通算15シーズン、引く手あまたのリリーバーが引退へ
ちょっと寂しいというのが正直な感想です。
主にオリオールズなどで活躍した個性的なアンダースローのダレン・オデイ(Darren O’Day)が現地2023年1月31日、引退を表明しました。
40才を迎え、メジャー通算15シーズンを経ての引退となりました。
全身を使ったデリバリー
ダレン・オデイと言えば、その独特のアンダースローが特徴的でした。ソフトボールの投法のように体を縮めて、伸び上がる力を利用してフィニッシュで一気に爆発。
似たような投法では、アスレチックスなどで活躍し、2017 WBCのUSA代表として投げたパット・ネシェイクもそうでしたが(彼は2019年がMLB最後)、ダレン・オデイはより脚力を活かした投法でした。
そしてアンダースローから考えられないほどの強いボールを放つのが印象的で、2017年には4シームのアベレージがなんと87.0mphを記録。彼のベストシーズンは2014年と2015年ですが、この両シーズンに現在のような精密さで測定していたなら、もっとすごい数字を出していたことでしょう。
1シーズン68試合平均の働きぶり
ダレン・オデイを評価すべき点はその鉄腕ぶりにあると思われます。メジャー通算15シーズンで、644試合登板は、平均すれば1シーズン当たり68試合登板にもなるという凄さ。さすがに2018シーズンからは、20試合(2018)、8試合(2019)、19試合(2020:60試合シーズン)、12試合(2021)、28試合(2022)とかなり苦労しましたが、それまでの働きぶりは凄まじかったです。
アマチュアFAでのプロ入り
そのダレン・オデイは1982年10月22日生まれで、2022年のポストシーズン中に40才となりました。
フロリダ大学(University of Florida)出身で、2006年5月にアマチュアFAとしてエンゼルスとサイン。23才でのプロ入りです。いわゆるアン・ドラフト。
デビューは2年後の2008年です。この頃はエンゼルスが非常に強い時期でもありました。2002年にワールシリーズを制してから、2004-2005年とALウェストを2連覇。さらに2007年から2009年の間もALウエストを3連覇しています。
ダレン・オデイはルーキーながら、2008年に30試合、43.1イニングを投げてERA 4.57をマーク。エンゼルス・ブルペンの大きな一翼を担っていました。
ルール5でメッツへ
ルーキー・イヤーに良い結果を出したダレン・オデイですが、エンゼルスは2008年12月にルール5ドラフトに出します。
現在のルール5ドラフトは、40manロスターに入れば指名から除外されます。ただ、2008年当時は前年にメジャー・ロスターに入っていても、指名対象に出来た模様。詳細はすみません。掴みきれませんでした。当時のエンゼルスのロスターの関連でそうしたのかもわかりません。
ルール5ドラフトに出されたダレン・オデイはメッツに指名されることに。
指名したメッツは基本的に1年を通じてオデイをメジャーに置く必要があり、そうでない場合はエンジェルスに返さなければなりませんでした。 そこでもしエンゼルスが拒否した場合は、DFAとしてマイナーに置くというルールがありました。
ところがメッツは、別の選手をロスターに入れたいため、オデイをエンゼルスに返さずに2009年4月18日にDFAにしてウェーバーにかけたのです。
今度は2009年4月22日にレンジャーズがウェーバーでクレームオフするという事態に。
なお、オデイはメッツでは4月9日から4月16日の間まで4試合に登板しています。
オデイが経験した奇妙な1日
かなり有名な話ではあるのですが、オデイの奇妙な1日です。
レンジャースにウェーバーでクレームオフされた2009年4月22日、オデイはフロリダの自宅におり、お昼過ぎにレンジャースにクレームオフされた旨の連絡を受信します。
急ぎ、トロントに向かったオデイ。ちょうどTEX@TORの3ゲームシリーズが行われていたのです。
試合途中に到着したオデイは、ジャージが用意される前にブルペンに直行。普通に投球練習をするつもりでブルペンに入ったものの、ゲームは延長戦に入り、オデイの登板が必要な事態に。まだ自分のジャージを持っていなかったオデイは、ケイソン・ギャバードの30番のジャージを着用してゲームに出場するということを体験。この日、ギャバードはAAAに在籍していてちょうどジャージの在庫があったのです。緊急登板となったオデイは7-7のタイスコアの延長11回裏に登板。サヨナラヒットを打たれたというレンジャーズでのホロ苦デビューも体験したのでした。
なお、オデイの番号は56番でした。
通算のSV数は21、しかしHOLDは458!
ダレン・オデイは644試合という登板数の多さが勲章です。それを象徴するかのような数字がたったの21というセーブ数に表れているのではないでしょうか?
つまり、クローザー・ロールを任されたことがないため、記録がつかない仕事を多くこなしてきたというかっこよさがあると思うのです。
ゲーム終盤の厳しい場面を幾度となく火消ししてきたその実績こそが誇りかと思います。
なおその実績は、通算HOLD 458という数字には反映されております。また、ゲームの締め(Game Finished)は、通算で155試合も経験います。
最高だった2014年と2015年
ダレン・オデイがとりわけすごかったのが2014年と2015年です。2009年と2010年の2年も素晴らしかったのですが、やはりこの2年の方がインパクトはありました。
2014年(オリオールズ在籍時)は、68試合に登板し、ERAは1.70。2015年は、68試合に登板してERAは1.52。2015年の奪三振率は、31.9%。リーグ平均は20.5%です。
なお、2009年は68試合でERAは1.84、2010年は72試合に登板して、ERAは2.03。
見応えのあるアンダースローの使い手がいなくなり、残念でなりません。直近の4シーズンは怪我に苦しんだと思うので、楽な気持ちで体を労ってあげて欲しいと思います。
お疲れさまでした。
お読みいただき、ありがとうございました。
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