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【MLB FA 2023】注目SSのトレイ・ターナーはフィリーズに決定!11年/300Mドルの豪華契約へ

フィリーズのSSはトレイ・ターナーに

 今オフは、デーブ・ドンブロウスキー氏の実力をまざまざと見せつけられているような感がありますが、現地2022年12月5日、フィリーズがSSの補強に成功。

 ドジャースからFAとなっていたトレイ・ターナー(Trea Turner)と長期契約でサインしました。

 トレイ・ターナーが加入したことで、ハーパー&ターナーのナショナルズでの強力コンビが再びNLイーストで実現することとなりました。

契約内容

 トレイ・ターナーとフィリーズはご覧の豪華契約でサインしています。

  • 11年/$300M (2023-33)
    • フル・ノートレード条項あり
    • AAVで$27.27M

 長期契約となったので、2034年のオプションなどはない模様です。それにしても、2030年代の半ばが見えようかという最終年の設定はすごいですね。

 また後日、アウォード・ボーナスなどが明らかにになるかもしれませんが、現地2022年12月5日時点では詳細は明確になっておりません。

 トレイ・ターナーのこの契約のAAVは$27.27M。ちなみにブライス・ハーパーの13年/$330M(2019-31)もAAVは$25.38Mで$30Mを超えません。

ゲームに貢献するSS

 今オフはクラブの顔的な存在でもある4人のSSがFAとなりました。カルロス・コレア、ザンダー・ボガーツ、ダンズビー・スワンソン、そしてトレイ・ターナーです。

 この4人の2022シーズンのrWAR (Baseball ReferenceのWAR)は、ボガーツが5.8、スワンソンが5.7、コレアが5.4、そしてターナーが4.9。

 トレイ・ターナーは4人のrWARで比較すると上記の数字になりますが、打撃、走塁、守備とゲームのすべての面でチームに貢献する選手で(甘いマスクも魅力の一つ)、ランナーを背負って打席に立てば得点を期待でき、絶望的なシーンからでも彼の打撃でチャンスメイクすることも可能。さらに安定した守備、素晴らしいベースランニングとバランスに長け、非の打ち所が少ないという点で高い評価を得て当然の選手でもあります。

PHI:ボガーツからターナーへ 

 2022年、フィリーズは地区3位ながらワイルドカード・シリーズに進出。ロブ・トムソン代理監督の素晴らしい采配や中心選手のブライス・ハーパーの怪我からの復帰、カイル・シュワーバーの長打、アーロン・ノラ、ザック・ウィーラーの好調さ、安定していたレンジャー・スアレス、ブルペンの素晴らしい働きなどでワールドシリーズまで勝ち上がりました。

 その過程でやはり弱かったのはSS。ルーキーのブライソン・ストットもいいつなぎを見せるシーンがありましたが、やはり物足りなさがあったと言わざるを得ませんでした。

 よって、SSを今オフの打撃のキーポイントに置いていたデーブ・ドンブロウスキー氏は、早々からレッドソックスからFAとなっていたザンダー・ボガーツに強い関心を示していました。ドンブロウスキー氏は元レッドソックスのベースボール・オペレーション社長で、いわばザンダー・ボガーツを輩出させた人物で、コネクションがあったのです。さらに、レッドソックスのつれない姿勢もそれを後押し。2022年春にボガーツに延長オファーを出したものの、本人の希望とは乖離し、それ以降は話を詰める姿勢が伝わってきませんでした。

 よって、FA解禁当初はボガーツがその有力候補となっていたのですが、ドジャースがトレイ・ターナーを手放したことがわかると、カルロス・コレアも含めてビッグ4には一通り当たった模様。

 そこで東海岸のクラブを熱望していたトレイ・ターナーと条件が合致。サインに至った模様です。

 なお、報道によればパドレスは$342Mのオファーをしたようですが、ターナーは拒否。やはり東海岸でプレーしたかったということの証でしょう。

ドンブロウスキー氏が+アルファのオファー

 トレイ・ターナーの市場でのディールの予測は8年/$268M。これでAAVは$33.5M。現時点で29才で、2023シーズン途中に30才に到達するターナーの年齢を考えると、年数のMAXはこれくらいが妥当なところかと思います。

 2022シーズンで28才であったコーリー・シーガーのレンジャースとのディールは10年/$325M (2022-31)で38才のシーズンまでの設定。また、2022年9月に32才となったマーカス・セミエンは7 年/$175M (2022-28)のディールで、やはり38才までの設定。

 つまり、SSとの契約の年齢のMAXの設定は長くとも38才のケースが多いということです。

 しかし、今回のフィリーズとトレイ・ターナーとのディールは11年/$300M (2023-33)。つまり41才までの設定です。

ドンブロウスキー氏、またやったな

 市場の予測はあくまで予測ではありますが、フィリーズがトレイ・ターナーを獲得できたのはそれよりも長いディールとなったからでしょう。

 これはデーブ・ドンブロウスキー氏のお得意の手法で、デービッド・プライス、クリス・セールなど、+アルファの期間やその間のサラリーをONすることでエージェントからYESを勝ち取るパターン。

 この手法の良い面は競合している選手をゆうゆうと獲得できる点。実際、加入させることでかなりのメリットもあり、ワールドシリーズ・チャンプももたらすことは可能。

 ただし、悪い面はやはり契約終盤でのゲームへの貢献の低下と高額サラリーとのギャップ。これによって選手も大きな批判にさらされますし、クラブ側もサラリーの逼迫で欲しい選手が取れなかったりとなかなかに苦しむことになります。レッドソックスがそうですね。

 今回の良い面はトレードと違い、FAでのディールなので、プロスペクトを差し出す必要がないので、良いプロスペクトを温存できる点です。ただし、贅沢税の基準額を超えるとドラフトには影響が出てきます。

トレイ・ターナーとは

 とにかく、素晴らしい選手であることは間違いないトレイ・ターナーについて簡単に書いておきます。

 1993年6月30日生まれの29才(現地2022年12月6日時点)。フロリダ州の出身で、高校卒の時にパイレーツから20巡目で指名を受けましたが、拒否。ノース・キャロライナ州立大学に進学します。

 2014年にパドレスから1巡目(全体13位)で指名され、プロ入り。

 2014シーズンオフに、パドレス、レイズ、ナショナルズの3チーム間で、PTBNLを含め総勢11人が動くトレードが実現。ウィル・マイヤーズがレイズからパドレスに移ったあのトレードです。後日、2015年6月にPTBNLで、トレイ・ターナーがピックされ、1巡目であったにも関わらず、サインから1年後にナショナルズにトレードとなりました。

 デビューはナショナルズ移籍後の2015シーズン。22才の時です。この頃、ナショナルズのSSにはイアン・デズモンドがおり、バリバリに君臨していた状態でした。デズモンドはオフにFAを控えていたこともあり、ナショナルズはプロスペクトのターナーをコールアップして、メジャーの試合になれさせました。

 2016シーズンにレンジャーズへターナーは2016年は73試合に出場。ナショナルズのSSにはダニー・エスピノーザというゲーム内で素晴らしい働きをする選手がおり、彼がメインSSに入り、ターナーはユーティリティとして73試合に出場。打率.342、OBP .370、SLG .567、13 HR、33盗塁、40 RBIでROY 2位に入りました。

 2017年からSSとしてゲームに出始め、98試合で打率.284、盗塁 46をマーク。

2018年には162試合にフル出場。打率.271、OBP .344、SLG .416、19 HR、73 RBi 、43盗塁。

 それ以降のトレイ・ターナーの活躍はご承知の通りです。

【YOUTUBE】Trea Turner to the Phillies!! Dodgers/Nationals star going to Philly reportedly! (Career Highlights)

  • オールスター出場:2度 (2021 & 2022)
  • シルバー・スラッガー賞:1度 (2022)
  • NL 打率1位:1度 (2021: .328)
  • NL At-Bats(打数)1位:(2018 & 2022)
  • NL最多安打:2度 (2020:78 / 2021: 195)
  • NL TB(Total Bases) 1位: (2021: 319)
  • NL 最多シングルヒット:2度 (2021: 130 / 2022: 130)
  • NL 最多トリプル: 1度 (2020:4)
  • NL 盗塁1位:2度 (2018: 43 / 2021: 32)
  • 20HR以上のシーズン: 2度 (2021: 28 / 2022: 21)
  • 100 RBI 以上のシーズン: 1度 (2022: 100)
  • 100 Run Scored 以上のシーズン: 3度 (2018: 103/ 2021: 107 / 2022: 101)
  • サイクル安打:3度
  • ワールドシリーズ・チャンプ:1度(Nationals- 2019)

 フィリーズ、2023年の前半はブライス・ハーパーが不在(トミー・ジョン手術)ですが、いい補強をしましたね。

  お読みいただき、ありがとうございました。

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