予想外のショート・タームのディールで決着へ
膠着状態であったピート・アロンゾ(Pete Alonso)のディールがようやく決定しました。
現地2025年2月5日、メッツからFAとなっていた1Bのピート・アロンゾは結局、メッツと再契約するに至りました!こちらは現時点では合意で、まもなくオフィシャルとなる見込みです。
ピート・アロンゾの帰着点はメッツしかないとは思っておりましたが、なかなか決まらずにどうなるのかと思いきや、予想外のショート・タームのディールとなりました。
契約内容
両者の合意内容は大筋で以下の通り。
- 2年/$54M保証 (2025-26)
- サイニング・ボーナス:$10M
- 2025: $20M
- 2026: $24M プレーヤー・オプション
実質、「オプトアウトあり」
そのショート・タームのディールですが、上述のような内容となっています。2年目はプレーヤー・オプションでピート・アロンゾに更新の権利があり、実質、「オプトアウトあり」です。
2年目もメッツでということになれば$54Mですが、1年で降りたとなると$34Mでフィニッシュという契約。
長引いたアロンゾのディールですが、エージェントはボラス・コーポレーション。やはりオプトアウトを使ってきました。
なお、AAVは$27Mとなり、これがメッツの贅沢税上のサラリーの計算に使用されます。
アロンゾのディールの経緯
メジャー6シーズンで通算HR226本を放ち、オールスターに4度出場したピート・アロンゾは今オフ、FA資格を所得して満を持して市場に参入。9桁($100M以上)の高額契約を望んでいたと言われています。この実績ですから、ラグジュアリー契約を狙うのは自然です。
2023: 7年/総額158Mドルを断る
メッツはアロンゾがまだ調停資格であった2023年6月に7年/総額$158Mの契約延長オファーをしましたが、アロンゾはそれを断りました。断ったのは2023年で28歳だったアロンゾの7年後は35歳ですから、そのタイミングで市場に出ることを嫌がったのでは?と推測します。実際、長期契約の選手は38歳や40歳まで契約期間に入っているケースが多いですから、期間も想定より短かったのではないでしょうか。
そして今オフは、同じ1Bのモデルとして、ブレーブスと8年/$168Mの延長契約を結んだマット・オルソンやドジャースと6年/$162Mでサインしたフレディー・フリーマンのディールを想定していたと言われています。また、ポジションは違えど、同じFAイヤーとなったフアン・ソトのディールも気になったことでしょう。
それに調停ファイナル・イヤーとなった2024年のアロンゾのサラリーは $20.5M。そこから考えるとベース・サラリーに上乗せした上で8年などの長期を望んだとしてもおかしくないです。
メッツはQOを提示→拒否
2023年6月にメッツが上記のオファーを提示して後にアロンソはエージェントをボラス・コーポレーションに変更。来るべく2024年オフのFAに備えました。
メッツの現在の編成トップは元ブルワーズの編成で天才と言われていたデービッド・スターンズ。
巨富のオーナー、スティーブ・コーエンの下、スターンズはブルワーズとは桁違いの上限で編成を仕切っていますが、ストロング・スタイルの長距離砲にどこまで興味があるかは疑問で、復帰を望んでいたものの、長期契約はそれほど乗り気ではなかったとも言われています。
よって、メッツは当然の決断としてアロンゾにQOを提示。そして、アロンゾもそれをあっさりと拒否。
エージェントのボラス・コーポレーションはあまりにも優先順位が高すぎたフアン・ソトやブレイク・スネルのディールに一旦は集中。
特にソトのディールは、当初から$600Mという数字が飛び交ったように、それが決まらないことには2018-19のブライス・ハーパーのときのように他のFA選手のディール成立に大きな影響が出てしまうことからそうせざるを得ませんでした。
そうこうしているうちに年が明け、アロンゾ側にも変化が出てきて、この時点でどうやら長期の線は消えたようです。
メッツは1月中旬に3年/$70Mほどのオファーを出しましたが、アロンゾ側はそれを拒否。
その後、期間と総額にそれほど変化をもたせず、オプトアウトを入れる形にして、(1) 3年/総額$71Mのディールと(2) 今回決着した2年契約のディールの2つを用意し、アロンゾ側に任せたようです。
(1)の3年/総額$71Mのディールには最初のシーズン終了後にオプトアウトが含まれて、1年目のサラリーは$27M、オプトアウトしなければ$22Mという設定にしていたところ、アロンソ側が初年度に$30Mを希望し、より期間の短い(2)のディールに落ち着いたということです。
また市場に出る想定
ゆえに今回は長期でサインできなかったので、2025年オフに再度市場に出て長期を狙う・・・アロンゾ側はそういう戦略であることが伺えます。
メッツ、ビエントスは3Bに定着
さて、そもそもアロンゾがいないことを想定していたメッツは、2024年のポストシーズンで大活躍したマーク・ビエントスを3Bから1Bにシフトするプランを練っていましたが、このアロンゾのディール成立でビエントスは2025年も3Bで起用されることが決定。
メッツは投手に対するDHに左打席のジェシー・ウィンカーを据え、それをプラトゥーンで使い分けしながら、OFにジェフ・マクニール、タイロン・テイラー、ホセ・シリらを起用していくことになりそうです。もちろん打線の中心はフアン・ソトとフランシスコ・リンドーア。
また、アロンゾが戻ったことで、ブレット・ベイティー、ルイスアンヘル・アクーニャ(ブレーブスのアクーニャの弟)、ロニー・マウリシオらは厳しい立場に立たされることに。ぜひ、スプリング・トレーニングで頑張ってもらいたいです。
ピート・アロンゾとは
ピート・アロンゾは1994年12月7日生まれの30歳。ドラフトは2016年のメッツの2巡目指名。
デビュー・イヤーとなった2019年に53HRを放ち、.260/.358/.583、OPS .941、RBI 120を叩き出したアロンゾはもちろんROY(Rookie of the Year)を受賞。MVP投票でも7位に入りました。
短縮シーズンとなった2020年でも60試合でHR16を放ち、2021年以降もいずれもHR 30本超えをマーク。すごいのは出場試合数。過去6シーズンでほぼ全試合というくらいに稼働しているのです。これはなかなか出来ないことです。
Season | G | HR | RBI | BA |
---|---|---|---|---|
2019 | 161 | 53 | 120 | .260 |
2020 | 57 | 16 | 35 | .231 |
2021 | 152 | 37 | 94 | .262 |
2022 | 160 | 40 | 131 | .271 |
2023 | 154 | 46 | 118 | .217 |
2024 | 162 | 34 | 88 | .240 |
キャリアで唯一のIL入りは、2023年の左手首の打撲に関連したわずかな欠場のみ。過去6シーズンでより多くの試合に出場しているのはレンジャーズのマーカス・セミエンだけ。
メッツのスターでもあるアロンゾは2025年はフランチャイズHRリーダーに躍り出るかもしれません。2024年を終えたメッツのHRのフランチャイズ・レコードはダリル・ストロベリーの 252本。そこまであと26本で射程圏内です。 さらにNO.2はデービッド・ライトで242本。彼を抜くまであと16本。
気になる直近の低下
アロンゾは最初の4シーズンの合計は.261/.349/.535。
2023年はHR 46本を放ったものの、打率が.217。2024シーズンは打率はやや上がったものの、HRは落ちました。
FAに向けたファイナル・イヤーで数字が上がらなかったのもこのオフに市場で賑うことがなかった原因でもあります。
メッツQOの補償なし
メッツはQOを辞退したアロンゾと再契約したため、ドラフト補償を得ることが出来ませんでした。
またアロンゾとの再契約でチームのペイロールが上がったので、贅沢税はなかなか大変なことになっています。
メッツの贅沢税
アロンゾの契約によってメッツの贅沢税上のペイロールはおよそ$325.96Mに。
トップ3はフアン・ソト、フランシスコ・リンドーア、そしてピート・アロンゾの3名。3人で実に$110M超え!
- フアン・ソト: $51M |15 年/$765M (25-39)
- フランシスコ・リンドーア: $34.1M | 10 年/$341M (22-31)*
- ピート・アロンゾ:$27M | 2 年/$54M (25-26)
メッツは2022年から2024年まで3年連続で閾値を超過。2025年も超過は決定しており(閾値は$241M)、あとはどれくらい超えるか?にかかっていましたが、もうすでに$60Mの通過地点である$301Mを超えており、かつ4年連続の超過となるので110%の税率が適用されるのは避けられないところです。
現時点での予想税額は$68.86M。
アロンゾは非常に勝負強いので、この再契約はメッツにメリットをもたらすのではと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
コメント