ヤンキースのロスター調整
ロスターの動きとしてはかなり大きなニュースが入ってきました。
現地2023年5月20日、ニューヨーク・ヤンキースは打撃不振がつづくOFのアーロン・ヒックス(Aaron Hicks)をDFAにしたことを発表しました。
今季は打率.188
今季のアーロン・ヒックスは現地2023年5月20日時点で76試合の出場で打率.188、OBP .263、SLG .261、HR 1、RBI 5と大苦戦。クラブ内でどんどん起用の優先順位が下がり、アイザイア・カイナー=ファレファをOFとして起用する傾向が出てきたほど。
アーロン・ヒックスとは
アーロン・ヒックスは1989年10月2日生まれで今季は33歳で開幕を迎えました。もともとは2008年のアマチュア・ドラフトでツインズから1巡目指名、全体14位でプロ入りした選手。
2013年に23歳でメジャー・デビューを果たしました。デビュー・イヤーはCFを守り、81試合に出場したものの、打率.192、OBP .259、SLG .338と苦戦。2014年は出場試合が減って69試合。打率は.215。
2015シーズンに97試合に出場し、打率.256、OBP .323、SLG .398とやや改善。しかし、打撃力が期待されるOFとしては物足りないシーズンを過ごしてきました。デビュー後はむしろそのスーパー・アームが注目されるなど、守備のイメージが非常に強い選手でした。
2015年オフにツインズが捕手のジョン・ライアン・マーフィーを獲得したトレードでヒックスはヤンキースへ移籍。
2016年は123試合に出場。しかし、打率が.217とやはり苦戦しました。2017年は88試合の出場にとどまるも、打率は.266と改善。良い傾向が見えてきました。
そして、2018年は137試合に出場し、打率.248、OBP .366、SLG .467をマーク。HRも27を数え、RBI は79をマーク。オフにはMVP投票にも名を連ねるほど良いシーズンを過ごしました。
しかし、その後は怪我にも悩まされ、出場試合も減り、2019年から2021年の3年間で打率は.223、HR20。
2022年はヘルシーになり、130試合に出場するも、打率.216、OBP .330、SLG .313、HR8。
今季だけでなく、2019年以降は打撃面で大きなインパクトを残せていませんでした。
アーロン・ヒックスの契約
上述の通り、2018年だけ素晴らしい成果を残したアーロン・ヒックスは、2019年が調停のファイナル・イヤーに該当したこともあり、ヤンキースは一旦は2019年のサラリーを$6Mで提示し、サインしたのですが、その後長期契約に変更。2019年のサラリーを上書きした形となりました。
その長期契約がこちら。
- 7 年/$70M (2019-25) + 2026 $12.5M クラブ・オプション
- $2Mサイニング・ボーナス
- $6M (2019)、$10.5M/年(2020-23)、$9.5M/年(2024-25)、$12.5M(2026):クラブオプション($1Mバイアウト)
今季のサラリーは$10.5M。さらに2024年以降は$9.5M x 2年+$1Mバイアウトが残っており、来季以降だけで合計$20Mの残債。今季は残り試合が半分以上ありますから、半分の+$5Mを加算したとして、総計でざっと$25M以上を捨ててしまうことになります。
今後の動き
DFAとなり、もしもトレードが成立した場合獲得したクラブがこれを引き継ぐことになり、今季の成績を考えた場合はその線はほぼありません。
よって、ヒックスはこのままウェーバーにかけられ、ウェーバーをクリアー(手を挙げるクラブがないこと)すればリリースとなり、FAです。
そしてFA後に契約したクラブがメジャー契約でサインした場合、メジャー最低年俸の日割りでの獲得ということに。
グレッグ・アレンがアクティブ・ロスターに
なお、ヤンキースは空いたロスターにグレッグ・アレン(Greg Allen)を入れることを発表。
グレッグ・アレンは1993年3月15日生まれの30才。ガーディアンズのOFとして活躍してきました。
その後は各クラブを転々としまして、2020年のコロナ・パンデミックのシーズンのトレードデッドライン(この時は8月31日)で、右腕のマイク・クレビンジャーらとともにパドレスへ移籍。
翌2021年1月にパドレスからヤンキースへトレードで移籍。2021シーズンはトリプルAとメジャーを行き来する状態で、シーズンオフにマイナーへオプションとなり、2021年11月5日にパイレーツがウェーバーでクレームオフしました。
2022年もパイレーツでは46試合しか出場出来ず、打率.186。9月末にはパイレーツがDFAにし、10月にFAとなりました。
レッドソックスとの間でトレード
2023年1月にレッドソックスとマイナー・ディールでサイン。スプリング・トレーニング前に一度メジャー・ロスターに上がりましたが、その後、マイナーにアサインされ、レッドソックスでのメジャー出場はなし。
2023年5月20日にレッドソックスとヤンキース間でトレードが成立。グレッグ・アレンがヤンキースに移籍し、レッドソックスは、ヤンキースから18才の右腕、ディエゴ・ヘルナンデスを獲得。
そしてグレッグ・アレンは、20日のレッズ戦で早速、ゲームに出場。代走でゲームインし、1得点を上げております。そしてそのままRFの守備に。20日のゲームではまだ打席には立っておりません。
アーロン・ヒックスと言えばアーム!
アーロン・ヒックスを一躍有名にしたのは、このプレーでしたね。105,5mphスロー。まるで投手のような左手と体重移動。
Aaron Hicks records the fastest outfield throw EVER at 105.5mph🔥pic.twitter.com/njdUBYmcnW
— Baseball Bible™ (@BasebalIBible) April 21, 2016
2022年は古巣ツインズを相手にこのようなスローも披露。
WHAT A THROW 🎯
— FOX Sports: MLB (@MLBONFOX) June 9, 2022
Aaron Hicks throws out Gio Urshela at the plate! pic.twitter.com/f0o8BnRuQh
ついでにツインズ時代のヒックスも登場するメジャーOFのストロング・アーム集はこちらです。
How much you wanna make a bet I can throw a baseball over them mountains? 💪 pic.twitter.com/UiBSRMTkI4
— MLB (@MLB) January 25, 2019
追記:リリース
現地2023年5月26日、ウェーバー公示期間が終了した(ウェーバーをクリアー=獲得に手が上がらなかった)アーロン・ヒックスに対し、ヤンキースは正式にリリースしたと発表しました。
これでヒックスはFAとなり、上述の通り新しく獲得するクラブはMLB最低年俸の日割りで契約を結ぶことができるようになり、ヤンキースは残債を負います。
お読みいただき、ありがとうございました。
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