WS終了後5日間は現所属クラブとの独占交渉期間
現地2023年11月2日、前日にレンジャーズのワールドシリーズ制覇で幕を閉じたMLBの2023シーズンですが、ワールドシリーズから一夜明け、フリーエージェント(FA)がまもなく解禁となります。注意しなければならないのは、フリーエージェントはまだ新しいクラブと契約できないという点。解禁となるまでにはあと5日待たなければなりません。ワールドシリーズ終了後のオフシーズンの最初の5日間は現所属クラブとの独占交渉期間であり、選手は所属したクラブとしかまだお金の話をすることができません。
そんな中、現地2023年11月2日、ドジャースは、INFのマックス・マンシーと2年/$24Mの延長契約を交わしたと発表しました。もうオフィシャルです。
契約内容
契約内容は以下の内容です。マックス・マンシーのMLSは2023年1月時点で6.027。2024年1月時点ではシンプルに1を足したとして7.027です。
- 2年/$24M (2024-25) + 2026 $10M クラブ・オプション
- サイニング・ボーナス:$5M
- サラリー:$7M(2024)、 $12M(2025)、$10M(2026) クラブ・オプション (バイアウトなし)
- パフォーマンス・ボーナス:PA(打席数)に応じる(詳細は現時点では明かされておらず)
$24Mというのは保証されている額で2024年の$10Mは含まれておりません。しかも、バイアウトなしです。
驚きの2年/24Mドル?!
サラリーとの関係性はあるものの、ドジャースは今ワールドシリーズでMVPを受賞したコーリー・シーガーを手放し、2017年のROYでしかも2019年にMVPを受賞したコディー・ベリンジャーさえも手放しました。しかし、打撃力を維持するためにキープしてきたのがマックス・マンシーでした。「そのマンシーとこの契約?」これは筆者の心の声ですが、つまり、「安すぎはしないのか?」というのがまず驚かされた点です。
直前の契約
マックス・マンシーとドジャースの直近の契約はご覧の内容でした。これは2022年の8月22日に交わした契約。
【マックス・マンシーの旧契約】
- 1年/$13.5M (2023)+2024 $10M クラブ・オプション
- $13.5M(2023)、$10M(2024)クラブ・オプション
- 2024年のクラブ・オプションはPAによってベース・サラリーにプラス。
- PA: 50/ 250/ 300/ 350ごとに$025M >>> $1M
- PA: 400 /450ごとに$0.5M >>> $1M
- PA: 500/ 550 ごとに$1M >>> $2M
- トレード・ボーナス: $1M
前の契約では2024年のサラリーは$14Mだったのに、新契約では$7Mとなっています。もっともサイニング・ボーナスの$5Mがついているとは言え、それでも$14Mには届きません。しかもマックス・マンシーの2023年のPAは579。パフォーマンス・ボーナスの設定も全てクリアーして$4Mプラスで計$18Mの筈なのに。
内容的には旧契約でアップした分を後ろに伸ばしたような新契約でした。AAV(Annual Average Value:平均年俸)は$12M。
なお、この前の契約は2020年2月に調停を避けてサインした3年/$26M (2020-22)+ 2023 $13Mクラブオプション($1Mバイアウト)でした。
今回の契約で落ち着いた理由
とにかくハード・ヒッターという印象しかないマックス・マンシー。調停資格の間は他の選手に比べて良いサラリーはもらっていたと思います。FA市場に出る前に延長契約で上書きしたのが前の契約で、今回もオプションを上書きする形での新契約となり、FA市場には出ないとことに。
年齢要素
マックス・マンシーは1990年8月25日が誕生日で、今季は33才。彼がFA市場に出ないのはこの年齢要素もあると思われます。
A’s リリースからのLADでの活躍
またキャリアの点からも今回の契約で落ち着いた理由もわかりそうです。
マックス・マンシーは2012年のアスレチックス5巡目指名でプロ入り。この時は21才。その3年後の2015年、24才でメジャー・デビュー。この年は、45試合で102-21、打率.206、HR 3、RBI 9。2016年も似たような成績で、51試合で113-21、打率.186、HR 2、RBI 8。アスレチックスでの2シーズンはこのような成績だったため、2017年1月にDFAとなりました。DFA後、アスレチックスのマイナーへアウトライトとなります。
不本意なまま迎えた2017年の開幕。直後の4月28日にドジャースとマイナー契約を結ぶことに。そう、マンシーのドジャースでのスタートはマイナー契約から始まったのです。最初のベースがメジャー最低年俸からのスタートでした。
その1年後、2018年4月17日にドジャースでデビュー。ここからが現在のマックス・マンシーの姿となります。快進撃の始まりです。前半だけで74試合に出場したマンシーは、打率.271、OBP .409、SLG.604でOPSが1.013。22 HRで41 RBIを叩き出し、オールスターに出場。後半戦も調子を維持し、この年は計35 HR、79 RBIをマーク。マイナー契約で入りながら、MVP投票でも15位にランクイン。
それ以降はほぼ毎試合のように出場し、ドジャースに欠かせない存在に。ドジャースでの6シーズンの成績は751試合で、打率.230、OBP .350、SLG .486、OPS .842、OPS+は125。2023シーズンも36HRを記録しています。
素晴らしいところは、BB%。選球眼が良く、キャリア通算のBB%は15.0%。これはMLB平均の8.4%を大きく上回ります。ただ、SO%も高く、キャリア通算で24.5%。MLB平均の22.1%を上回り、2023年は26.4%を記録しました。数としては153個。多いですね。これはインプレーのボールのアベレージが低いことを表します。言ってみれば打率が低すぎるという欠点があります。ここ2年の打率は2022年が.196、2023年は.212です。それでもOBPがある程度高いのはBB%が高いからです。ほぼカイル・シュワーバーと同じタイプと見ていいかと思います。
年々確かさが低くなっているとも言えます。2018年の活躍が衝撃的過ぎたのかもしれません。
2024年のDHは大谷選手?!
マックス・マンシーは2B、3B、1Bも守りますが、1Bはフレディ・フリーマンで固定。2023年にACLを断裂してシーズンを棒に振ったギャビン・ラックスがそのままSSに入ればいいですが、2Bに回る可能性も。その他、ミゲル・バルガス、マイケル・ブッシュ、クリス・テイラーという3B候補もおり、マンシーがポジションをキープするかどうかは微妙。
となるとDHになるのですが、2023年にDHを務めたJ.D.マルティネスはFAとなるのが確定的。そしてDHはひょっとしたら大谷選手になるかもしれません。契約はわかりませんが。
そうなるとマンシーは3B出場にかけることになり、打撃と守備のバランスから行くと、新契約は割と適正な価格であったとも言えるでしょう。大谷選手を確保する上でもマンシーのAAVが$12Mに収まるのはドジャースとしても御の字というところかと。
ということはドジャースはやはりよく考えているなということになりそうです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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