G・ラックスがレッズへ
現地2025年1月6日、ドジャースとレッズの間でトレードが成立。成長の跡が感じられたギャビン・ラックスがドジャースを離れ、レッズに移籍することとなりました。ギャビン・ラックスはドジャースの下位打線で大谷選手につなぐいい働きを見せることもあり、残念ですね。
確かにドジャースは左打者が多く、左右のバランスが悪いですが、しかしラックスを出してメジャー実績のない左打者を獲る(後述)というのも今ひとつわからない編成ですね。
トレード概要
このトレードで動くのは計2人。
レッズGet
- ギャビン・ラックス(Gavin Lux/27)2B/ B:L T:R
ドジャースGet
- マイク・シロタ(Mike Sirota/22) OF/ B:R T:R
- 6月の誕生日で22歳になるので、その年齢を記載しています。
- Competitive Balance Round Aのピック権(全体37位)
破格の贅沢税超えとなっているドジャースはドラフト・ピック権が下がりまくっているので、ここでルーキー獲得の権利を取得。
フロントはラックスに物足りなさを感じた?
ドジャースは現地2025年1月3日にKBOで活躍していた内野手のキム・ヘソン(Hyeseong Kim)をポストティングで獲得。3年/$12.5M (2025-27) + オプションというかなりお得な額でのディールでした。彼は右投げ左打ち。これが今回のラックスのトレードの引き金になったのも事実です。
ギャビン・ラックスは2025年で27歳のシーズンとなります。ドラフトは2016年のドジャースの1巡目指名で、2019年シーズン終盤に昇格する頃にはトップ・プロスペクトとして頭角を現しつつありました。ただ、デビュー後は多く人が期待したような強烈なスター選手にはならなかったのも事実です。
ドジャースのSSの状況
そもそも左打者が多かったドジャース。ラックスがデビューした2019年はコーリー・シーガー、ジョク・ピダーソン、コディー・ベリンジャー、さらにはアレックス・ベルドゥーゴと左の好打者のオンパレードでした。
コーリー・シーガー
2019年当時のSSはコーリー・シーガー。
コーリー・シーガーは2016年にROY、シルバースラッガー賞、MVP投票3位と強烈なルーキー・イヤーを過ごし、翌2017年にも2年連続でシルバースラッガー賞を受賞するなど、ドジャースのSS=コーリー・シーガーという図式が定着しておりました。しかし、そんなコーリー・シーガーも壁にぶつかります。2017年途中から右肘に痛みを感じ始め、2018年はなんとか開幕を迎えたものの、4月29日に離脱。右肘のUCLの損傷が判明し、トミー・ジョン手術を実施しました。さらにリハビリ期間中の同年8月には左腰(お尻)も手術し、体のメンテナンスを徹底して行いました。
この頃はラックスはまだメジャーに手が届かず。このあたりのズレもラックスにとっては不運な面もありました。2019年にコーリー・シーガーはメジャーに復帰。二塁打44本を放つなどさすがの成績をマーク。さらに2020年はSSとしてワールドシリーズ制覇に貢献。
翌2021年は5月15日にマーリンズのロス・デトワイラーから死球を受け右手を骨折。この頃、ドジャースは、コディ・ベリンジャーの負傷を含め、多くの怪我人が発生。コーリー・シーガーは7月30日に復帰しましたが、その直前にドジャースはトレードデッドラインでトレイ・ターナーを獲得しました。
コーリー・シーガーは2021年は95試合で .306/.394/.521をマーク。やはり出れば抜群の成績を残したのでした。
2021年はコーリー・シーガーのFA前のファイナル・イヤーでしたが、ドジャースはそのまま彼を市場に流しました。勿体なかったですね。
トレイ・ターナー
2021年8月からドジャースに移籍したトレイ・ターナーは同年は2Bとして出場しました。
そして、2022年からコーリー・シーガーがレンジャーズに移籍した後、ドジャースのSSを守ったのがトレイ・ターナー。2022年はSSとして160試合に出場し、.298/.343/.466、OPS .809の素晴らしい成績をマーク。しかもHR 21、SB 27、RBI 100です!!トレイ・ターナーは2022年がFA前のファイナル・イヤーでした。ドジャースはターナーと契約するかと思ったのですが、ターナーの方が東海岸でのプレーを望んでいたこともあり、結局、フィリーズとサインしました。
大チャンスを大怪我で逃したラックス
上記のような状況でギャビン・ラックスにはなかなかチャンスが巡ってきませんでした。コーリー・シーガーとトレイ・ターナーがいたのですから、ハードルが高過ぎましたね。
2019年と2020年の出場試合数は42試合(222試合中)。
2021年、ドジャースはラックスにユーティリティー・ロールを課し、経験を積ませます。この年、ラックスは1BとC以外のすべてのポジションをこなしました。CFでウォールに激突し、現場を再現されるシーンもありましたね。
2021年は102試合に出場し、.242/.328/.364、HR 7。2022年は主に2Bを守り、ようやく本職のSSに近づきます。129試合に出場し、.276/.346/.399、HR 6と前年を上回る成績を残します。
ドジャースがコーリー・シーガーとトレイ・ターナーをFA市場に流したのはギャビン・ラックスを次のSSとして有望視したため。ついに大チャンスが巡ってきたギャビン・ラックスはSSとして真価を試されるシーズンになりましたが、なんとスプリング・トレーニングのゲーム中の走塁で右膝ACLを断裂。待望のSSのレギュラーを大怪我で逃してしまうことに。ここでもギャビン・ラックスの不運な面が発動してしまいました。これはメジャー・ファンとしても残念な結果に。
2023年、ドジャースのSSにはミゲル・ロハスが入りました。
そして2024年。怪我も癒えたラックスはスプリング・トレーニングでも好調で今季こそ!という準備が整いましたが、今度はあろうことか、スプリング・トレーニングでスローイング・ミスを連発。これでドジャースはラックスを2Bに戻し、ムーキー・ベッツをSSに起用したのでした。ちなみにラックスはLFとしてプロキャリアをスタートさせましたが、マイナーでもスローイングの精度に問題があったと言われています。
2024年、大谷へ繋いだラックス
ムーキーへの負担を強いてしまったラックスですが、2024年は139試合に出場。.251/.320/.383、HR 10をマーク。下位打線として大谷選手に繋ぐ役割を果たしました。ただ、数字は確かに物足りなさが残りました。
プロスペクト時代の期待が大きかっただけにフロントとしてはこれが真価という判断を下したと思われます。まだまだ伸びる要素があっただけに残念ではあります。
2025年のドジャースの守備
ドジャースは早々にムーキー・ベッツを2025年もSSとして起用する方針を明かしています。
ただ、延長契約を結んだトミー・エドマンを有効に使ってもたいたいですね。
決まっているのは守備は心もとないものの、打撃力がすごいマックス・マンシーが3B、不動の1Bでフレディー・フリーマン。内野の2つはこの2人で決まり。 OFはLFに再契約にこぎつけたテオスカー・ヘルナンデスが入り、これも決まり。
ドジャースは守備力の高いトミー・エドマンをCFに起用したいようですが、ムーキーのオフェンス力を最大化させるにはムーキーはRFがベストで、エドマンをSSに起用してもらえたらなとは思います。ムーキーを内野で起用するなら負担の軽減の意味で2Bの方がSSより良いと思いますが、やはりRFがベストです。
2024年にルーキーとして大いに活躍したアンディー・パヘスをCFに、トミー・エドマンは内野で起用してもらいたいところです。二遊間がバッチリ決まらないので、ムーキーのSS説が出るのでしょう。まだキケ・ヘルナンデスとのディールは決まっていませんが、もし再契約となるなら、キケをRFか2Bにというのも選択肢の一つですね。あとは早打ちが懸念ですが、クリス・テイラーというもう一人のスーパー・ユーティリティーもおります。キムは2B確定というよりは、バックアップ的な使い方で様子を見ていくのではないか?と思います。本当になんで左打者を獲るのだ?とは思います。
(LAD)マイク・シロタ
マイク・シロタはMike Sirotaと書き、SHIROTAではありません。ニューヨーク州出身で2003年6月16日生まれの21歳(現地2025年1月7日時点)。6月に22歳になります。
高校卒業後、2021年のドラフト16巡目でドジャースから指名されましたが、大学進学を選択。ノースイースタン大学で3シーズン、また合間にケープコッドリーグ(Cape Cod League)で2シーズンプレーした後、2024年のアマチュアドラフトでシンシナティ・レッズから3巡目で指名されてサイン。その後、ACLレッズ(ルーキー・リーグ)にアサインされましたが、マイナーではまだプレーしておらず、2025年がプロデビューとなります。
OFで2023年にはノースイースタン大学で55試合に出場し、打率.348、HR18、RBI 54をマーク。2024年は51試合に出場し、打率.298、HR 7、RBI 37とやや低迷。ただ、BB 59を記録しており、選球眼は確かなようです。
ドジャースはもうこの選手を狙っていたのでしょうね。
レッズでのラックス
レッズは今オフ、2Bのジョナサン・インディアをロイヤルズにトレード。ブレイディー・シンガーを獲得しました。
ギャビン・ラックスはその2Bの有望な候補。ただし、レッズはおそらく2025年もSSはエリー・デラクルーズが守ることになるでしょう。そして2023年にダスティン・ペドロイア的な活躍を見せ、2024年は怪我で泣いたマット・マクレーンが2Bの有力な候補。ラックスはマット・マクレーンとの競争、ああるいは3Bでノエルビ・マルテ、ジェイマー・キャンデラリオ、サンティアゴ・エスピナル、スペンサー・スティールらとの争いに。
守備重視ならひょっとしたら、エリー・デラクルーズを3B、SSにマット・マクレーン、2Bにギャビン・ラックスという布陣もあり得ますね。
新監督のテリー・フランコーナがどう配置するでしょうか?見ものですね。
お読みいただき、ありがとうございました。
コメント