FAでTJ手術となった投手をケアする契約
現地2023年1月31日、トロント・ブルージェイズはヤンキースからFAとなっていた豪腕リリーバーのチャド・グリーン(Chad Green )と2年/$8.5M保証でサインしました。
チャド・グリーンは現時点でトミー・ジョン手術のリハビリ中。
肘を壊したのは2022年5月19日のオリオールズ戦のこと。3番手として6回途中、ミゲル・カストロをリカバリーする形で登板しました。代わりばな、ロビンソン・チリノスを三振に仕留めたまでは良かったものの、セドリック・マリンズに犠牲フライ、代打のルーグネッド・オドーアにタイムリーを打たれ、ピンチを広げたところで、トレーナーにマウンド・ビジットを要求します。怪我なのは明らかでした。
降板時はどこを痛めたのか不明でしたが、直後に右肘であることが判明。キー・リリーバーが重大箇所を故障したということで即座に精密検査を実施したヤンキースでしたが、トミー・ジョン手術が必要であることが判明。これにより、チャド・グリーンはシーズン・エンディングとなりました。
2022シーズンは14試合、15.0イニングでERAは3.00。
手術は2022年6月初旬(3日か4日)に行われました。
最悪のタイミングでのFA
上述のような経緯でトミー・ジョン手術を行ったチャド・グリーン。余裕のあるスケジュールで復帰を見込むめば18ヶ月はかかりますし、仮に15ヶ月で復帰したとしても9月に数試合投げるだけになりますから、2023年は全休です。
チャド・グリーンはFA資格取得まであと数ヶ月というところでトミー・ジョン手術となった訳ですが、60 DAYS ILとなったので、資格は取得出来ました。しかし、FAイヤーに存分に働けるかどうかで次の契約の金額が跳ねるかどうかが決まりますので、その意味では最悪のタイミングでした。
もしもそれがなければ、今オフ注目のトップ・リリーバーとして数えられたところでしょう。
契約内容
さて、契約内容です。
- 2年/$8.5M保証 (2023-24) + オプション
- $2.25M(2023)
- 3年/$27M (2024-2026) クラブ・オプション($9M/年)
- もし、トロントが2024年のクラブ・オプションを拒否した場合、チャド・グリーンは2024年を$6.25Mに出来るプレーヤー・オプションを発動可能。
- さらに、2023年に40/45/50/55試合に登板すれば、それぞれ$0.25Mずつベースサラリーに反映(これはそもそも無理な設定)
- もし、両者のうちのどちからが2024年のオプションを拒否した場合(実質、チャド・グリーンが拒否した場合)、トロントは2年/$21M(2024-2025)、$10.5M/年での契約を発動可能。
- さらに2023年に60/65試合に登板すれば、$0.5Mずつアップ(=ボーナスは$1M)(これもそもそも不可能だが設定として入っている)
- もし、トロントが2024年のクラブ・オプションを拒否した場合、チャド・グリーンは2024年を$6.25Mに出来るプレーヤー・オプションを発動可能。
トミー・ジョンからの復帰をケアする契約
複雑に見えますが、2023年は全休が決まっている中、ブルージェイズは$2.25Mを支払います。
そして、復帰となる2024年に向けて、もしもブルージェイズが3年/$27M (2024-2026) のオプションを拒否したとしてもチャド・グリーンは最低でも2024年は$6.25Mでプレーすることは可能。
また「両者ともに2024年のオプションを拒否した場合」というより、これはチャド・グリーンが2024年のオプションを拒否した場合という設定で、その場合はブルージェイズが2年/$21M(2024-2025)の契約を発動できるとしています。
いずれにせよ、チャド・グリーンは2022年の$2.25Mと、プレーヤー・オプションとなった場合の$6.25Mを合わせた2年/$8.5M(2023−2024)は最低でも保証されているということになっています。
ブルージェイズからすれば、豪腕が復帰すれば、2年間は囲い込めるというメリットがあります。もちろん、スムーズでない復帰もあり得ることではありますが。
豪腕チャド・グリーン
きれいな投げ方のパワーピッチャーというのがチャド・グリーンの印象です。
1991年5月24日生まれ。2023年の誕生日で32才となります。2024年に無事復帰できれば、33才からの再稼働になります。
もともと高校卒の時にブルージェイズから37巡目で指名されています(2010年)。ルイビル大学に進学後、2013年にタイガースから11巡目に指名されてプロ入り。
2015年12月にタイガースが左腕のジャスティン・ウィルソンを獲得したトレードでヤンキースへ移籍。この時、デトロイトからはルイス・セッサも動きました。
デビューは2016年5月16日で、あと数日で25才となる直前でした。
デビュー後は主にリリーバーとして登板してきましたが、2016年は12試合中8試合に先発、2019年には54試合中15試合に先発とかなりのフル稼働状態でもありました。
2017年には40試合、1先発で69.0イニングを投げ、ERAは1.83。2018年は63試合全てリリーフ登板でERA は2.50。
2021年はリリーバーでありながら、10勝7敗をマーク。ERAは3.12。
キャリアを通じて奪三振率が高く、7シーズンで32.5%(リーグ平均は22.3%)。BB%は6.3%でこちらは平均以下でコントロールも良いです。
投球のほとんどは4シームという気持ちの良い投手で、さすがに年々この比率は下がってはいますが、ヘルシーであった2021年は66.2%がそうです。
4シームの平均ベロシティーは2019年が一番速くて96.4mph。肘を壊した2022年であっても94.6mphをマークしていました。復帰後は2022年の平均ベロシティーを上回ると思われます。
【YOUTUBE】Chad Green: Hurler of June | New York Yankees
豪腕の復帰が待ち遠しいですね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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