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【MLB2021ルール】ダグアウトでのiPadの使用が解禁!2020年苦戦した選手の要因を排除

打席直後のフィードバック→アジャストメントが可能に

 こんにちは。本日は3月20日、春分の日です。英語だとSpring Equinox dayですね。

 本日は少し前に出た情報で、様子見をしていたトピックがあったので、それについて書こうと思います。それが標題の2021シーズンのゲーム中のダグアウトでのビデオ利用可のお話です。

2021年オープニングからiPad使用可

 MLBは2021シーズンからダグアウトでのiPadの使用をOKとしました。

 これはESPN(外部リンク)はじめ、複数のメディアが現地2021年3月2日に報じました。様子見していた理由はMLBからプレス・リリースなどオフィシャルのソースが出ないか待っていたからなのですが、現地2021年3月19日時点ではどうやらまだ出ていない模様です。

 こういう場合は、それが有効になってからリリースされるパターンがあるので、このケースだと2021年のオープニングがそれに当たり、ひょっとしたら、現地4月1日にリリースされるかもしれません。

 とは言え、サインスティーリングの経緯をよくご存じのファンの方が、シーズン開始直後にダグアウトで通信機能のあるタブレットを見ている選手を見ると、さぞ驚かれると思いましたので、その変更点を記しておきます。

2020シーズンのリプレーチェックはゲーム後

 サイン・スティーリングに揺れた2019シーズンオフ。それを踏まえて2020シーズンは、ハイテク機器及びビデオルームの使用に大きな制限が課せられることとなりました。

 そしてさらに追い打ちをかけたのが、COVID 19 のパンデミック。2020年のヘルス&セーフティー・プロトコルにより、選手たちはゲーム中のビデオの利用が完全に禁止されることに。これは蜜を避ける狙いもありました。

 それにより、選手たちは試合が終わるまで、自分の打席や投球後のリプレーを見ることができず、自宅やホテルに帰ってからチェックするような事態に。

過去数十年間のルーティンの破壊だった

 過去数十年間、選手たちはゲーム中にクラブハウスに急ぎ駆け込み、自分の直近の打席の映像をチェックすることが許可されていました。

「さっき空振りしたボールはどんな変化球だったのか!?」、

「どんなスイングをしてしまったのか?」、

「取り組んでいるチェックポイントをキープ出来たか?」

 ・・・など選手たちはゲーム中のパフォーマンスのフィードバックを受けることが出来ていたのです。

選手からの不満

 2020年開幕直後、即座のリプレー閲覧が禁止されたことで選手たちのフラストレーションは高まりした。

 そして苦戦する選手が多数。

苦戦した有名プレーヤー達

筆者は、2020シーズンに力を発揮できなかったプレーヤーは、4月の開幕にMAXの照準を合わせていたものが、パンデミックにより突如予定が狂い、いつ始まるかという不安の中で、結局真夏に開幕し、しかもサマーキャンプが通常のスプリングトレーニングに費やす期間より短くなったという調整の難しさにより、調子を崩したものとばかり思っていました。しかし、どうやらそればかりではなかった模様です。

J.D.マルチネス、ハビアー・バイエス

 レッドソックスのJ.D. マルチネスは2019年にSLG.557、打率.304をマーク。しかし、2020年のSLGは.389、打率も.213へダウン。

 カブスのハビアー・バイエスは2019年にSLG.531、打率281をマークしたものの、2020年にはSLG.360、打率は.203。

クリスチャン・イェリッチ、ノーラン・アレナド

 2018MVPのブルワーズのクリスチャン・イエリッチは、2018年に打率.326、OBP .402 、SLG .598をマーク。2019年はMVP投票2位で、シーズンの成績は打率.329、OBP .429、SLG .671をマーク。その2年は驚異的な数字でした。

 ところが、2020年は、打率 .205、OBP .356、SLG .430で、三振率は10%超え。

 今季からカージナルスに移籍することになったノーラン・アレナドも2019年の打率.315、OBP.379、SLG.583から打率.253、OBP.303、SLG.434にダウン。

FAのマーカス・セミエンは1年契約を受け入れる

 今季からブルージェイズのマーカス・セミエンも打率.285、OBP .369、SLG .522から打率.223 、OBP.305、SLG .374にダウン。これにより、FAの機会を1年契約で受け入れる事態に。もっとも、これには球団の収益減の問題により競る機会が減ったのもあるでしょう。

 その他、クリス・ブライアント、アンソニー・リッゾ、グレイバー・トーレスなど苦しんだ選手は枚挙にいとまがありません。

アストロズ

 ちなみにサインスティーリング後のアストロズではアレックス・ブレグマン、カルロス・コレア、ホセ・アルトゥーベが軒並み、下がりました。OPSだけですが見てみるとご覧の数字に。

【アストロズ3名の2019/2020のOPS比較】

  • アレックス・ブレグマン(OPS: 1.015→.801)
  • カルロス・コレア(OPS: .926→.709)
  • ホセ・アルトゥーベ(OPS: .903→.629)

リプレー禁止も大きな要因

 上記の選手たちの成績は、一例です。また、要因も個人によって異なります。しかし、2020シーズンはそれまでやってきた過去のルーティンが一切禁じられたことで、選手たちのパフォーマンスにも大きな影響を与えたとも言えそうです。

 ちなみに、2020シーズンのMLB全体の平均打率がこれまでで最も低い.245で、1968年以来の最低となったという事実もあります。

2021年に復活の背景

 2021年にゲーム中のビデオ利用が可能になった背景には、選手たちがエージェントに声をかけ、そしてエージェントがリーグオフィスクレームをつけたという動きが契機になったようです。

2021年の新しいソフトウェアの仕様の概要

 MLBは、ゲーム内でのビデオ利用可能にするためにiPadのダグアウトのプログラムを刷新。 下記のような仕様で選手にリプレーが届けられる模様です。

  • 開幕日から、選手の打席直後に、ダッグアウトのiPadにアップロードされる。
  • サインスティーリングを防ぐため、ピッチャーがボールを投げようとしているときにビデオが開始するように編集される。つまり、捕手がサインを出し終わるまではビデオ・クリップは始まらない。
  • 各クリップに提供される素材は、放送用カメラとMLB所有のカメラの組み合わせによる。それらから上がってくる映像が新ソフトウェアプログラムにアップロードされ、上記のような状態で編集され選手が見られるようになる。
  • キャッチャー→ピッチャーへのサイン交換はカットされ、ハーフイニング程度のディレーでiPadに送信される。
  • サインをぼかすことについての議論もあったが、上記のようにカットする方向に決めた。

 このような仕様で一大センセーショナルとなったサイン・スティーリングを防ぐことにした模様。

エクストリーム・ネットワーク社がWIFIを提供

 なお、映像のアップロードですが、エクストリーム・ネットワーク社(NASDAQ: EXTR)が、MLB全30スタジアムのブルペン、ダグアウトにWIFI環境を提供し、その通信環境で選手が使うiPADへの映像を届けることになった模様です。

 ちなみにですが、タブレットがiPADになったのも、通信・インフラ環境にどこかの国の製品が排除されているのと同じ流れかと思います。

恩恵はやはり打者 

 なお、投手はストライク・ゾーンのチェックや、フォームチェックなどに利用すると思われ、もちろんそのフィードバックも大きな効果をもたらすと思いますが、ゲーム中のリプレー利用可によりその恩恵を受けるのはやはり打者になるでしょう。2021シーズンはジュースド・ボールから飛ばないボールに変更になりますが、その影響もどうなるのか見てみたいところですね。

 以上、お読みいただき、ありがとうございました。

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