2023 アリゾナ・フォール・リーグ
現地2022年11月11日、MLBの次世代スター候補が集うアリゾナ・フォール・リーグが閉幕。
2023年は10月2日からスタートし、レギュラー・シーズンの30試合に加えてHRダービー、オールスター(Fall Starという名称)、そしてセミファイナル、ファイナルと行われ、ファイナルが現地11月11日に終了。この1ヶ月強の期間は綺羅星のごとく輝くプロスペクト達の登竜門でもあります。
アリゾナ・フォール・リーグとは?
アリゾナ・フォール・リーグ(以下AFL)のルーツは、メジャーリーグが簡単にアクセスできるオフシーズンのリーグを作りたかった30年前にさかのぼります。日本で言えば教育リーグみたいな存在で、ちょっと違うところは監督、コーチ、スカウト、リーグ関係者全てがMLBで活動することを前提にかなり考え抜かれて設計されているところ。全ての参加メンバーがメジャーへの予行演習を行っていると言っても過言ではありません。
AFLは、スコッツデール・スコーピオンズ、メサ・ソーラー・ソックス、ソルトリバー・ラフターズ、グレンデール・デザート・ドッグス、ピオリア・ジャベリナス、サプライズ・サガロスの6チームがあります。MLB30クラブはこの6チームに5クラブずつが割り振られてる混合チームです。MLBの各クラブは7名のトッププロスペクトをここに送り込みます。
2023年のチーム分け
MLBのどのクラブがAFLのどのチームに配置されるかはだいたいは決まっているものの、数年単位で見ると、シャッフルは行われています。2023年のチーム分けはご覧の通り。今季はシャッフルが行われ、赤文字のクラブが2022年と比べて所属が変更となっています。
- メサ・ソーラーソックス (MSS) :BAL/CHC/HOU/NYY/OAK
- ソルトリバー・ラフターズ (SRR): ARI/ATL/COL/DET/PIT
- スコッツデール・スコーピオンズ (SCO):LAA/PHI/SFG/STL/WSH
- グレンデール・デザート・ドッグス (GDD): BOS/CWS/LAD/NYM/MIN
- ピオリア・ハベリーナズ (PEJ) : CLE/MIA/SDP/SEA/TB
- サプライズ・サグアロス (SUR): CIN/KCR/MIL/TEX/TOR
(参考)2022年の割り振り
- メサ・ソーラーソックス :CHC/MIA/OAK/NYY/TB
- ソルトリバー・ラフターズ: ARI/COL/DET/STL/TOR
- スコッツデール・スコーピオンズ:ATL/BAL/BOS/LAA/SFG
- グレンデール・デザート・ドッグス: CWS/CIN/LAD/MIL/MIN
- ピオリア・ハベリーナズ : CLE/NYM/SDP/SEA/WSH
- サプライズ・サグアロス: HOU/KCR/PHI/PIT/TEX
実力
AFLの実力はもう明らかで歴代MVPがどんな存在かを見れば歴然(後述)。
さらに、MVPだけでなく他の選手もそうで、2022年にドジャー・スタジアムで行われたMLBオールスターゲームに選出された選手の約50%がAFL出身者です。先発投手とDHを含む先発メンバー20人のうち12人がそうでした。
観戦料金
会場はスプリングトレーニングが行われる6つのフィルードが使用されます(これ以外に使用されるケースも)。それぞれの球場の距離はわずか数分。次世代を担うプロスペクトが集まる中、料金は非常にお得で大人$12、シニア(55歳以上)$10、12歳以下の子供は入場無料(大人の同伴が必要)。チケットを買えばその日はどこでも見られるようです。なおシーズンチケットもありますね。
2023年もサプライズが優勝
今季はサプライズ・サグアロスがレギュラー・シーズンで1位となり、ファイナルを制しました。サプライズ・サグアロスは2年連続でAFLを制覇。2022年はワールドシリーズを戦ったアストロズとフィリーズが入っていましたが、今季はこの2クラブが抜け、レッズ、ブルワーズ、ブルージェイズが参加。そして元々入っていたレンジャーズとロイヤルズを加えた5クラブの構成。偶然にもワールドシリーズ・タイトルを獲ったクラブが入っていましたね。
各スタッツのリーダー
Hitting
Item | Stats | Name/ Pos. | AFL | Club |
AVG | .449 | リアム・ヒックス (Liam Hicks)/C | SUR | TEX |
OBP | .553 | リアム・ヒックス (Liam Hicks)/C | SUR | TEX |
SLG | .707 | ジェイコブ・マーシー (Jakob Marsee)/CF | PEJ | SDP |
OPS | 1.215 | ジェイコブ・マーシー (Jakob Marsee)/CF | PEJ | SDP |
HR | 7 | カライ・ロザリオ (Kala’i Rosario) アーロン・サバーㇳ (Aaron Sabato) | GDD GDD | MIN MIN |
RBI | 27 | チェイス・デローター (Chase DeLauter)/ RF | PEJ | CLE |
Hits | 36 | ジェイコブ・マーシー (Jakob Marsee)/CF | PEJ | SDP |
SB | 21 | ケイレブ・ダービン (Caleb Durbin)/2B | MSS | NYY |
BB | 23 | デービッド・マッケイブ (David McCabe)/3B | SRR | ATL |
TB | 65 | ジェイコブ・マーシー (Jakob Marsee)/CF | PEJ | SDP |
Pitching
Item | Stats | Name | AFL | Club |
IP | 22.2 | ライアン・ウェブ (Ryan Webb) | PEJ | CLE |
WIN(SP) | 4/ 18.0 IP | カーソン・スピアーズ (Carson Spiers) | SUR | CIN |
WIN(RP) | 4/ 8.2 IP | オーランド・リバルタ (Orlando Ribalta) | SCO | WSH |
ERA(SP) | 1.29/ 14.0 IP | ザック・ペンロッド (Zach Penrod) | GDD | BOS |
ERA (RP) | 0.00/ 12.1 IP | ジャック・パーキンス (Jack Perkins) | MSS | OAK |
SO | 36 / 22.2 IP | ライアン・ウェブ (Ryan Webb) | PEJ | CLE |
SV | 5/ 8 G | エミリアーノ・ティオド (Emiliano Teodo) | SUR | TEX |
SO9 | 16.05 | ザック・マクスウェル (Zach Maxwell) | SUR | CIN |
BB9 (Lowest) | 0.50/ 18.0 IP | カーソン・スピアーズ (Carson Spiers) | SUR | CIN |
MVPはジェイコブ・マーシー(SDP)
2023年のリーグMVPは、ピオリア・ハベリーナズに所属したパドレスのプロスペクト、ジェイコブ・マーシー(Jakob Marsee)に決まりました!
ジェイコブ・マーシーのスタッツ
ジェイコブ・マーシーのスタッツは24試合、92 ABで36Hits。打率.391、OBP .508、SLG .707、OPS 1.215、HR 5、二塁打 12、三塁打1、RBI 20、BB 21、SB 16、SC 3とスピード、パワー双方で素晴らしい成績を残しました。
ジェイコブ・マーシーとは
2022年のドラフト6巡目でパドレスから指名してプロ入り。左投げ左打ちのOF。コントラクト・ボーナスはスロットの$0.25Mをやや下回る額だったと言われています。レギュラーシーズン終了後にAAのサンアントニオに昇格に。アベレージの方が良いと思われていましたが、このAFLではパワーを発揮。現地2023年11月11日時点でパドレスのNO.12プロスペクトにランクイン。
歴代MVP
- 2022: ヘストン・キャースタッド(Orioles)
- 2021: ネルソン・ベラスケス(Cubs)
- 2020: COVID−19の影響で中止
- 2019: ロイス・ルイス(Twins)
- 2018: ケストン・ヒウラ(Brewers)
- 2017 : ロナルド・アクーニャ Jr. (Braves)
- 2016: グレイバー・トーレス (Yankees)
- 2015: アダム・エンゲル(White Sox)
- 2014: グレッグ・バード (Yankees)
- 2013: クリス・ブライアント (Cubs)
- 2012: クリス・マクガイネス (Rangers)
- 2011: ノーラン・アレナド (Rockies)
- 2010: ダスティン・アックリー (Mariners)
- 2009 : グラント・デスメ (A’s)
- 2008 : トミー・ハンソン (Braves)
- 2007 : サム・ファルド(Cubs)
他のAward Winner
Offensive Player of the Year
こちらはジェームス・トライアントス(James Triantos)が受賞。MSSに所属したカブスの3Bです。トライアントスは、22試合で、84打数35安打、打率.417、OBP .495、SLG .679. 、OPS 1.174 をマーク。HRは5本です。実質的に打撃部門でNO.2という成績でした。 2021年ドラフトの2巡目指名で、現時点のカブスでのトッププロスペクト・ランクは9位。
Breakout Player of the Year
こちらはフィリーズの2B、オリバー・ダン(Oliver Dunn)が受賞。26才の2Bは2022年のルール5ドラフトでヤンキースからフィリーズにピックされました。AFLでは12回盗塁を試み、12回成功。二塁打6、三塁打4をマーク。三塁打の4本は2位です。OPS 1.071は4位、AVG .342は5位です。
Defensive Player of the Year
マリナーズの2B、ライアン・ブリス(Ryan Bliss)が受賞。23才のSS/2Bでドラフトとは2021年のDバックスの2巡目指名。2023年のトレードデッドラインで、Dバックスがポール・シーワルドを獲得したディールでマリナーズへ移籍。
AFLでのブリスの守備はほぼ完璧で、18試合までに通算66の守備機会がありエラーはわずか1つ。フィールディング・パーセンテージは.985でした。AFLのオールスターにも選出し、先発2Bで4イニングをプレー。
Pitcher of the Year
こちらはブルージェイズのプロスペクト、リッキー・ティーデメン(Ricky Tiedemann)が獲得。AFLでは4試合に先発し、18.0 IPで2勝1敗、ERA2.50、被安打12、失点5、自責点5、被本塁打1、BB 8、SO 23、WHIP 1.11。リッキー・ティーデメンは、2021年のブルージェイズ3巡目指名。左腕です。MLBパイプラインのトップ・プロスペクト・ランクのPre-2023では32位にランクイン。2024年にデビューしそうです。
Reliever of the Year
8試合で5 SVをマークしたエミリアーノ・ティオド(Emiliano Teodo)が受賞。11.0 IPでBB が3、SOが19。出てきたらもう相手打線は終了という成績でした。エミリアーノ・ティオドはドミニカ共和国出身の右腕で現時点で22才。2023年はレンジャーズのクラスA+に所属していました。2024年にデビューしそうですね。
Dernell Stenson Sportsmanship Award
ダーネル・ステンソン・スポーツマンシップ賞とは、AFLシーズン中の2003年にアリゾナ州で亡くなった元選手のダーネル・ステンソン氏の功績を称え、2004年に創設された賞。毎年、誠実、勤勉、リーダーシップを最もよく体現した選手に贈られます。
今季の受賞者はマイク・トラウトウェイン(Mike Trautwein)。24才のレッズ所属の右投げ左打ちの捕手。2021年ドラフト13巡目でプロ入り。捕手とOFを行き来していたトラウトウェインは、レシーブ・スキルと全体的な守備に磨きをかけただけでなく、AFLのオールスターにも出場。2B、SB、RUNを記録。
以上です。
お読みいただき、ありがとうございました。
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