十分過ぎる偉業
大谷選手はこれまで数え切れないほどの偉業を達成してきておりますが、この日のアスレチックス戦では、誰もがその二刀流での凄さをシンプルにわかりやすく伝承して行くのにふさわしいエピソードの樹立まであとわずかというところまでこぎつけました。
いや、これはもはや語り継ぐのに十分過ぎる偉業の達成と言っていいでしょう。
現地2023年4月27日、地元アナハイムでアスレチックス戦に先発した大谷選手は、登板日にあわやサイクル安打か、というとんでもない成績を残しました。惜しくもサイクル安打達成はならなかったものの、伝説まであとわずか数インチ届かずということで全方面から大いなる喝采を浴びたのでした。
今季6度目の先発ゲーム
まず投手としてですが、1回表はスウィーバーとカット・ボールを中心にして打者3人で打ち取る上々の立ち上がり。
2回表はアスレチックスの中軸を迎えたものの、ここも三者凡退。好打者のシェイ・ランゲリアーズには98.4mphの4シームで見逃し三振。ライアン・ノダの打席では98.6mphを計測しました。
3回表も三者凡退で序盤3イニングをパーフェクト投球。
4回に今季初めて乱れが生じる
味方打線も3回裏にアスレチックスの期待の左腕、JP・シアーズから5点を奪い大谷選手を援護。これは自ら援護したようなところもありますが、これは後述。
5-0と優位に立った4回表、大谷選手のコントールにやや乱れが生じます。先頭打者のエステウリ・ルイーズには2球目に投じたスウィーバーが抜け、デッドボール。セイフティー・バントを狙ったルイーズもこれは避けきれませんでした。これがこの日初めてのランナー。
足をテーマに掲げているアスレチックスはルイーズが即座に2盗に成功。さらにコナー・キャペルへの初球のスウィーバーが背中を通るワイルドピッチとなり、ルイーズは3塁へ進塁。キャペルには四球を出してノーアウト1、3塁のピンチ。
ここでバッターは当たっているブレント・ルッカー(Brent Rooker)。このゲーム前までにすでに6HRを放っています。そのルッカーに1-1カウントから投じたカットボールがハンギング・スライダーのような軌道となり、これを右中間ウォールぎりぎりに放り込まれ(3ランHR)、5-3と2点差ゲームに。
つづくジェイス・ピーターソンには4シームがひっかかってデッドボール。さらにまたしてもワイルドで、スコアリング・ポジションにランナーを進めてしまいます。
ここでバッターはシェイ・ランゲリアーズ。ここでもストライクとボールがはっきりしてしまい、5球目のスウィーバーが甘く入って、CFへ放り込まれる2ランHRに。
大谷選手は自身も絡んで5得点を上げた直後に5失点したのでした。なお、このイニングはその後、ライアン・ノダに二塁打を許し、2アウトから四球も出しさらにピンチを拡げましたが、最後はイニング2度めの打席に入ったエステウリ・ルイーズを三振に仕留め、それ以上の失点は防ぎました。
4回までに73球を費やした大谷選手でしたが、5回は7球で三者凡退。その裏の攻撃で自身も絡んで2得点で勝ち越し。
6回表、2アウトからアレドミス・ディアスにデッドボールを与え、出塁を許すもトニー・ケンプを3Bポップフライに打ち取り、無失点。
この日は6回で降板。4回に崩れそうになったものの、アスレチックスの早打ちにも助けられ、球数は93球に抑えられました。被安打3、失点 5、自責点 5、BB 2、HBP 3、SO 8、HR 2という成績でした。
あわやサイクル
この日は3番P-DHに入った大谷選手は、ご覧の成績となりました。
【大谷選手の打席】
- 1回裏:2B前内野安打(シングル)
- 3回裏:CFへライン・ドライブのダブル
- 5回裏:SSゴロ
- 6回裏:CFへあと少しでHR 2というトリプル
- 8回裏:CFフライ(あと少し!)
第1打席はバットを折られるも、これが2B前のボテボテの当たりとなり内野安打。3回裏の第2打席では、1アウト1、3塁で打席が回り、SSの頭上を強烈な速さで抜く2塁打で先制点。エンゼルスはハンター・レンフローの犠牲フライ、ブランドン・ドゥルーリーの3ランHRで5得点。
5回裏の第3打席はSSゴロで凡退。しかし、エンゼルスはアスレチックス投手陣の乱れにもつけ込み、ルイス・レンヒーフォの押出四球、ジオ・ウルシェラの内野ゴロの間にも得点を奪い、このイニング2得点。
6回裏の第3打席はHR性の当たりの3塁打。これをレンドンがタイムリーダブルで迎え入れ、計8得点目。
8回裏、HRを打てばサイクル安打達成というところで、リチャード・ラブレディーが投じた初球のスライダーを強振。打った瞬間にHRかと思われた打球でしたが、ウォーニング・トラックを超え、ウォールまで数インチというところでエステウリ・ルイーズがキャッチ。惜しくもサイクル安打達成はなりませんでした。
大谷選手は5打数3安打、1RBI 、2RUN。
【YOUTUBE】Shohei Ohtani NEARLY hits for the CYCLE while ALSO striking out EIGHT Athletics!
ループ、ウルシェラ&レンドンでピンチ脱出
大谷選手降板後の7回表で、スコアは8-5でエンゼルスが3点をリード。7回表は、安定感のあるマット・ムーアが登板。1イニングを1BBの出塁だけで抑えました。
問題は8回表。エンゼルスはホセ・キハーダを投入。キハーダは先頭のジョーダン・ディアスをLFフライに打ち取ったものの、シェイ・ランゲリアーズ、ヘスス・アギラルと連続ヒットを許し、ピンチを招きます。
アレドミス・ディアスには2Bへのヒット性の当たりを打たれ、これを2Bのレンヒーフォが後ろに逸してしまい、この間にランゲリアーズの生還を許し、1失点でスコアは8-6。
さらにカルロス・ペレスにはLFへのタイムリーを許し、8-7。
ここでエンゼルスはアーロン・ループを投入。ループは今季、あまり調子がよくありません。またも逆転を許すのか?という場面でしたが、この日はループが踏ん張りました。
ループは代わりばな、ケビン・スミスをSSゴロに打ち取り、これをSSのジオ・ウルシェラがホームでアレドミス・スミスをアウトにする好返球。これで2アウト。さすがに球際に強いウルシェラですね。
そしてエステウリ・ルイーズにはLFへ抜けそう大きく弾む3Bゴロを打たれて、同点かと思われましたが、これをアンソニー・レンドンがリーピング・キャッチで抑え、足の速いルイーズをアウトに。エンゼルスは無事に1点を守り抜きました。
9回表はカルロス・エステベスが無失点に抑え、ゲームセット。
エンゼルスが8-7で勝利。大谷選手は4勝目となりました。
【大谷】今回の登板で途絶えた記録
さて、大谷選手ですが、この日の5失点、2HRでこれまで継続していた以下の記録が途絶えました。
- 自責点2以下の登板は12試合連続でストップ
- ホームでのスアアレス・イニングは35でストップ
- 被ホームラン無しは、79イニングでストップ
途切れはしたものの、これまでいかに安定した投球を見せてきたのかがよくわかる数字です。
非常に激しい試合でしたが、大谷選手は崩れそうになったものの、ゲーム内で調整して立て直しました。いやはや、投手としての能力もますます磨きがかかったゲームにもなったのではないでしょうか。
HRを打てばサイクル安打達成というところで、HR性の当たりを放ったというのもさすがですね。なお、大谷選手は2019年にサイクル安打を達成しています。
お読みいただき、ありがとうございました。
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