とても異色!ワイルドカード3カード!?
現地2020年2月10日、MLBがポストシーズンの新フォーマットを提案。2022シーズンより前、つまり早ければ2021年導入を目指して動いていることがわかりました。
新しいポストシーズン・フォーマットはかなり異色です。
現状
現状はご存じの通り、各地区で勝率1位がディビジョン・タイトルを獲得。これで3クラブx2リーグで6クラブが確定。リーグチャンピオンシップを行うためにディビジョン・シリーズは2カード開催され、地区優勝3クラブに加え、足りないもう1クラブを補うため、地区優勝の3クラブを除いたリーグでの勝率上位2クラブでワイルドカードを開催。その勝ち上がりがディビジョンシリーズの残り1枠に進むというもの。ワイルドカードで戦う2クラブを入れて2リーグで合計10クラブがポストシーズンに参加することになっています。30クラブ中、10クラブ。
新しいフォーマット
新しいフォーマットはご覧の通り。
- ア・リーグ、ナ・リーグともに勝率トップ7クラブをピック。地区優勝3クラブ+それ以外の勝率上位4クラブの計7クラブ。
- ア・リーグ、ナ・リーグともに地区優勝3クラブのうち、勝率トップが自動的に一抜け。ディビジョン・シリーズへ
- 地区優勝3クラブのうち勝率2位は、勝率5位、6位、7位のクラブの中から対戦相手クラブを指名!これがワイルドカード1となります。
- 地区優勝3クラブのうち勝率3位は、3で勝率2位のクラブが指名しなかったクラブを相手チームとして指名。これがワイルドカード2に。
- リーグ勝率4位のクラブが残ったクラブと対戦。ワイルドカード3に。
- 上記3、4、5のワイルドカードは3ゲームで、勝率の高い方がフォームフィールドアドバンテージを得て3試合行う。
- LDSは5試合、LCSは7試合、WSは7試合。ここは変わらず。フォームフィールドアドバンテージは勝率の高い方になると思われます(ここは明記されていませんでしたが、例年通りならそうです)。
新しい制度のポイント
これだけ見ても地区優勝のメリットとは?とは思うのですが、要はこのようなことになるかと思います。
- リーグ1位がWinners takes Allとなるような制度ですね。
- 各リーグDS進出クラブを4クラブ決めるのに、まずリーグ勝率1位はDS進出決定。残りの3枠を3ゲームシリーズのワイルドカード3試合で決めるというもの。
- 地区優勝した3クラブの中で勝率2位、3位のメリットと言えば対戦相手を選べるということ。今までならDSにそのまま進出していたのに。
2019シーズンALでサンプルを
では2019シーズンでサンプルを出したいと思います。
1. 2019 ア・リーグ 地区優勝&勝率ベスト7をピック
- 地区優勝
- 西:アストロズ(107-55): .660
- 東:ヤンキース(103-59): .636
- 中:ツインズ(101-61): .623
- 勝率トップ7
- アスレチックス(97-65): .599
- レイズ(96-66): .593
- インディアンス(93-69): .574
- レッドソックス(84-78): .519
2. 地区優勝トップが一抜け
アストロズがDSへ進出
3. WC1 地区優勝勝率2位
地区優勝で勝率2位のヤンキースがすることは勝率5位(レイズ)、6位(インディアンス)、7位(レッドソックス)から相手クラブを指名!仮に5位のインディアンスを選んだとしましょう。WC1はNYY-CLEでヤンキー・スタジアムで3試合。
4. WC2 地区優勝勝率3位
地区優勝で勝率3位のツインズがすることは、勝率5-7位のうちヤンキースが指名しなかったクラブから相手クラブをピック。仮に7位のレッドソックスをピックしたとしましょう。WC2はMIN-BOSでターゲットフィールドで3試合行われます(寒そう)。
5. WC3 勝率4位のA’s
地区優勝はならなかったもののリーグ勝率4位となったアスレチックスは、ヤンキースとツインズが選ばなかったクラブが対戦相手になります。自動的にレイズとの対戦が決まりました。コロシアムでOAK-TBRの対戦がWC3。
このような考え方になります。
2019シーズンNLでも
ナ・リーグファンのためにもナ・リーグでもサンプルを。
1. 2019 NL 地区優勝&勝率ベスト7をピック
- 地区優勝
- 西:ドジャース(106-56): .654
- 東:ブレーブス (97-65): .599
- 中:カージナルス(91-71): .562
- 勝率ベスト7
- ナショナルズ(93-69): .574
- ブルワーズ(89-73): .549
- メッツ(86-76): .531
- ダイヤモンドバックス(85-77): .525
2. 地区優勝トップが一抜け
まずは地区優勝の中で勝率トップのドジャースが一抜け。DSに進みます。
3. WC 1地区優勝勝率2位
次いで地区優勝の中で勝率2位のブレーブスが勝率5位(ブルワーズ)、6位(メッツ)、7位(Dバックス)の中から仮にDバックスを選んだとしましょう。WC1はATL-ARIでサントラスト・パークで3試合。
4. WC2 地区優勝勝率3位
地区優勝で勝率3位のカージナルスが、勝率5位(ブルワーズ)、6位(メッツ)、7位(Dバックス)の中からブレーブスが選ばなかったクラブのうち、仮に5位のブルワーズを選んだとしましょう。ナ・リーグ中地区ガチンコ対決です。WC2として、STL-MILがブッシュ・スタジアムで3試合。
5. WC3 勝率4位のナッツ
最後に地区優勝出来なかったものの、勝率4位となったナッツが、自動的に残りのメッツと対戦となります。こちらはナショナルズ・パークでWC3としてWSH-NYMとして3試合。
良い点
仮に良い点を上げるとすれば、ポストシーズンに進出するクラブが今までの各リーグ5クラブ、計10クラブから、各リーグ7クラブの計14クラブに増えることでしょうか。これにより全30クラブの約半数がポストシーズンに進出することとなります。ゲームが増えるという点ではファンとしてもいい点かもしれません。また勝率4位のクラブは優勝せずともホーム開催で経営的に潤うかもしれませんね。
悪い点
やはり地区優勝での勝率2位、3位のクラブにとってはホームゲームが増えるものの、地区優勝とは?とその価値に疑問を呈するかもしれません。対戦相手が選べるだけではねえ・・・ともなるかもしれません。
5割以下のクラブがWSチャンプ!?
最悪なのは、レギュラーシーズンで勝率5割に満たないクラブがWSチャンプになる可能性もあるということ。
例えば、2014年のナ・リーグでは以下の勝率でした。仮にこのシーズンに新しいフォーマットを当てはめてみますと、5割以下のメッツがPS出場となるのです。
- ナショナルズ: .593(地区優勝)
- ドジャース: .580(地区優勝)
- カージナルス: .556(地区優勝)
- パイレーツ:.543 (SFGに直接対決で4勝2敗で勝ち越し)
- ジャイアンツ: .543
- ブルワーズ: .506
- メッツ: .488 (ATLに直接対決で10勝9敗で勝ち越し)
- ブレーブス: .488(勝率が同じでも上記の理由でPS進出ならず)
勝率が同じ場合、レギュラーシーズンでの直接対決の成績で決まるとすれば上のような上位7クラブが進出。メッツファンには申し訳ないたとえですが、仮にメッツがワールドシリーズチャンプを獲るようなことになれば、勝率5割以下のクラブが獲ることに。今までのワイルドカードではちょっとなかったと思います。
地区優勝1位のビハインド
あとはやはりワイルドカードで3試合戦い、勢いのあるクラブがDSの対戦相手となる地区優勝1位にとっては空き日程によるゲーム感覚のずれ、対戦相手の勢いなど食われる可能性がありますね。そうなるとリーグ1位の勝率とは?となると思います。
その他に、ワイルドカードが1試合だったから面白かったという点もあると思います。メジャーリーガーがガチンコでトーナメントに参加するような雰囲気がありましたから。ストラスバーグがリリーフというシーンも2019年にはありましたね。
MLBPAの承認がいる
冒頭で書きましたようにMLBは2022年より早くやりたいとの意向を持っています。それこそ2021年からやる可能性もあるわけです。これを実行できるようにするにはMLBPA(選手会)の承認が必要です。今までも改革案をかなり呑んできているので実現しそうですが、時期は2022年までは延ばす努力はするかもしれません。とにかく問題点を突きつけて欲しいなと思います。
バウアーもお怒り
MLB選手のご意見番だと筆者は思っているのですが、レッズのトレバー・バウアーは怒りのコメント。
誰がこの新しいプレーオフ・フォーマットの提案をしたのかはわかりませんが、リリースする責任があるのはロブ・マンフレッド(コミッショナー)なので、ロブ・マンフレッドにこれを提示します。あなたの提案はツイッターでタイプ出来ないほど突っ込みどころがあまりにも多くて馬鹿げており、あなたは野球についてキーマンではないことを証明しています。あなたはジョークです。(超意訳なのでご容赦を)
提案したのはオーナー達です。彼らにとってはビジネス拡大ですからね。
いかがでしょうか??
当ブログでは極力、事実関係のみを伝えるというスタンスをとってはいるものの、筆者もNOですね。少し柔らかめに「いかがなものか?」と、添えておきたいと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
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