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【MLB2022】レイズ、タンパとモントリオールでのホーム分割案がMLBから拒絶される

シスターシティ案の2年半の努力が水の泡に

 現地2022年1月21日、メジャーリーグベースボールの執行評議会(Major League Baseball’s executive council)は、タンパベイ・レイズが現在のタンパベイ・エリアとカナダのモントリオールの2拠点でホームゲームを分割する案を拒絶しました。

 これはレイズのフューチャー・プランに大きな影響を与えることになりました。レイズは現地2019年6月にMLBからシスターシティ・プランの予備承認を得ていました。概要は以下のリンクをご参照ください。

 この決定には、現在のフランチャイズであるセント・ピーターズバーグ市長はおかんむりでしたが、2004年を最後にエクスポスがナショナルズとなってワシントンD.C.に移転して以降、プロ野球がなくなていたモントリオールは大歓迎。このまま進むのかと思われましたが、約2年7ヶ月がたった今、正式に許可が降りないことに。このプランである程度予算もつぎ込んでいたと思われるレイズには大きな痛手となりました。

拒絶の理由の1つ

 ロブ・マンフレッド・コミッショナーは拒絶の理由の1つとして、ロジスティスクスが複雑になる点を指摘。確かにそうで、対戦相手にも影響してきます。バットなどの道具の発送だけでなく、クラブによっては複数あるジャージのどれを着るかは先発投手が選んだりするので、ホーム、ロードともに複数パターンをモントリオールか、タンパに発送するのはさすがに大変だとは思います。

スタジアム建設と絡めた流れ

 そもそもどうしてシスターシティ・プランが生まれたのかと言えば、以下のような流れがあります。これはレイズの新スタジアム建設と大いに関係があります。ちなみにレイズのクラブ創設はクラブ拡大の流れを受けた1998年(=シーズンスタート)です。

スタインバーグ・オーナーの意思からスタート

  • 2005年10月 :2004年にフランチャイズを買収したスチュアート・スターンバーグ(現オーナー)が初仕事の日にスタジアムの問題に取り組み、チームとコミュニティのパートナーが新しいスタジアムを建設する日を想定していると発言。ここからスタート。
  • 2007年11月 レイズはセント・ピーターズバーグのウォーターフロントに 34,000席のスタジアムを建設するプランを発表。総工費 $450M。スタジアムは固定屋根ではなく帆のような素材で覆うアイデア。トロピカーナの屋根の素材も似たようなものではあります。
  • 2008年6月: ウォーターフロント・エリアの開発には住民投票が必要で、レイズはそれを行わないことを決断。上記の2007年11月の帆の屋根のスタジアム案はなくなる。
  • 2016年1月:リック・クリズマン(セント・ピーターズバーグ市長)の要請により、レイズはセント・ピーターズバーグ市議会からピネラス郡とヒルズボロ郡でスタジアムを建設するサイトを探す許可を得る。

イーバー・シティー案が登場

  • 2018年2月:レイズは、タンパ郡とヒルズボロ郡の当局者とともに、新しいスタジアムの優先サイトがイーバーシティ(Ybor City)であることを発表。
  • 2018年7月:レイズは3万人を収容、約900Mドルのプランを発表。いわゆるイーバー・シティー・スタジアム案。

  • 2018年12月:ラスベガスでのウィンターミーティングで、レイズとMLBのコミッショナーであるロブマンフレッドは、イーバー・シティーでのスタジアム建設は資金不足であることから、プランはもはや実行不可能であると発表。イーバーシティー案は住民からの土地の申立などもあり、潰れます。

シスターシティー・プランの誕生

  • 2019年6月:シスター・シティー・プランの誕生。レイズとシーグラム(カナダの酒造メーカー)の相続人であるスティーブンブロンフマンは、セント・ピーターズバーグとモントリオールでの2元記者会見でフランチャイズのシスター・プランを発表。 レイズは両都市で低予算でも開設できるスタジアムを探すことに。MLBの執行評議会は、レイズに計画を検討する許可を与える(予備承認)。
  • 2020年2月:スターンバーグ・オーナーは、タンパの新しい市長ジェーン・キャスターとヒルズボロ郡のケン・ハーガンと会い、タンパのダウンタウン近くでシスターシティープランの実行に合わせた簡素化されたスタジアム計画について話し合う。
  • 2021年1月:リック・クリズマン(セント・ピーターズバーグ市長)は、セント・ピーターズバーグでのスタジアム計画の交渉を実質的に停止。 市長によると、レイズはトロピカーナフィールドの再開発の収入を大幅に削減し、隣接して建設される新スタジアムの予算を必要以上にセーブしているなどと主張。
  • 2021年10月1日:ヒルズボロ・コミュニティカレッジの近くにある建物の敷地が、レイズのスプリングトレーニングでも使用できる屋外の27,000席のスタジアムの最有力候補地として上がる
  • 2021年12月:イーバー・シティーのスタジアム案が再浮上。資金調達の見込みが立ち、最終段階であることが明らかに。 レイズは提案された$700Mの価格の半分をタンパエリアでの新スタジアムの建設資金にすると約束。
  • 2022年1月:MLBの執行評議会が、シスターシティ・プランを本格的に推進するというレイズの要求を却下。 スターンバーグ・オーナーとブロンフマン(シーグラム相続人)は再び二元で記者会見を開き、今回はシスターシティ・プランが潰れたと述べる。

 以上がその流れになります。

 つまり、直近ではイーバー・シティーでの大きなスタジアム建設案が2018年に一度持ち上がったのですが、それが資金難などがあり潰れました。その代わりとして上がったのが、今回拒絶されたタンパとモントリオールの2拠点を使うシスターシティ・プランでした。

スタジアム来場者が少ない

 そもそもなぜ2ホームにするのかといえば、まずレイズの観客動員の少なさがあります。2011年以降の平均観客数は30チーム中28位。2021年、トロピカーナフィールドの観客数は761,072人でした。

 ちなみにワールドシリーズ・チャンプとなったブレーブスは2,300,247人でMLB2位。1位はドジャースの2,804,693。これはスタジアムのキャパシティにもよるところもあります。

 なおレイズの下はアスレチックスとマイアミマーリンズ。アスレチックスが70万人、マイアミが64万人です。アスレチックスもスタジアムの問題を抱えてはいます。

トロピカーナが2027年まで

 現在使用しているトロピカーナ・フィールドのリース期限は2027シーズン終了まで。

 このまま行くと、2028年はホーム無しになるわけですが、もし新スタジアムを建設するなら3-4年は見ておかなければならず、2023年のシーズン終了後には1つの大きな決断が必要になります。

 イーバー・シティーのプランが実行できるならそれに越したことはなさそうです。イーバー・シティーはタンパ国際空港から非常に近いです。現行のセント・ピーターズバーグは、タンパ国際空港からも見ると、海を隔てた小さな半島に位置しており、橋を渡っての移動が必要という意味でやはり不便なのです。

 レイズは2021年終了で創設から24年が経過。2008年にデビルレイズからレイズに変更。それ以来、14シーズンでプレーオフ進出が7度、このうちワールドシリーズ進出が2度という超優良成績を残しています。選手へのペイロール(給与の額)が26位前後にもかかわらずです。これは天才のエリック・ニーアンダー(GMロール)の功績も大きいです。

 レイズは2022年のスケジュールもホームゲームはどこでプレーするか空白のままでした。モントリオールというパターンも考えていたと思われます。

 ロックアウト後のレイズの選手補強の動きも楽しみではあります。とにかく、いいスタジアム案が生まれればと思います。

 お読みいただき、ありがとうございました。

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