ドジャース、後ろも盤石!
もうドジャースが総ざらい状態ですね。
現地2025年1月19日、ロサンゼルス・ドジャースは今オフのFAで注目されていたハードスロー・レフティーのタナー・スコット(Tanner Scott)と合意に至りました。
ドジャースは今オフ、ブレイク・スネル、テオスカー・ヘルナンデス、佐々木朗希投手と注目選手と軒並みサインしており、実は隠れた人気FA選手だったタナー・スコットまでも手に入れました。
まだオフィシャルとはなっていません。
契約内容
ドジャースとタナー・スコットの合意内容は大筋では以下の通り。
- 4 年/$72M (2025-28)
- サイニング・ボーナス:$20M
- $21M が繰り延べ払い
繰り延べ払いあり
注目は総額$72Mの約30%に当たる$21Mの繰り延べ払いが含まれていること。もし、まともに4 年/$72M のAAVを出せば$18Mになりますが、現在価値が考慮されるため若干ですが、下がります。ざっとした計算で$14.5M程度。
すでに贅沢税上のペイロールがとんでもない数字になっているドジャースですが、大谷選手をはじめ、複数年のラグジュアリー契約を結んでいる選手は軒並みこの繰り延べ払いをすすんで導入。再契約したテオスカー・ヘルナンデスもそうですし、ブレイク・スネルもそうしています。
贅沢税の閾値ははるか昔に超えているとは言え、補強への影響を最小限にしようという姿勢がもう強さを表していると言っても過言ではないでしょう。
リリーバーではNO.3の額
今オフの目玉はフアン・ソトやコービン・バーンズ、テオスカー・ヘルナンデス、マックス・フリード、ブレイク・スネルそして佐々木朗希投手で、どうしても彼らにスポットライトが当たっていましたが、実はかなり多くのコンテンダーのクラブがあえて表に出さずに隠し球のように大事に扱ってきたのがこのタナー・スコットのディールでした。
筆者もレッドソックスにとにかく早く獲ってもらいたいと思っておりました。
ただ、やはり編成上は上述したような有名どころから決まって行ったわけですが、タナー・スコットは争奪戦は必至でした。ディールは結局、この時期までずれ込んだわけですが、1月に入ってAAV $20Mのマルチイヤー・ディールの可能性が報じられるなど、やはり値段は釣り上がって行ったわけです。結果的には、額面上のAAVは$18Mで$20Mにまで至らなかったわけですが、これはリリーバーではかなりのラグジュアリー・コントラクトです。
過去のリリーバーのラグジュアリー・コントラクトはご覧の通り。タナー・スコットの$72Mは額面上では3番目に高い契約となります。
- エドウィン・ディアス| メッツ|5年/$102M (2023-27)+ 2028 $17.25MクラブOpt (1Mバイアウト)| AAV $20.5M
- ジョシュ・ヘイダー|アストロズ| 5年/$95M (2024-28)|AAV $19M
- タナー・スコット|ドジャース|4 年/$72M (2025-28)|額面上のAAV $18M
- リアム・ヘンドリクス|当時ホワイトソックス|3 年/$54M保証 (2021-23) 2024年のバイアウト$15M込で$54M |AAV $18M
- アロルディス・チャップマン|当時ヤンキース|5 年/$86M (2017-21)| AAV $17.2M
- ケンリー・ジャンセン|当時ドジャース|5 年/$80M (2017-21)|$16M
リリーバーの場合、年齢要素もその金額を大きく動かします。タナー・スコットの場合は、1994年7月22日生まれですから、現時点で30歳です。もし28歳くらいでFAとなっていれば額も期間もさらに増えていたでしょうね。
直近2年が強烈だったタナー・スコット
ではそのタナー・スコットがどれだけすごいのか?ということですが、直近2年の成績が凄まじいのです。それがこれ。タナー・スコットは2023年はマイアミに所属。2024年のトレード・デッドラインでパドレスに移籍しました。
Season | Team | G | IP | W | L | ERA | SV | SO | HR | BB | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2023 | MIA | 74 | 78 | 9 | 5 | 2.31 | 12 | 104 | 3 | 24 | 0.987 |
2024 | MIA | 44 | 45.2 | 6 | 5 | 1.18 | 18 | 53 | 2 | 27 | 1.007 |
2024 | SDP | 28 | 26.1 | 3 | 1 | 2.73 | 4 | 31 | 1 | 9 | 1.329 |
2024 Total | – | 72 | 72 | 9 | 6 | 1.75 | 22 | 84 | 3 | 36 | 1.125 |
2年連続70試合以上
まず稼働したボリュームを見てください。2年連続で70試合以上に登板。にも関わらず2年連続で超高品質ERAを叩き出しています。
SO%はリーグ平均が22.6%なのに対して2024年は28.6%、2023年に至っては33.9%をマークしていました。
2024年のPSのERAは0.00
ドジャースの2024年の世界一はパドレスとのNLDSでの死闘を経たからこそ出来たと言っても過言でないくらい、ドジャースはパドレス戦に苦しんだわけです。
そのパドレスの強さの象徴の1つだったのがタナー・スコットの圧倒的なリリーフ。タナー・スコットは2024年のポストシーズンではNLWCからNLDSまで計6試合に登板したのですが、そのトータルのERAは0.00 ! この6試合で打たれたヒットはわずかに2本という強さ。
計5.1イニングを投げ、16アウトのうち奪った三振は8。
大谷選手をすべて三振に
パドレスはゲーム終盤の要所でタナー・スコットを投入し、ドジャースとのNLDSではGm1、2、3、5の4試合に起用。いずれも大谷選手とのマッチアップとなり、タナー・スコットはその4回の対戦をいずれも三振に斬って取ったのです。あの大谷選手も苦戦したほどの投手・・・ともっと最初に書いた方がわかりやすかったでしょうか?それくらい良い投手なのです。
キャリア
タナー・スコットは2014年のオリオールズの6巡目指名でプロ入り。メジャー・デビューは2017年で22歳の年でした。この時は2試合のお試し登板のみ。
今でこそスーパー・リリーバーのタナー・スコットですが、デビュー2年目の2018年、3年目の2019年は投壊していたオリオールズの投手の一人で、2018年はERA 5.40、2019年はERA 4.78。これでもチームのブルペンとしてはまだマシな方でした。
短縮シーズンの2020年に25試合でERA 1.31と好成績をマーク。しかし、翌2021年はまた逆戻りで62試合でERAは5.17。この年は54イニングでSO 70、BB 37と奪三振率、与四球率ともに非常に高いシーズンでした。オフにはノンテンダーのおそれもあったのですが、そこは免れました。
しかし、2022年4月2日にトレードが成立。タナー・スコットはマイアミへ移籍することに。オリオールズはそもそもはロースターの空きを確保したかったのですが、これは後に最悪のトレードとなってしまいます。
タナー・スコットは2022シーズンにマイアミのクローザーに変貌。67試合に登板して20セーブ、4勝5敗、ERA 4.31を記録。62.2イニングを投げてSO 90、BB 46。、三振も量産したものの、四球も量産したシーズンでもありました。
2023年上述のように大活躍したタナー・スコット。自己最多の78イニングを投げ、被安打53、BB 24、SO 104、ERA 2.31とし、WHIPを1.00以下に抑えた抑えました。そしてマーリンズをポストシーズンに進出させる重要な投手に。
2024年にはオールスターにも出場し、最下位に沈んだマーリンズで活躍した数少ない選手の一人に。マイアミでは44試合に登板し、6勝5敗、ERA 1.18、18セーブをマーク。そしてトレード・デッドラインでパドレスに移籍。28試合に登板して3勝1敗、ERA 2.73をマーク。2024年は9勝6敗、ERA 1.75、72.0イニングで22セーブ、SO 84。
そしてポストシーズンでは大谷選手を苦しめたのでした。
ドジャースのブルペン
タナー・スコットが入ったことでドジャースのブルペンは盤石なものに。ドジャースはブレイク・トライネンと早めに再契約を決め、安定感のあるクローザー候補を確保しています。
セットアップにマイケル・コペック、そして左腕のタナー・スコットが入り、手術でシーズン前半は離脱予定のブラスダー・グラテロルの穴を十分すぎるくらいに埋めます。
さらに、左腕では安定感のあるアレックス・ベシア、強いボールを投げるアンソニー・バンダがおり、右腕ではライアン・ブレイジャー、ベン・カスパリウスが入っているという布陣。ここにスプリング・トレーニングで綺羅星のように輝くプロスペクトも出てくるでしょうから、魅力しかありませんね。
タナー・スコットの心配な点は2021年から4年連続で62試合以上に登板している点。肩肘の疲れだけはちょっと心配です。
お読みいただき、ありがとうございました。
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