噂通りカージナルスとサイン
現地2023年11月27日、ツインズからFAとなっていたソニー・グレイ(Sonny Gray)のディールが決まりました。噂通り、カージナルスに決定です。
ソニー・グレイは今オフのFAの注目右腕。11月6日に締め切られたクオリファイング・オファー(QO)も提示されましたが、拒否。今オフのQOは$20.325Mと非常に高額で、かりに残留と決めたとしてもツインズはその額を払う覚悟があったということでもあります。もっとも、本音は補償目的だと思いますが、
イニングも稼げ、クオリティーの高い投球を見せる右腕はある程度の争奪戦が予想されましたが、ウインター・ミーティング前にディール決定となりました。
なお、このディールはすでにカージナルスも正式に成立をアナウンスしています。
契約内容
カージナルスとソニー・グレイのディールで現時点でわかっているのは下記の内容。
- 3年/$75M保証(2024-2026)+2027 クラブ・オプション
- 2027 $30M クラブ・オプション($5Mバイアウト)
2027年のクラブ・オプションが拒否されたとしてもバイアウトは$5M。この額を入れての$75Mですから、単純に$30M/年 x 2。おそらく残り$5Mはサイニング・ボーナスではないか?と思っております。
$75Mだとして3年のAAV(Annual Average Value)は$25M。$30Mにはならない見込みです。カージナルスとしては贅沢税へのインパクトを少しでも薄めるな設定にしたと思われます。
34才からの3年契約
ソニー・グレイは1989年11月7日生まれで、このディールが決まる少し前に34才に。今回の契約が3年と短いのはこの年齢の要素もありました。3年後は36才のシーズンとなります。
ソニー・グレイとは
簡単にソニー・グレイのキャリアを振り返ってみます。
元Vandy Boy
ソニー・グレイと言えば、Vandy Boyと呼ばれるヴァンダービルト大学の出身。実は高卒時の2008年にカブスから27巡目で指名されましたが、ヴァンダービルトへ進学。2011年にアスレチックスから1巡目指名(全体順位18位)でプロ入りしました。
身長は5フィート10インチで178cmとMLBの投手としては小柄。ドラフトから2年後の2013年にメジャー・デビューしています。
2015年にサイ・ヤング賞2位
ソニー・グレイの名を轟かせたのはやはり2014年、2015年の2年連続二桁勝利になります。2014年は33先発で219.0 イニングを投げて14勝10敗、ERA 3.08、SO 183。2015年は31先発で208.0 イニングを投げて14勝7敗、ERA 2.73、SO 169。この年はサイ・ヤング賞投票で3位に入りました。
このアスレチックスでの小気味よい投球にファンは魅了されたと思います。4シームは若い内でもアベレージで93mph-94mphで100mphとは行きませんが、それでも90mph後半をマークすることもあり、なんと言ってもスライダーの切れが素晴らしかったと思います。高速スライダーになるかと。変化球の精度は全て良い投手です。
苦戦したNYY時代
アスレチックスは2012年から2013年にかけてALウエスト2連覇を達成。ソニー・グレイの2年目の2014年も2位に入り、ALWCへ進出するもそこで敗退。その後、アスレチックスはリビルドに入り、ソニー・グレイの3年目の2015年から2017年まで3年連続ALウエスト最下位に。
ソニー・グレイが調停資格を得て、サラリーが高騰する時期でもあった2017年、アスレチックスはトレード・デッドラインでヤンキースとのディールを成立させ、ソニー・グレイはヤンキースへ移籍することに。このとき、ヤンキースからアスレチックスにはCFのダスティン・ファウラー(元PIT)、右腕のジェームス・カプリーリアン(2023はOAK)、SSのホルヘ・マテオ(現BAL)を動きました。今、NYYはホルヘ・マテオにやられている最中ですね。
ヤンキース移籍後のソニー・グレイは2017年は4勝7敗、ERA 3.72。2018年は30試合、23先発で11勝9敗となんとか白星を先行させるも、ERA は4.90とかなり苦戦しました。
2017年
- OAK:6勝5敗、ERA 3.43
- NYY:4勝7敗、ERA 3.72
2018年
- NYY: 11勝9敗、ERA 4.90
レッズへ
FAまで残り1シーズンとなった2019年1月、ソニー・グレイはトレードでレッズへ移籍することに。このとき、トレードの条件で延長契約を結ぶことになり、レッズは3 年/$30.5M (2020-22) + 2023 $12M クラブ・オプションでサイン。これが直近での契約となっていました。
2019シーズン、レッズでのソニー・グレイは175.1イニングを投げ、11勝8敗、ERA 2.87と勝ち星こそ伸びなかったものの、SO%はキャリアハイの29%をマークするなど躍進しました。まるでヤンキースでの縛りから開放されたような投球が印象的でした。この年、サイ・ヤング賞投票7位。
2020年の短縮シーズンにおいても11先発し、5勝、ERA 3.70をマークしたソニー・グレイは、2021年は26先発で135.1イニング、7勝9敗、ERA 4.19とやや苦戦しました。
ツインズへ
2022年3月13日、CBAの交渉が明けて後、レッズとツインズ間でソニー・グレイのトレードが成立。レッズは2021年のアマチュア・ドラフトでツインズから1巡目指名されたチェイス・ペリーを交換要員に指名しました。
ツインズ移籍後のソニー・グレイですが、2023年に素晴らしい成績を残します。
2023年のソニー・グレイ
この年、ソニー・グレイは32試合に先発して184.0イニングを投げ、ERA 2.79、FIP 2.83の素晴らしい成績を残しました。キャリア3度目のオールスター出場を果たし、ALサイ・ヤング賞投票ではゲリット・コールに次ぐ2位に。
SO%24.3%は先発投手の中でトップ25に入り、GB%(ゴロ)の47.3%は9位。
カージナルスのローテーション
ソニー・グレイが加わったカージナルスはマイルズ・マイコラス、すでにFAで獲得したランス・リン、カイル・ギブソンそして左腕のスティーブン・マッツとポテンシャルなローテーションはすでに5名がいることに。
QO保証
上述の通り、QOを拒否したソニー・グレイと$50M超えの$75Mで契約したカージナルスは失うものがあります。カージナルスは、2023年に贅沢税の閾値を超えず、レベニューシェアリングも受けなかったことから、2番目に高い2024年のドラフト指名権と、次期契約期間のインターナショナル・ボーナスプールから$0.5Mの枠を失うことに。
一方のツインズは1巡目とComp Balance Round Aの間の指名権を得ることになりました。
お読みいただき、ありがとうございました。
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