2023年からのフィールド上のルール変更が正式に決定
現地2022年9月9日、MLBはJoint Competition Commitee (以下、合同競技委員会)の投票を通じ、2023年のフィールド上のルール変更を決議したと発表しました。
MLBはマイナー・リーグ・レベルでテストを実施。それらのデータに基づき、新しいルール変更を検討してきました。今回の決議で2023年からフィール上のルールが変更となります。変更の目的は、ゲーム時間の短縮、安全性の確保。
なお、2021年12月から新CBAの交渉で99日間にわたり、ロックアウトとなりましたが、その際は162試合シーズン実現に向け、集中していたトピックは経済面に偏ったため、フィールド上のルール変更の検討を行っていたという背景もあります。
合同競技委員会
なお、賛成票を投じた合同競技委員会は以下のような構成になっています。
- 6人のオーナー代表者
- ジョン・スタントン(SEAオーナー)、ビル・デウィット(Bill DeWitt/ STLオーナー)、トム・ワーナー(Tom Werner/BOSオーナー)、グレッグ・ジョンソン(SFGオーナー)、ディック・モンフォート(COLオーナー)、マーク・シャピーロ(Mark Shapiro/TORプレジデント)
- 4人のプレーヤー
- ジャック・フラハーティー(STL)、タイラー・グラスノー(TBR)、ウィット・メリフィールド(TOR)、オースティン・スレーター(SFG)
- 1人のアンパイア
- ビル・ミラー(Bil Miller)
大きな変更点が3つ
今回の大きな変更点は3つです。以下の埋め込みとは順番は違いますが、記事はこの順に書いていきます。
- ピッチ・タイマー(=ピッチ・クロック)の導入
- シフト制限
- ビガー・ベース(ベースが大きくなる)
New on-field rules instituted beginning with the 2023 season to create more game action and improve pace of play: https://t.co/wf01JRYC3t pic.twitter.com/ZlhkeyBPKE
— MLB (@MLB) September 9, 2022
【1】ピッチタイマー
これは時間短縮を命題としている現コミッショナーがもっとも力を入れているものです。マイナーでのテストでは試合時間が26分短縮されたとのことです。
制限時間
- 【投手】
- 走者なし:15秒 (マイナーでのテストでは平均14秒)
- 走者あり:20秒 (マイナーでのテストではトリプルAでは19秒)
- 【打者】
- 投球間の準備:残り8秒までに完了
- (走者なし:カウントスタートから7秒までに/ 走者あり:カウントスタートから12秒までに)
- 打者交代:30秒
- これは次打者が打席に入る時間、あるいはPH(代打)が交代する際の時間の双方という認識です。
- 投球間の準備:残り8秒までに完了
- 【イニング間/投手交代】
- 135秒
【定義】
- 投手は投球タイマーが切れる前に投球の動作を開始しなければならない。
- 投手がタイマーに違反した場合、自動ボールとなる。
- 打者は、残り8秒までにバッター・ボックスに入り、投球に対峙する用意をする必要がある。
- タイマーに違反した打者には、自動ストライクが課される。
ピックオフの制限
- ランナーがいる場合、ピッチャーがピックオフ(牽制)を試みるか、ラバー(ピッチャー・プレート)を踏み外すとタイマーはリセットされる。
- 投手は対戦する打者一人つき、2回の離脱が許される。離脱とは、牽制、あるいは牽制の偽投(MLBでは2塁への牽制でよくやります)、あるいはプレート外しのこと。
言ってみれば、牽制は2回まで。- 走者が進塁した場合、この回数はリセットされる。(仮にバント失敗で走者が同じ塁に残った場合は、打者が変わるのでリセットされる認識です)
- 3回目のピックオフの試みが成功しなかった場合、ボークとして、走者は自動的に1つ進塁する。
マウンドビジットなど
- マウンドビジット、インジャリータイムアウト、オフェンスチームのタイムアウトは、離脱にカウントされない。
- 9回までに5回のマウンドビジットを使い切ったチームには、9回に追加のマウンドビジットが与えられる。
- アンパイアは、特別な状況によって正当化される場合、時間を延長することができる。(例えば、捕手がマスクなどのギアをつける時間など)。
ピックオフの制限は、少なくとも足の速い走者には、より積極的な走塁を促す効果があるとされています。それはそうでしょう。投手が2回の牽制やプレート外しを行うと、もう走者は走ることに注力できますから。
マイナーでのテストでは2019年は盗塁の試みが2.23/試合だったものが、2022年は2.83/試合に増加。そして成功率は68%から77%にアップしたとのこと。
【2】シフト制限
極端なシフトはメジャーの代名詞のようになっていましたが、普通に守っていれば2Bゴロ、あるいはSSゴロというケースも多かったです。ただ、CF前を阻止したというケースは非常に多かったと思います。この目的はゲームをより伝統的な美しさに戻すためでもありますし、ボールインプレーの打率を高めるためでもあります。
- 内野に4人の選手(ピッチャーとキャッチャーを除く)を配置することが要求される。
- そのうち、二塁ベースの両側2人の選手がいなければならない。
- 内野手は投手がラバーを踏んでいる時、全員が内外野の境界線の内側にいなければならない。
- 内野手はサイドを交代することはできない。言い換えれば、打者がボールを打つ可能性の高い内野の側に、その最高の守備を配置し直すことはできない。
- ある状況下で外野手を内野や浅い外野の芝生に配置することを妨げるものではない。しかし、4人の外野手の配置は禁止される。
- シフト違反は、自動ボールとなる。
【3】ビガー・ベース(ベースを大きくする)
これも予め決まっていたことであります。現在の15インチ四方から18インチ四方に拡大し、衝突の可能性を少しでも抑える策であり、盗塁の数も増やそうという意図もあります。
15インチは、38.1cm。18インチは45.72cmです。
やっぱり、堀り直しますか!
ベースが大きくなるということは現状の位置にはめ込むと、1塁も3塁もファウルラインからはみ出てしまいます。
そうなると受けの金具を掘って埋め直さなければなりません。それは結構、大変な作業なので、どうせ大きいベースを大量に作るなら、上側のベースの底面の金具の位置を変えれば、現状の穴を使えるのでは?などと考えました。ただ、それをするとコーナー・ベース用と2塁ベース用で2種類が必要になるし、コーナーベースの金具が真ん中についていないので、ひょっとしたらぐらつきも出るかもしれません。
一体、どうするのがいいのだろう?と暇人のように考えてしまいましたが、マイナーリーグの実績では有無を言わさず、掘り返しておりました(笑)。そら、そうですよね。
アメリカは大雑把ですけど、こと野球のグランドづくりに関してはマウンド作りなど非常に丁寧です。もう芸術的!ベースもご覧の通り、しっかりと紐を使って間違わないように工事しておりました。平面かどうかも測定ゲージも使ってやっているはずです。
New 18 inch base anchors in! pic.twitter.com/j1bHmUYIVN
— Abe Henkel (@henkel_abe) April 2, 2022
以上、2023年のルールチェンジに関してでした。
最後に、過去に何度かご紹介していますが、ジョン・レスターの名言を記しておきます。
「導入しても野球は野球で、6-5のゲームなら3時間30分かかるし、2−1のゲームなら2時間50分で終わるよ。」
お読みいただき、ありがとうございました。
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