マシュー・ボイド、降板からわずか2日後に手術
現地2023年6月28日、デトロイト・タイガースのローテーションの大きな柱であるマシュー・ボイド(Matthew Boyd )がトミージョン手術を実施しました。
マシュー・ボイドは現地2023年6月26日のレンジャーズ戦に先発。1回裏の立ち上がりに、先頭打者のマーカス・セミエンにLFへリードオフHRを許し、何やら嫌な予感のするスタートとなりました。打たれたのは4シームで、91.6mph。速度が出ていなかったですね。
バックネットへの投球
その後、コーリー・シーガー、ジョシュ・ヤングを2者連続で空振り三振に仕留める投球で、締め直します。そこまではよかったのですが、3番アドリス・ガルシアの2球目にまさかのバックネットへの投球。一瞬、何かの報復か?と思わせた投球でしたが、全く危険球ではなかったので、騒ぎにはなりませんでしたが、おかしかったのはマシュー・ボイドの肘でした。
マウンドで顔をしかめるマシュー・ボイドにベンチからトレーナーが駆けつけます。話し合いの末、ボイドはここでマウンドを降りることになりました。球数1は3球。
タイガース、2イニング連続で緊急降板
なお、マシュー・ボイドが緊急降板となったことで、タイガース・ブルペンは誰も肩を作っていなかったこともあり、大慌てで準備。指名されたのは右腕のウィル・ベスト。
そのベストは、ボイドから引き継いだアドリス・ガルシアへの投球を三振で乗り切ります。ところが2回裏、2アウト・ランナー2塁の場面でエジキエル・デュランの打席の時、今度はウィル・ベストが投球後に足を引きずります。試合後、右膝を傷めたことが判明。タイガースはなんと2イニング連続で緊急降板という不測の事態を迎えたのでした。試合後、ウィル・ベストは右下腿肉離れのため15Day ILとなりました。
なお、このようトラブルに遭遇したにもかかわらず、タイガースは7-2でレンジャーズに勝利しています。
27日には要手術の診断→28日に手術
降板後のマシュー・ボイドですが、翌27日には医師からトミー・ジョン手術の必要を宣告され、60Day IL に入りました。
驚いたのはその後の処置です。なんと診断の翌日にテキサスの病院でトミージョン手術を実施。成功したとのことです。この早さには驚かされました。
ロスター調整
タイガースはマシュー・ボイドが長期離脱となりました、同じタイミングで右腕のマット・マニングを60 Day ILから復帰させました。また、ウィル・ベストの穴に左腕のアンソニー・ミシェヴィッチをトリプルAから呼び戻すことにしています。
2021年に左屈筋腱の手術
【YOUTUBE】Matt Boyd 2019 Reel
マシュー・ボイドの今回の怪我は本人とタイガースにとって非常に痛い結果となりました。
マシュー・ボイドは2015年にトロントでメジャー・デビュー。2015年途中にタイガースに移籍。2016年から2021年8月までの6シーズンで133試合に登板。727.0イニングを投げ、36勝56敗でERAは4.75をマーク。
2021年9月に屈筋腱を傷めて途中離脱。手術を受け、オフにはタイガースからノンテンダーとなりました。
ノンテンダーFA後はジャイアンツと1年/$5.2M(2022)でサイン。しかし、怪我からの復帰に時間を要し、ジャイアンツでは登板機会がなく、2022年8月にプレーオフを見据えたマリナーズにトレードで移籍。この時の残債はジャイアンツが負担しました。マリナーズでは9月からリリーフで復帰。10試合、で13.1イニングでERAは1.35。
ポストシーズンではアストロズとのALDSに0.1イニングのみ登板しました。
今季は復帰後初のフルシーズンとなり、タイガースはボイドが飛躍する年と見込み、2022年12月に1年/$10M (2023)でサイン。
2023シーズンは、ここまで15試合に登板。71.0イニングを投げ、5勝5敗、ERA 5.45、SO9が9.3、BB9が3.2、HR9が1.4という結果を上げていました。
頭の痛いタイガースの編成
タイガースの2022シーズンは66勝96敗でAL中地区4位。ほぼ100敗が見えたという悲惨なシーズンでもありました。
2018年ドラフト全体1位のケーシー・マイズは2022年6月にトミージョン手術で離脱。タリク・スクーバルは2022年8月に肘の違和感を訴えて離脱。診断の結果、屈筋腱を傷めたことが判明し、手術を行いました。
期待のプロスペクト達が相次いでサイドラインに退いたというのが大きかったです。
編成としては今季はそのプロスペクト達がシーズン途中で復帰。ベテランのマシュー・ボイドとともにシーズン後半へ向け、調子を上げて行くというシナリオの筈でした。
ケイシー・マイズは肘のリハビリの途中の2023年2月に腰の手術も行い、リハビリにも影響が出ました。ただ、マイズは現地2023年6月28日時点でブルペンセッションを開始しており、早ければ今季中の復帰を目指しています。
タリク・スクーバルも現時点ではマイナーでリハビリ登板を行うまで回復しています。
このように編成のシナリオに沿った良い動きをしていたのですが、肝心のマシュー・ボイドがトミージョン手術ということに。残念というしかありません。
シーズン序盤にはもうひとりのベテラン左腕、エドゥアルド・ロドリゲスの復調というサプライズもあり、良い傾向に見えたので余計に残念感が募ります。
なお、マット・マニングは2023年4月10日のブルージェイズ戦でアレハンドロ・カークが放ったカムバッカーを右足に受けて骨折。離脱していましたが、上述の通り、ようやく60 Day ILから復帰したところです。
タイガースのTDLのカードでもあった
今季現地2023年6月28日時点で34勝45敗のタイガースがポストシーズンに進むには、AL中地区での優勝しかありません。地区3位とは言え、首位とは8.0ゲーム差。
こうなると、「売り」の体制に傾くのは目に見えており、タイガースはマシュー・ボイドをいわばトレードデッドラインのカードの1つとして考えていた節もあります。ただ、そのプランもこの手術でなくなりました。
マシュー・ボイドは今季は1年契約。来季はどうなるかわかりませんが、焦らずにリハビリに取り組んでもらいたいですね。まだ32才です。
お読みいただき、ありがとうございました。
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