MLS 18.057 のベテラン右腕
現地2023年2月3日のこととなりますが、カンザスシティ・ロイヤルズがMLS 18.057(2023年1月時点)のベテラン右腕のザック・グレインキと正式にサインしました。
本日記事にしたのは現地2023年2月6日、そのディールの金額が明らかになったためです。
ザック・グレインキは2023シーズンがメジャー20シーズン目。誕生日が1983年10月21日ですから、2023シーズンは39才で30代最後のシーズンとなります。
【YOUTUBE】Series-Opening Shutout | Royals Top Angels
契約内容
ロイヤルズとザック・グレインキは以下の内容でサインしています。
- 1年/$8.5M (2023)
- パフォーマンス・ボーナス: 最大$7.5M
- $0.45M x 10 (90 IP /95/100/105/110/115/120/125/130/135 IPごとに)
- $0.3M x 10 (140 IP/ 145/150/155/160/165/170/175/180/ 185 IPごとに)
- パフォーマンス・ボーナス: 最大$7.5M
パフォーマンス・ボーナスを除けば、$8.5M保証。もしも185.0 IPを投じたなら、パフォーマンス・ボーナスが満額となり、最大で$16Mのディールに。ちなみに2022シーズンは137.0 IPを投げています。
2009年のサイ・ヤング
ザック・グレインキは、2002年のアマチュア・ドラフトでロイヤルズから1巡目指名を受けてプロ入り。全体順位は6位。この時、フロリダの高校を出たばかりで、高校生右腕の全体6位というのは非常に珍しいです。今の右投手のドラフト上位は大学生がほとんどを占めています。
MLBデビューは2004年。ロイヤルズではMLBキャリアの最初の7シーズンを過ごし、2009年に33スタート、229.1イニング、16勝8敗、ERA2.16で見事にALサイ・ヤング賞を受賞。SO9が9.5、BB9が2.0、HR9は0.4をという素晴らしさ。
ロイヤルズは1985年にワールドシリーズを制して以降、チーム力は徐々に低迷。特に1999年から2010年まではいわば暗黒期とでも言っていいような時期。この12年間の成績は、地区最下位(5位)が6度、地区4位が5度で最高順位は2003年の3位。ずっと沈んでいたような状態でした。
2009年は4位のシーズン。そんな中にありながらも、上述の高品質のERAを叩き出してサイ・ヤング賞を受賞したザック・グレインキはいかに孤高で格好良かったか!ということでもあります。
その後は、2011年から2021年にかけて、ブルワーズ、エンゼルス、ドジャース、Dバックス、アストロズに在籍し、いずれも成功。2022年に古巣に戻り、さあ30代最後のシーズンへという流れです。
143kmの投球芸術
ザック・グレインキの2022年の4シームのアベレージは89.1mph。Kmh換算で、143kmhです。右投手の先発であれば、150kmh(93.2mph)以上が全盛の中、まさに独自路線というところ。
ザック・グレインキが89mphでもメジャーのスターターを任せられているのは、一つには強烈なオフスピード・ピッチがあること。カーブのことです。
ザック・グレインキはあくまで4シームを軸に投球を組み立てており、全投球の約40%近くを投げますが、上述のように93mphがアベレージです。それを速く見せるためにカーブを使っているわけですが、そのベロシティー(速さ)はなんと72.0 mph平均 ( 115.873 kmh )。2020年に至っては 70.5mph 平均( 113.45kmh )を記録。よく、イーファス(超スローボール)も投げていますが、それももちろん4シームを速く見せる手段の一つ。
そのカーブですが、全投球の約20%を占めます。きれいに4シームの半分のシェアになっています。つまり4シームを2球投げれば、必ずカーブが1球ついてくるようなセット感で速く見せているということです。
その他にもチェンジアップ、カット、スライダー、シンカーを持ち合わせており、投球シェアはこの順番。
さらにザック・グレインキには、粗削りなプロスペクトにはない、実に丁寧なコマンドがあります。コマンドとは言ってみれば枠の出し入れ。ストライクを取れるかどうかがコントロールですが、それを進化させたのがコマンドで、ベテランほどしっかりと身に着けている技術。
まさに投球芸術といったところです。
モリーナとのコンビも見たかった
ロイヤルズの捕手、サルバドール・ペレスはGG賞5度のすごい捕手。2023年もザックとのバッテリーが見られるのはファンとしてはありがたいです。
ザックは、ロイヤルズも含めて計6クラブに所属してきましたが、ヤディアー・モリーナを相手に投げるシーズンがあったとしたら、面白かっただろうなと思います。モリーナの場合、時に「ずるいよ」というようなダーティーなリードをすることもあるので、ザックを相手にしたのなら、どのようにして打者を出し抜くだろうと思うとなかなか興味深いです。
但し、それ以前にコミュニケーションを取れるかどうかですが・・・
KCのピッチング・コーチはなかなか大変
ブレイディー・シンガーを軸に、ローテーションを組み立てるロイヤルズは、FAで獲得したジョーダン・ライルズとともにザック・グレインキも獲得出来ました。
左腕のダニエル・リンチ、クリス・ブービックにも頑張ってもらい、頼りになる5枚を作りたいところです。ブルペンとして数えられているかもしれませんが、レイズからノンテンダーとなったライアン・ヤーブローもいますね。
ロイヤルズのブルペンは後ろが非常にいいです。クローザーのスコット・バーローとディラン・コールマンの2人はMLBでもトップクラスの2枚と言えるでしょう。今季はどこまで復活できるかわかりませんが、アロルディス・チャップマンもいます。
後ろが良いだけになおさら、先発には頑張ってもらいたいところです。現場のピッチング・コーチはなかなかやりがいのある投手陣かと思います。
そしてザック・グレインキとアミール・ギャレットがいる投手陣を率いる投手コーチは別の意味でも大変そうです。
ピッチング・コーチは、現役時代、マリナーズで投げていたブライアン・スウィーニー(Brian Sweeney)、ブルペン・コーチは、2007年から2011年までブルワーズの左腕として活躍していたミッチ・ステッター(Mitch Stetter)です。
お読みいただき、ありがとうございました。
コメント