HOU-CHCトレード
現地2024年12月13日、大きなトレードが成立しましたね。シカゴ・カブスはアストロズから強打のOFのカイル・タッカーを獲得しました。
打撃に泣いたカブスだけにOFにテコ入れしましたが、2024年にトレードで獲得して以来、カブス打線に火を点けたアイザック・パレデスを出して大丈夫か?というトレードでもあります。
トレード概要
カブスGet
- カイル・タッカー(Kyle Tucker/28)OF/ B:L T:R
アストロズGet
- アイザック・パレデス(Isaac Paredes/26)3B, 1B or 2B/ B:R T:R
- ヘイデン・ウェズネスキー(Hayden Wesneski/27)RHP
- キャム・スミス(Cam Smith/22) 3B or LF/ B:R T:R
アストロズ、噂通りに実行
ここ数シーズンはOFとしてはアストロズだけでなく、MLB屈指の選手としての呼声の高かったカイル・タッカーですが、数週間前からアストロズは彼のトレード・オファーをオープンにするという姿勢を見せました。
アストロズにとって金を生むガチョウのような存在のカイル・タッカーを出すのは信じられないことでしたがここにそれが実現。どうやら、アストロズは財政的な懸念のため、カイル・タッカーを放出した模様。ただし、コンテンダーへの意欲を失っていない証拠にカブスからはアイザック・パレデスを獲得しています。
カイル・タッカーの契約内容
カイル・タッカーのMLSは2025年1月時点で5.079。2025シーズンを過ぎればFA資格を得るというステータスで、アストロズは延長契約もしておらず、2024年のサラリーは1年/$12M (2024)。調停のステータスとしては高額ではあり、2025年はさらに上がると思われますが、それでももう1年は管理下に置くことができた訳です。ゆえに勿体ないというのが正直な感想です。
2024年は贅沢税の閾値超え
アストロズの贅沢税ですが、2024年は約$258.8Mで、閾値の$237Mを超えました。2023年は約228.9Mで閾値の$233Mを超えておらず、超過1年目です。
2024年分はバーランダーの高額分もあり、超過額の最初の$20Mを超えており、税率も上がるのは確かです。ただ、現時点で2025年の贅沢税上のペイロールは$217Mで、閾値は$241Mではあるものの、もしもタッカーの2015年のサラリー$15Mから$20Mをを加算した場合、$241M超えは必至で贅沢税の閾値内で他の選手を獲得するには影響が出ます。
タッカー自身もこの活躍から延長契約されておかしくはない選手なので、財政的にアンマッチが生まれたと考えていいかもわかりません。
アイザック・パレデスのサラリー
獲得したアイザック・パレデスのMLSは2025年1月時点で3.160で、2024年のサラリーは1年/$3.4M (2024)でしたから、2025年のサラリーが上昇したとしても懐具合に影響を与えずというところです。
アストロズは2年連続超過を防ぎ、20245年を閾値内に収めることでリセットを考えているということですね。この調子ですから、FAのアレックス・ブレグマンとの再契約はありませんね。
鈴木選手の名も上がっていたが・・・
なお、ここ数日は鈴木誠也選手もトレードのターゲットして名前が上がっていました。鈴木選手の契約は5年/$85M (2022-26)で、2025年のサラリーは$18M。この辺りがアストロズとは合わなかったのではないかと思います。
選手紹介
【CHC】カイル・タッカー
1997年1月17日生まれのカイル・タッカーは2025年1月の誕生日で28歳になります。ドラフトは2015年のアストロズの1巡目指名で全体5位。高校卒でのドラフトでしたね。
MLBデビューは2018年で21歳の時ですから、順調に上がってきましたね。ただ、最初の2シーズンは定着せず、いずれも30試合未満の出場となっています。
タッカーは2020年の短縮シーズンにレギュラーの座を掴み、60試合中58試合に出場し、マイケル・ブラントリーをDH枠においやり、LFのポジションについております。このシーズンは、打率.268、HR 9、RBI 42、三塁打 6をマークし、OPS+は124を記録。ツインズとのワイルドカードシリーズでも活躍。
2021年には先発RFとなり、メジャー初のフルシーズンを経験。140試合に出場し、打率.294、HR 30、RBI 92をマークし、OPS+は147に。ポストシーズンでもホワイトソックスとのALDS、レッドソックスとのALCSでそれぞれ2HRずつを放ち、大いに活躍。ブレーブスとのワールドシリーズでも.286/ .375/ .381と活躍し、メジャーのOFでカイル・タッカーの存在は大きなものになったシーズンでもありました。
翌2022年は150試合に出場し、.257/ .330/ .478をマーク。2年連続でHR 30を達成。さらにRBIは107とさらなる進化を遂げました。
2023年は157試合に出場し、.284/ .369/ .517をマーク。HR 29、RBI はでキャリア・ハイの112となっております。
2024年は自打球が右脛に当たり、これが結構な怪我となり、6月初旬から9月初旬までほぼ3ヶ月離脱となり、出場試合数も78試合に留まりました。それでも成績は.289/.408/.585と高水準をキープし、しかもこの試合数でHRは23本、RBI は49を叩き出しております。
カブスでの出場機会
カブスではRFを守るにも鈴木誠也選手とかぶってしまいます。CFにはPCAが入るでしょうし、コディ・ベリンジャーは出る可能性もあります。イアン・ハップ、鈴木選手、PCA、カイル・タッカーでどOFを回しそうです。
ただ、鈴木選手のトレード話が消えた訳ではないようですので、ここは様子見です。日本開幕を控えているとは言え、この当たりはメジャーはかなりドライではあるので、ちょっと現時点ではわかりません。
なお、カイル・タッカーは3年連続でオールスター選出、2022年にはゴールド・グラブ、2023年にはシルバー・スラッガー賞を受賞。DHで使うのは守備力があるだけに勿体ないですね。
またタッカーはメジャー7シーズンで94盗塁を決めており、クレイグ・カウンセル監督に攻撃の幅をもたらすことでしょう。
【HOU】アイザック・パレデス
アストロズが獲得したアイザック・パレデスは1999年2月18日生まれの25歳。2025シーズンは26歳で開幕を迎えます。メキシコ出身。
元々はアマチュアFAで2015年7月にカブスとサインしていましたが、2017年のトレード・デッドラインでカブスがジャスティン・ウィルソンとアレックス・アビーラを獲得した際にジェイマー・キャンデラリオと金銭とともにタイガースへ移籍。
メジャーデビューは2020年で60試合中、34試合に出場するも、打率.220と苦戦。翌2021年も苦戦し、23試合の出場で打率は.208。
さらに2022年4月にタイガースがオースティン・メドウズを獲得したトレードでレイズに移籍しました。レイズでの2022年は出場機会もぐっと増えて111試合に出場するも、打率はやはり.205と低迷。ただし、20HRを放ち、その片鱗を見せはじめました。
2023年はさらに出場機会が増え、143試合に出場。123安打を放ち、.250 .352 .488、OPS .840をマーク。HR 31、RBI 98と完全にレギュラーとなりました。
2024年はトレード・デッドラインで元の契約先であるカブスに復帰。今度はマイナーの球場ではなく、リグレーでプレーすることに。レイズでの成績を併せると2024年は153試合に出場し、.238/ .346/ .393、OPS .739と前年からやや落ちという数字で、HRは19本。しかし、彼の移籍後にカブスは息を吹き返し、プレーオフ寸前まで行ったことのは確かですね。
【HOU】ヘイデン・ウェズネスキー
かつて記事も書いたことのあるヘイデン・ウェズネスキー。キャリア前半の詳細は下記をご覧ください。
2023年は期待されながらも、34試合、11先発とローテーションの谷間を埋める役割で、3勝5敗、ERA 4.63。2024年は28試合中、7試合に先発し、3勝6敗、ERA 3.86。いい投手なのですが、もう一息というところです。
アストロズではブルペンとして期待されているようです。
【HOU】キャム・スミス
キャム・スミスは2024年のアマチュア・ドラフトでカブスから1巡目指名された3B or LF。アレックス・ブレグマンのFA流出已む無しのアストロズにとっては将来的には彼を3Bに就かせたいところです。
2024年はクラスAからスタートし、クラスA+、そしてダブルAまで昇格しており、2024年の3レベルでの合算成績は.313/ .396/ .609、 HR 7といい数字を残しています。ひょっとしたら、2025年中のデビューもあるかもしれません。
カブスの動向にまだ目が離せません。
お読み方いただき、ありがとうございました。
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