捕手かと思いきや、RFで出場!
パイレーツに新しい時代が到来した模様です。
現地2023年6月19日、2021年のアマチュア・ドラフトで全体1位で指名された捕手のヘンリー・デービス(Henry Davis)がメジャーリーグ・デビューを果たしました!
Congratulations!
ヘンリー・デービスは捕手として指名されたのですが、デビュー戦はRFで7番での先発出場となりました。なお、登録上は捕手兼OFということになっています。
メジャー初打席で初ヒット!
この日からパイレーツは地元PNCパークでナリーグ中地区ライバル、カブスを迎えての3ゲームシリーズ。
カブス先発は、大きなカーブに特徴のあるドリュー・スマイリー。
テクニカルな投球を見せるベテラン左腕に対して、大物ルーキーがどのような打撃を見せるのか、非常に興味深いところでしたが、なんと初打席で結果を出しました!
試合の流れとしてはパイレーツの先発でルーキー右腕のオズバルド・ビドー(Osvaldo Bido)が2回表に集中打を浴びて3失点を喫し、パイレーツがビハインドの状況で迎えた初打席でした。
1球で仕留める!
3回裏、イニング先頭として回ってきたヘンリー・デービスにスタンドから大きな拍手で送られました。地元ファンも大いに期待している証ですね。
その初打席、ヘンリー・デービスは打ち気に早ることなく、非常に落ち着いており、冷静に枠近辺のボールを見極めて3-0カウントに持ち込みます。この辺はさすがキャッチャーというところでしょうか。
4球目と5球目は92-93mphのシンカーでこれらを見逃してフルカウントに。ここまで1球もスイングしていません!
じっくりとベテランの球筋を幹割れたルーキーは、6球目、シンカーが甘いところに来たのを待ってましたとばかりに強振。スイングは今のメジャーの流行りのスイングで、重心はやや低め。そのせいか、非常に迫力のあるスイングでした。打球は三塁線を破り、見事にメジャー初打席で初ヒット、そして初長打となる2塁打を放ったのでした!
この日の打席
第2打席が回ってきたのは4回裏、2アウトランナー1塁の状況。この打席での対戦でドリュー・スマイリーはこれがメジャーのボールだと言わんばかりに得意のナックル・カーブを多投。7球中6球がそうでした。結果は空振り三振。
第3打席は6回裏、マイケル・フルマーとの対戦。こちらはフルマーのボールが暴れて四球で出塁。
第4打席は8回裏に回ってきました。ゲーム前半は0-3となんとか挽回できる点差だったのですが、7回表と8回表の2イニングでブルペンが打たれて計5失点。0-8と大きく差を拡げられた状況での打席でした。
2アウトランナー無しで回ってきたこの打席では、右腕のマイケル・ラッカー(Rucker)との対戦。ヘンリー・デービスは1-1カウントからの甘い4シームに対応。これが捉えたあたりとなったのですが、CFライナーに倒れました。
この日は4打席を経験し、3打数1安打、1BB、1SOという成績でした。
なお、ゲームの方はカブスが8-0のスコアで勝利。パイレーツはこれで7連敗となってしまい、34勝37敗で借金が3となりました。
ヘンリー・デービスとは?
ヘンリー・デービスは上述の通り、2021年の全体1位の選手です。出身はニューヨーク州で、ルイビル大学の出身です。大学ではでスター選手として活躍。
ドラフト指名前の話。2020年はコロナ・パンデミックのせいで、NCAAもシーズン途中でキャンセルになりました。ヘンリー・デービスも漏れなくその余波を受け、14試合の出場にとどまります。ただ、短いシーズンながらも彼はOPS 1.179をマークしています。
パンデミックのおかげでプロとトレーニング
そのパンデミックの最中、彼は思いがけず、メジャーリーガーたちと過ごす機会を得ました。
彼はSNSでニューヨーク州出身のアダム・オッタビーノ(当時NYY在籍)が彼の自宅近くでネットスローで練習していることを知り、一緒にトレーニングしたいと申し出ました。すると、近くにいた右腕のマット・バーンズ(当時BOS)もこれに参加。これが彼に大きな影響を与えたことは間違いなく、翌年のNCAAでの大活躍につながります。
ヘンリー・デービスはルイビル大の3年生のシーズンの2021年に50試合に出場。打率.370、OBP .483、SLG .663、15HR 、48 RBI、10 SBをマークしました。
2021年6月、パイレーツは全体1位の指名権を得ていたのですが、誰を指名するかは外部にはまったくわからない状況でした。この年、大注目だったのはヴァンダービルト大の右腕のジャック・ライターと同大の同僚、クマール・ロッカーで、おそらく彼らのうちのどちらかが全体1位になると思われていたのでした。ヘンリー・デービスも名前は上がっていたものの、10位近辺だろうとの予測がされていました。しかし、蓋を開けてみると、パイレーツが指名したのはルイビル大学のスター捕手。パイレーツは、彼が将来の捕手であると確信。全体1位で指名したのでした。非常に惚れ込んだというところですね。
サイニング・ボーナスが全体2位より下の金額
2021年7月17日に両者はサイン。サイニング・ボーナスは$6.42Mで、これは全体1位のスロット・バリューを下回る額でした。金額で行けばこの年の1巡目で5番目の高さです。全体2位のジャック・ライターの方がサイニング・ボーナスの金額は上で、レンジャーズと$7.922Mでサインしていたのでした。
どうしてそうなったのかは明確な理由がわかりませんでしたが、その後の試合数を見れば、やはり何らかの故障を抱えていたのだと思われます。
ドラフト・イヤーの7月以降のシーズンはこれはもうプロとして慣れるための期間です。
プロとしてフルシーズンとなった2022年、ヘンリー・デービスは、ルーキー・レベルからダブルAまで計4つのレベルでプレーしますが、出場試合数は計59試合。やはり故障により試合数が少なくなったのでした。2022年はダブルAで31試合に出場し、打率.207、OBP .324、SLG .379、HR 4、SB 3、RBI 18。
2023年はコンディションも良く、ダブルAとトリプルAで51試合に出場。打率.284、OBP .433、SLG .541、HR 11、SO 46、BB 40、RBI 30をマーク。ようやく本領発揮でついにメジャーに上がったのでした。
捕手としての出場は?
本来は捕手のヘンリー・デービスがRFとしてデビューしたゆえに、捕手としてのキャリアは今後どうなるのか?と心配になった方は多いと思いますが、OFはどうやら一時的と考えて良さそうです。
OFをやり始めたのはやはり怪我の影響。その負担を軽くするために、パイレーツは一旦はバットを優先させたということのようです。
なお、本人はパイレーツの勝利に貢献できれば、OFとして出場することも喜んで受け入れるという姿勢です。
パイレーツのデレク・シェルトン監督は、彼を捕手として出場させることも示唆しています。
実際、パイレーツのメイン捕手であるオースティン・ヘッジスは、長い間際立ったディフェンダーでもありましたが、今シーズンは.打率175、OBP .231、SLG.242と苦戦。バックアップのジェイソン・ディレイは、打率.293、OBP .359、SLG.402と好調な数字を見せてはいます。
今後のヘンリー・デービスに期待ですね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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