2024年シーズンの若干のルール変更
日本時間2024年3月20日、いよいよMLB2024レギュラー・シーズンが開幕します。と言ってもご承知の通り、ドジャースとパドレスの海外開幕シリーズの2試合が先行してスタートするということですが、残り28クラブは現地2024年3月28日(JST 29日)に開幕します。
開幕に当たり、2024シーズンのルール変更をまとめてみました。
2024年は微調整というところ
2023年はピッチ・クロックの導入、ビガー・ベース、シフト・リストリクション、ピックオフ回数制限など非常に大きなルール変更が採り入れられ、その効果はまず試合時間の大幅短縮して現れました。
2023年のルール変更の効果
ピッチクロック効果
2023年の9イニングの平均試合時間は2時間40分(正確には2:39:49)に。これは、2023シーズンに比べて24分短縮、2021シーズンに比べて 30分短縮と目に見えて成果が出てしまいました。実際、中継を見ていても、確かに間延びしないなとは思いました。ただし、選手には影響がありそうで、それは後述。
(過去8シーズンの9イニング平均時間)
- 2016: 3:00:42
- 2017: 3:05:11
- 2018: 3:00:44
- 2019: 3:05:35
- 2020: 3:07:46
- 2021: 3:10:07
- 2022: 3:03:44
- 2023: 2:39:49
- 2023年の9イニングでの3時間超えは9試合のみ
- 2023年の最長ゲーム:13イニング (9/26 ) Cubs @ DBucks: 4時間22分
盗塁数
盗塁数は激増しましたね。2022年の2,487から3,500に。
Season | AL | NL | Total |
2021 | 1,148 | 1,066 | 2,214 |
2022 | 1,226 | 1,261 | 2,487 |
2023 | 1,680 | 1,820 | 3,500 |
失敗に終わった盗塁企図もありますから、相当ゲームが動いたと見ていいでしょう。
2024年のルール変更
では、今季のルール変更を見てみます。
ピッチクロック:
(投手)
- 走者なし: 投手は15秒以内に次の球を投げる(2023年シーズンと同じ)
- 走者ありの場合: 投手が次の球を投げるまでの時間は18秒(2023年の20秒から短縮)
投手がタイムアップまでに投球動作を開始できなかった場合は、オートマティック・ボールに。
(打者)
- 打者は、残り時間が8秒となるまでに打席に入り、「投手に対して警戒」していなければならない。これを怠った打者にはオートマティック・ストライクが課される。
ピックオフ(変更なし)
- ラバー外し、またはピックオフは2回まで
- 3度目もルール的にはありなのですが、アウトにしなけれなりません。よって実質2度まで。
ベースパスの新しいレーン(走路拡大)
- 2024年はホームプレートと一塁の間のレーン(走路)を広げ、ファウルラインと内野の芝生の間の土も含まれることに。
- (従来)これまではMLB規則5.09(a)(11)おいて、「打者は本塁と一塁の間の距離の最後の半分を、ファウルラインと土の右側に引かれた3フィートの線の間を走らなければならなかった。」
つまり、これまでは打者走者はファウル・ラインの外側に引かれていた3フィートラインを走るよう義務付けられていましたが、ファウルラインの内側も土の部分であれば走っても良いことになりました。両足がホームとファーストの間の土のレーンにとどまっている限り、ファルル・ラインの内側であったとしてもルールに従ったものとみなされます。
内野手の進路妨害
これは主に二塁と三塁付近でのプレーに影響し、走者が野手によって妨害されたと審判が判断した場合、その走者はセーフとなります。
マウンド・ビジット(変更あり)
- マウンド訪問: 2023年には5回だったマウンド・ビジットが、2024年には4回に。
- ただし、8回終了時点で守備側のマウンド・ビジットが残っていない場合は、9回に追加のマウンド・ビジットを行うのは可能。
打者との対戦は必須に
すでに3バッター・ミニマムの規定は導入済みで、投手は少なくとも3人の打者と対戦するか、3人未満であってもイニングを終了すれば良いことになっていました。つまり2アウトから登板して1人しか対戦しなくても、チェンジになればそれで良いという規定でした。
2024年には、このルールに新たな微調整が加えられ、イニングの最中に投手交代となり、新しい投手がマウンドでウォームアップした場合、怪我をしない限りは(3バッター・ミニマムの要件を満たすことに加えて)、少なくとも1人の打者と対戦しなければならならないということに。
どういうことかというと、MLBによると、2023年に投手がイニングの最中に投手交代が発生し、ウォーミングアップをしたにもかかわらず、打者と対戦しなかった例が24件あったとのこと。それを防ぎたいということです。時短の一貫。
延長戦のオートマティック・ランナー(変更なし)
MLBは2023年、レギュラーシーズンの試合でオートマティック・ランナーのルールを恒久化しました。2024年も10回以降はランナー2塁からイニングを始めます。このルールはポストシーズンでは採用されません。
ピッチクロックのデメリットは未検証
さて、ピッチクロックは見る側にとっては間延びしたシーンが減り、非常にありがたい面もあるのですが、大変なのは選手です。打者もピッチクロック導入で狙い球を考える時間が減り、大変な思いをしましたが、さらにひどいのは投手です。
故障者続出
これはまた別記事にしたいとも思うのですが、今オフ、投手の怪我が多すぎると思いませんか?前腕部の捻挫、UCL損傷及び断裂によるトミー・ジョン再建手術またはインターナル・ブレース手術、さらに肩のローテーターカフ、インピンジメント症候群・・・ルーカス・ジオリト、ゲリット・コール、2023年中には大谷選手、ロビー・レイ、サンディー・アルカンタラ・・・錚々たる面々が怪我で離脱しています。 中には2023年にそれほど投げていない投手もいますが、MLBPA(組合)は、ピッチクロックの体への影響を検証するまでは、さらなる短縮に反対していましたが、リーグはこれを実施することに。フィールド・ルールはコミッショナーの一存で45日前なら変更できるような規定となっているからです。
あまりにも投手受難が続きすぎることを懸念します。
某投手が動画で、ツルツルのボールを渡されるわ、滑り止めも制限されるわ、早投げろと言われるわ・・・とおっしゃっていたのが印象的です。
組合は頑張って欲しいですね。そう言えば、組合はN0.2の更迭を求める声が高まっていますが、これも果たしてどうなるのでしょうか??
この記事をPOSTしたその夜に、ドジャース&パドレスの開幕戦が始まります。もちろん、この海外シリーズから新ルールは適用されます。
お読みいただき、ありがとうございました。
コメント