注目FAブルペンのジェフ・ホフマンはTORへ
現地2025年1月10日、フィリーズからFAとなり、今オフの動向が注目されていたジェフ・ホフマン(Jeff Hoffman)のディールが決まりました。トロント・ブルージェイズと3年契約でサインです。
こちらはすでにオフィシャルとなっています。
契約内容
ブルージェイズとジェフ・ホフマンのディールは以下の内容となっています。
- 3 年/$33M (2025-27)
- サイニング・ボーナス:$5M
- 2025:$6M、2026-27: $11M/年 x 2
- アニュアル・パフォーマンス・ボーナス(年ごと)
- $0.5M / 60、70、80、90 IP ←Max $2M/年
4年目のオプションなどは入っていない模様。ジェフ・ホフマンは2024年は1年/$2.2Mでしたので、1年目は3倍程度に押さえ、2年目以降は$11M/年となっています。また、イニング数に応じたインセンティブも用意されているという内容です。
TOR、CLで起用見込み
ブルージェイズGMのロス・アトキンスはジェフ・ホフマンをクローザーとして起用する考えを声明で述べています。ジェフ・ホフマンは、先発投手として各クラブから興味を持たれていると報じられていましたが、フィリーズ時代と同じ、ブルペンでしかもクローザー(CL)での起用となりそうです。
TOR、J・ロマーノにノンテンダー
ブルージェイズは今オフに、クローザーのジョーダン・ロマーノにノンテンダーFAを出していました。
ジョーダン・ロマーノは2021年から2023年にかけての3シーズンで184試合に登板し、うち144試合のゲームを締め、95セーブを上げたクローザー。ブルージェイズは2022年と2023年にポストシーズンに進出しましたが、それをプッシュしてきた一人がジョーダン・ロマーノだったと言っても過言ではありません。
J.ロマーノ2023年に腰→2024年は肘
しかし、ジョーダン・ロマーノはその際立った3シーズン目の2023年途中に腰を傷めて離脱。シーズン折り返しを過ぎたオールスターの時期でした。この時はブルージェイズにとってかなりまずいなという状況でしたが、ロマーノはオールスター明け後もロスターを外れることなく、8月に15 Days ILで離脱しただけで8月半ばには復帰。2023シーズンはERA 2.90。2021-22年が2点台前半でしたのでこの時点で直近2年の疲れが出てきているという状況でした。
そして2024年は3月半ばに右肘痛を発症。開幕はILでした。4月16日にシーズン・デビューするも失点する機会が多く、調子が上がらないまま5月29日の登板を最後に6月2日にIL入り。結局、2024シーズンは復帰することはありませんでした。7月に右肘の内視鏡手術を受け、8月には右肘のインピンジメントの手術を行い、メンテナンスの意味合いの強い手術でオフシーズンに突入となり、2025年に調停資格のファイナルイヤーとなるロマーノにブルージェイズはノンテンダーを提示したという流れです。2024年は13.2イニングでERA 6.59。
そのジョーダン・ロマーノは2024年12月9日にフィリーズと1年/$8.5M (2025)でサインしており、なにやら結果的にはジェフ・ホフマンとスワップした形となりました。
要は2025年のブルージェイズはクローザーが空席状態だったのです。2024年はイーミ・ガルシアも肘痛で30.0 IP (ERA 2.70)しか登板できなかったブルージェイズはチャド・グリーンをクローザーとして使う機会が多かったです。
J・ホフマンのメディカル面
ジェフ・ホフマン獲得を巡ってはオリオールズもかなり深いところまで食い込んでいたようですが、オリオールズは条件面もさることながらメディカルの面でNGを出したと言われています。その基準は各クラブによって違うということは言え、オリオールズは割と厳しいと言われております。
そのジェフ・ホフマンの怪我の履歴ですが、直近2年で122試合(!!)に登板していますが、この間はILに入ったことはありません。レッズ時代の2022年には7月に前腕部を傷め、最終的には60 Days IL入り。このシーズンは35試合、44.2イニングに留まっています。同じくレッズ時代の2021年は5月後半に右肩のインピンジメントの問題を発症し、2ヶ月ほど離脱しています。
直近2年のハードな登板が果たして今後3年間に与える影響は結果次第というところでしょうか?それによってオリオールズの判断の成否が出ますね。
ジェフ・ホフマンとは
ジェフ・ホフマンは1993年1月8日生まれの32歳(この記事の時点でちょうど32歳になったばかり)。
TOR 1巡目!
ドラフトは2014年のブルージェイズの1巡目指名で全体順位は9位。そうなんです。実は元はブルージェイズの投手です。イーストカロライナ大学出身。プロ入り後3シーズンは、トップ・プロスペクトとして大いに期待されました。
COLへ
ドラフトから1年後の2015年のトレード・デッドラインで、ブルージェイズがロッキーズからトロイ・トゥロウィツキーとラトロイ・ホーキンスを獲得したトレードでミゲル・カストロやホセ・レイエスらとともにロッキーズに移籍。
メジャー・デビューはそのロッキーズ時代で2016年。23歳の時です。ジェフ・ホフマンはこの頃は先発して動いていました。そして多くの若手投手と同様、「飛ぶ」球場で有名なクアーズ・フィールドでは苦戦を強いられ、ロッキーズには2020年まで在籍しましたが、5シーズンの平均ERAは6.4。
2020年11月、ロッキーズとレッズの間でトレードが成立。ジェフ・ホフマンがレッズに移籍し、ロッキーズはロバート・スティーブンソンを獲得しました。ともにプロスペクトとして期待され、後にブルペンで名を上げることになる2人の飛躍前のお話です。
レッズに移籍したジェフ・ホフマンは2021年は31試合中、11試合に先発。73.0 イニングで3勝5敗、ERA 4.56。2022年は1試合の先発はありましたが、ショートイニングで降板しており、このシーズンからほぼリリーフに転向。2022年は35試合、44.2イニングでERA 3.83とそれなりの結果を出します。グレート・アメリカン・ボールパークもHRが出やすい球場ですから、まずまずの数字だったと思います。
ノンテンダー→PHIへ
2022年オフ、レッズはジェフ・ホフマンにノンテンダーを出します。
そしてジェフ・ホフマンは2023年のスプリング・トレーニング終了後にフィリーズとマイナー契約でサイン。苦戦が続いたキャリア前半でしたが、ここから花開くわけですね!!
フィリーズで大変身!!
2023年と2024年、ジェフ・ホフマンはキャリア最高の2シーズンを過ごしました。
2023年は5月初旬にメジャー・ロスターに登録され、54試合で52.1イニングを投げてERA 2.41。2024年は68試合に登板し、66.1イニングを投げ、ERA 2.17!前年をさらに上回る数字を残しました。
レッズ時代の2022年とフィリーズでの2年間のSO%とBB%の推移を見てください。
Season | SO% | BB% |
---|---|---|
2022 | 22.8 | 11.7 |
2023 | 33.2 | 9.1 |
2024 | 33.6 | 6.0 |
2022年は肘を傷めていたというのもありますが、2023年から数値は急激に向上!!2024年に至っては265人の打者と対戦し、89個の三振を奪っていますから3人に1人は三振を奪ったということに。ベンチにとってはリリーバーで三振力が高い投手はこの上なくありがたい存在で、この2シーズンはフィリーズに本当によく貢献したと思います。
速球は平均97mph前後ですから、このボールの強さは大きいですね。さらにジェフ・ホフマンは4つの球種を織り交ぜ、80mph台後半のスライダーをウィニング・ショットに使うことが多いです。
今オフ、割と静かなブルージェイズ
ジェフ・ホフマンのこのディールは今オフのブルージェイズのFA契約にとって最大の契約となっています。
イーミ・ガルシアとの再契約は2年/$15M (2025-26)で収まっています。現時点ではそのほかの大きな動きとしてはFAではなく、トレードでガーディアンズからアンドレ・ヒメネスを獲得したこと。
TORの贅沢税
ブルージェイズの2024年の贅沢税のペイロールは$233.9M。閾値が$237Mでしたから、ギリギリセーフでした。
今オフは現時点では上述のようにFAでは大してお金は使っていませんが、いかんせん、ゲレロ・Jr.の「上げろ、上げろ」があり、Jr.とは$28.5Mの高額ディールでサインとなっています。この後、延長のオファーを出すかどうかは定かではありません。たぶん、出さないでしょう。
そういうのもあり、現地2025年1月11日時点ではJr.の分とジェフ・ホフマンのAAVの$11Mを併せてすでに$234Mをマーク。2025年の閾値は$241Mですから、超える可能性が出てきました。まだ3BとOFに不安があるゆえにFA選手を獲得すると間違いなく超えます。
遅いリリーバー市場
今回の契約は、動きの鈍かったリリーバー市場に動きが出てきた兆候となっています。最注目のタナー・スコットをはじめ、カルロス・エステベス、カービー・イエーツ、デービッド・ロバートソンのディールがまだ成立しておりません。彼らもすぐに決まると良いですね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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