新提案の76試合プラン(MLB側)
2020シーズン開幕におけるMLBと選手会とのサラリーバトルですが、MLBが選手会にさらなる新提案を行いました。
現地2020年6月8日、MLBは選手会に76試合の開催、75%のサラリーレートを提示しました。MLB側が大幅譲歩したのか!?というふうにも見えます・・・また、75%も「何の75%なのか?」が重要です。実はサラリーには何もインパクトもないことが明らかに。
概要
今回の提示で大きな変更点はスライディングスケール方式を取り除いたという点。サラリーが高額な選手ほど年俸が低くなる設定は無理があったとも言えます。中身を見てみるとこのような内容です。
- 試合数:76
- シーズン最終日は9/27
- サラリー:プロレイティッド(日割り)の75%
- ポストシーズン用に総額$200Mボーナス。※ポストシーズンに進んだチームに分配されるものです
- ポストシーズン進出は各リーグ5チームの計10チーム
- FAプレーヤーを獲得したチームはドラフトで指名権を失わない
- FAプレーヤーが流出したチームはドラフトでコンペンセーション・ピックを行えない
- ポストシーズンは10/31までに終了
MLBがこの直前に提示していたのは50試合程度の48試合プランでしたから、そこから考えるとかなり選手会側に歩み寄ったようにも見えますが、サラリーはまったく変化がありません。
”75%”は日割りの75%という意味
75%という数字だけを見れば選手へのパーセンテージが高まったようにも見えますが、まったくそうではありません。日割りの75%という意味。
仮に2020年のサラリーが$1Mの選手がいたとしましょう。76試合開催を日割りにするとフルシーズンの47%。この時点で$0.47M。このレートをさらに75%にしましょうというのが今回の新提案なのです。よって、$0.47Mのサラリーの75%になるとこの選手のサラリーは$0.35M。
下記のツイートがわかりやすいかもしれません。もしスライディングスケール方式で82試合なら、フルサラリーの33%に。50試合開催で日割り100%であればフルサラリーの33%に。今回の76試合、日割りの75%ではフルサラリーの33%。
上の数字とはやや違いますが、33〜35%です。どれも変わっていないというのがよくおわかりいただけると思います。
MLBが試合数を増やす提案をしない理由
MLB側の提案に面白みも何もないのはどう盛り上げて行くか?というプランがないことです。とりわけそれは試合数に出ていると見ていいと思います。選手会側は下手をすれば12月にずれ込むかも??という勢いの11月のポストシーズン案も出しました。
オールスターやHR競争をレギュラーシーズン終了後に開催するという案も。
ただでさえ短くなったシーズンです。しかもファンも色々とがっかりしているところをなんとか野球で盛り上げようという姿勢だけは感じられます。
一方、MLB側にはエンターテインメントの要素を含んだ提案がなく、BEP(損益分岐点)ばかりであるとも言えるでしょう。たしかにない袖は振れないのは痛いほどわかるのですが、喫緊の資金繰りではなくここ2年ほどの事態を予測して財布のひもを締めたがっているようにも見えます。不思議なことに今、株価は上がっているのでファンドも悪くはないはずです。
MLB側が試合数を増やすのを嫌がっている理由は、無観客で行った場合、選手たちのサラリーによって1試合当たり平均で$640Kの損失が出るという試算が出ているからです。
つまり試合をすればするほど赤字を垂れ流す事態になるので、どうしても試合を減らしたい一心としか思えませんね。
選手会も聖人とは思っていませんが、アツさは感じられます。まだファンに対する誠(まこと)の量は選手会の方が多いと思っています。
選手会は10日(水)、ドラフトの日にレスポンスすることになっています。
たぶん、拒否で終わると思いますが、そうなるとますます50試合プランが現実味を帯びてきそうです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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