可に。また、SSや2Bの選手でそもそも芝生からスタートする選手がたまにいますがそれも禁止となっています。
そしてこれまではもし選手がこのルールに違反したとみなされた場合、例えば二塁手やショートがセカンドを早く越えすぎた場合などのことですが、攻撃側がプレーの結果を受け入れるか、あるいはバッターにオートマティック・ボールを与えられました。しかし、2025年の新ルールは守備側により厳しい罰則を課すことになりました。
2025年の新ルールでは、下記のようになっています。
- 違反があり、違反した野手が最初にインプレーのボールに触れた場合、
- 攻撃側がプレーの結果を受け入れるか(ここまでは同じ)
- もしくは打者にフリーベースを与える。つまり打者は1塁セーフに。そして他の走者がいる場合は1つ進塁が許される。
- さらに違反した野手にはエラーが記録され、
- その野手は以降の打席が与えられない
結構、厳しい処置となりました。
打席が与えられないというのはこの時点ではバイオレーションをおかした後で打席が回ってきてもその試合はバッターボックスに立てない・・・そう解釈しておりますが、もし間違っていたらすみません。
Sample
下記は2024年5月17日のツインズ@ガーディアンズ戦でツインズSSのカルロス・コレアがシフト・バイオレーションを取られた例。
二遊間のベース付近の投球前の守備位置の判定はなかなか難しいです。このケースではカルロス・コレアは投球前に少なくとも片足は二塁ベース延長上に入っていたとみなされました。また反応が良いだけに余計に二塁の境界線を超えるタイミングも早かったですね。野手は両足が二塁ベースに幅の外にあるのが無難なようです。
これにより、2024年の罰則では打者のホセ・ラミレスは打席に戻り、ボールカウントが1つ増え、1塁ランナーは1塁に戻されました。やり直し+打者に特典という感じです。
しかし、2025年の新ルールでは、違反したカルロス・コレアが最初にインプレーのボールに触れたので、
- 打者のホセ・ラミレスは1塁セーフに
- さらに1塁ランナーは2塁への進塁が許され(当然ですね)
- カルロス・コレアは次の打席以降はバッター・ボックスに立てない
ということになります。
【2】2塁、3塁ベースへの意図的な駆け抜けの禁止
2つ目のルール変更は、ちょっとわかりにくいかもしれません。
フォースプレーの際に2塁、3塁を駆け抜ける走塁に関するルール変更で、2023年から2024年にかけていくつかのチームがよくやっていた走塁に待ったをかけたもの。
例えば2アウトランナー1、3塁で、打球が3Bに飛び、三塁手が2塁でフォースアウトをとってイニングを終わらせようとした場合、もしも2塁がセーフになりそうなら、1塁ランナーはスライディングをせず、スピードを落とさずに1塁と同じように駆け抜けるケースが増えていたのです。実際、セーフになることも多々あり、意図的にそうしていたわけです。まあヤンキースとブルージェイズが多かったように思います。
この場合、2024年まではリプレー検証した結果、走者がセーフならば2塁ランナーは駆け抜けていたとしても生き残ることが出来ました。
しかし、2025年の新ルールでは走路をまっすぐにベースの反対側に両足が着地した時点で、走者はベースを放棄したとみなされるということに。
ケースが限られているだけに、2塁、3塁で駆け抜けと判断されればアウト扱いという解釈で良いかと。
なぜ駆け抜けるのか?
ではなぜ2塁、3塁で駆け抜けることをしていたかというと、例えば上記と同じケースで2アウトランナー1、3塁で、3塁ゴロで三塁手が2塁フォースアウトを狙ったが、セーフと判定された場合、3塁ランナーがホームへ返れば得点になるのです。
野球のルールでは3塁ランナーが3アウト目より早くホームインした場合は得点が認められます(例外もあり)。
だいたいは2塁へ到達したランナーは大きくオーバーランして2、3塁間のランダウンプレーに巻き込まれ、アウトというケースが多いのですが。
つまりこの走塁は3アウト目を取られる前のホームインを狙っているということ。
このような2塁、3塁への駆け抜けは2アウト時の内野ゴロで得点を狙うケースもありますし、普通にフォースアウトを阻止する場合もあります。また下記のVTRを見てもらうとわかりますが、猛スピードで駆け抜けることで二塁手、ショートストップは衝突にも備えますからプレーを乱されがちです。これもこの走塁の狙いだったりします。
回り込む!
かと言って微妙なタイミングでスタンディングで塁に到達するケースもあります。それはそれでOKです。要は1塁のように駆け抜けてはだめで、2塁ベース、3塁ベースではベースから離れないでキープするか、回り込んで次の塁に向かえば良いのです。
想定のシナリオ
上記と同じシチュエーションである程度の速さでスライディングせずに2塁に到達してアウトコールとなり、微妙なタイミングゆえに攻撃側がリクエストを行った場合は、得点が絡みますから1塁ランナーの2塁への到達が駆け抜けであったかどうかをリプレーオフィシャルは見抜かなくてはなりません。
- アウト判定なら問題なし。1塁ランナーはフォースアウト
- ランナーがセーフ判定で、尚且つ駆け抜けでないと判断された=もちろんセーフ
- ランナーがセーフ判定で、駆け抜けと判断された=駆け抜け後はベース放棄とみなされて1塁ランナーはアウト
セーフ判定でベース放棄前に3塁ランナーがホームインした場合
上記の3のケースで2塁へセーフ判定で到達したランナーが2塁ベースを放棄する前に(=駆け抜けていないとの判断)3塁ランナーがホームインした場合は、得点は認められます。アウト判定はベースを超えてからの話ですから。その前のホームインなら得点に。
ちなみにベース放棄とみなされた後に3塁ランナーがホームインしても、それはもちろん得点は認められません。3アウト目の方が早いですから。
ランナーがアウトになったからと言って、それがフォースアウトに置き換わるものでもないです。なお、野球ルールは1塁ランナーや2塁ランナーがフォースアウトとなった場合はたとえ3塁ランナーが3アウト目より早くホームインしても得点は認められません。
2塁、3塁の駆け抜けに関しては色々とクレームがあったのでしょうね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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