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【MLB2024】フィリーズとオリオールズ間でオースティン・ヘイズとセランソニー・ドミンゲスのトレードが成立

コンテンダー間でトレード

 現地2024年7月26日、30日のトレード・デッドラインに向けてフィリーズとオリオールズ間でトレードが成立。オースティン・ヘイズとセランソニー・ドミンゲスが動くことになりました。

 オリオールズはAL東地区の首位で、フィリーズはNL東地区の首位。今回はコンテンダー(優勝争い)間での大きなトレードとなりました。

トレード概要

 このディールで動く選手たちです。

フィリーズGet

  • オースティン・ヘイズ(Austin Hays/29)OF/右投げ右打ち

 フィリーズは40manの枠に空きがあったので、オースティン・ヘイズをそのままそこに入れました。まだロスターに余裕のあったフィリーズは右腕のマイケル・ラッカーを60 Days ILから復帰させて空きを埋めてフルにしています。

オリオールズGet

  • セランソニー・ドミンゲス(Seranthony Dominguez/29)RHP-リリーバー
  • クリスチャン・パチェ(Cristian Pache/25)CF/右投げ右打ち

 オリオールズは、40manロースター枠が埋まっていたので空きを作るため、右腕のレヴィ・スタウド(Levi Stoudt)をDFAにしています。

背景

 今回のディールはまさに戦力均衡型のトレード。珍しいのはワールドシリーズが期待されるクラブから主力級がそれぞれスワップされたこと。

フィリーズ:待望の右打者のLF

 フィリーズがこのトレード・デッドラインで狙っていた野手の枠は右打席のLF。当ブログではウィット・メリフィールドがDFAになった際、ひょっとしたらアスレチックスのブレント・ルッカーを狙うのでは?と書きましたが、結果はオリオールズのオースティン・ヘイズになりました。この枠はもうこれで完結と見ていいと思います。

 右打席でLFということで、左投手の時にプラトゥーン(左右使い分け)で起用して行きそうです。右投手の時はブランドン・マーシュ。

 今回、クリスチャン・パチェがオリオールズに動いた訳ですが、クリスチャン・パチェはフィリーズではOFのバックアップ・ロール。バックアップでは1番手に来る選手でしたが、いかんせん、今季の成績は.202/ .288/ .269でHR 0。オースティン・ヘイズはこの枠、あるいはブランドン・マーシュを脅かす存在として起用されて行きそうです。

 ちなみにオースティン・ヘイズは2023年にはオールスターにも出場。キャリア通算での左投手との対戦成績は.272/.328/ .463とかなり得意にしています。

今季のオースティン・ヘイズ

 今季は29歳のシーズンとなっているオースティン・ヘイズは63試合に出場し、175PA、157AB、40 Hits、.255/.316/.395、HR3、RBI 14を記録。4月20日にふくらはぎの張りで離脱。約1カ月後の5月15日に復帰。それ以降は125PAで、.313/.363/.509という素晴らしい成績を残しています。

BAL:プロスペクトと左打者との兼ね合い

 オリオールズ左打ちのOFのプロスペクトが台頭。コルトン・カウザー(LHB)、ヘストン・キャースタッド(LHB)がそうで、復帰以降は彼らとの併用で左投手の際に打席に立つことが増えたのも良い数字の要因かもしれません。

 オリオールズからすると、クリスチャン・パチェも加えましたし、それなりの保険はかけていることに。RFのアンソニー・サンタンデアがスイッチ・ヒッティングであることはかなりの救いです。ただ、左打席の選手が多いのが気になるところです。よって、現時点ではセドリック・マリンズ(LHB)と右打席のOFとのトレードの可能性も捨てきれないです。

(PHI)オースティン・ヘイズとは

 オースティン・ヘイズは1995年7月5日生まれの29才。2016年のオリオールズの3巡目指名のOF。

 デビューは2017年でかなり早かったです。ただ2018年は出場なしで、2019年も短期間。短縮シーズンの2020年に60試合中33試合に出場し、本格的に稼働し始めたのは2021年から。オリオールズの悲惨な時代を経験した選手でもあります。

 2021年から2023年までの3シーズンは素晴らしく生産的で、420試合で.261/.313/.439をマーク。OPSは.752。HRは54。キャリアでのBB%が5.9でBB数は年間で30個台。これでもう少しBBを選べば打率はもっと高くなる選手でもあります。キャリアでのSO%は22.9%でリーグ平均の22.6%をわずかに下回ります。2023年にオールスターに出場。

 オースティン・ヘイズのMLSは2024年1月時点で4.057。今季は調停ステータスでサラリーは1 年/$6.3M (2024)。フィリーズは彼を2025年シーズン終了まで支配下に置くことは可能。

 ただ、左右使い分けでの起用で来季は余裕で$7Mを超えて来る中、それをどう捉えるのか?というのがオースティン・ヘイズの活躍次第というところ。フィリーズはおそらく3年連続で贅沢税超過となります。その辺もシーズンオフに影響しそうです。

(BAL)セランソニー・ドミンゲス

 クレイグ・キンブレルが現在不調で、左腕のダニー・クーロムが60 Days ILとなったオリオールズはリリーバー補強となりました。

 一時期はフィリーズのクローザーも務めたセランソニー・ドミンゲスを獲得に至りました。セランソニー・ドミンゲスは1994年11月25日生まれの29才。今年の11月で30才ですね。ドミニカ共和国出身で2011年10月にアマチュアFAとしてフィリーズとサイン。2018年にデビューし、登板は全てリリーフとしての登板。2018年は58.0 IPでERA 2.95、16SVをマークしました。

 2019年に右肘を傷めて再建型のトミージョン手術を実施。本格復帰は2022年からです。特に2022年は54試合でERA3.00と信頼も厚く、クロージングも行いました。2023年は50.0 IPでERA 3.78とやや悪化しました。2024年は36.0 IPでERA 4.75と悪化しています。

 オリオールズとしては経験豊富なリリーバーを獲得できたということで結果は難しい場面での起用も可能。セランソニー・ドミンゲスの特徴はその強いボール。リリーバーとしては一番欲しいものです。4シーム、シンカーともに平均が97.5mphを超えます。

 ゲーム終盤の難しい場面の登板も多かったので四球もそれなりに出しますが、BB%はリーグ平均を下回ります。HR%はキャリアを通じて3%前後。今季は3.8%とやや悪化しています。1度の登板の失敗でリリーバーの場合は数字が極端に悪化しますので、オリオールズとしてはゲーム終盤に強いボールを投げられる投手がいるというのはかなり嬉しい状況だと思います。

 セランソニー・ドミンゲスの2024年1月時点のMLSは5.131。今季終了後にFAとなります。現契約は2年/$7.25M (2023-24) + 2025 $8Mクラブオプション($0.5Mバイアウト)。いずれにせよ今季で契約終了。来季のオプションをオリオールズが行使するかどうかです。これも移籍後の活躍次第で1年ならオプション行使も十分にあり得ますね。

(BAL)クリスチャン・パチェ

 クリスチャン・パチェはまだ25歳。ブレーブスで出てきた時はいい選手だと思ったのですが、いかんせん打ちませんでした。2022年3月にブレーブスがマット・オルソンを獲得したトレードでシェー・ランゲリアスらとともにアスレチックスに移籍。

 シェー・ランゲリアスはアスレチックスで捕手としての経験を存分に積んでいる最中で欠かせない存在となっていますが、パチェは2023年3月にマイナー選手とのトレードでフィリーズに動きました。

 ディフェンス面は素晴らしいものの、やはり打てないところが痛いです。またパチェはマイナーリーグ・オプションが残っていないため、マイナーへ降格するにはDFAにしてウェイバーにかけられなければなりません。そのため、オリオールズは堅い守備を期待してそのままロスターに残すでしょう。こういう選手はポストシーズンでもビッグプレーをしますので。

 オリオールズがまだ動くのか、面白いところですね。

 お読みいただき、ありがとうございました。

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