ホワイトソックス、OFをアップグレード
現地2022年12月16日、ヤンキースからFAとなり、その行き先が注目されていたOFのアンドリュー・ベニンテンディー(Andrew Benintendi)がホワイトソックスと5年契約で合意いたしました。
ヤンキースとのマルチイヤー・ディールに至るか?と思われていたアンドリュー・ベニンテンディーでしたが、すでにRFのアーロン・ジャッジとの再契約に成功したヤンキースは、CFにハリソン・ベイダー、LFにはアーロン・ヒックスがおり、仮に怪我の多いヒックスがサイドラインに下がったとしても、2022年にデビューしたオズワルド・カブレラをユーティリティーとしてLFで起用することも可能。場合によってはDHのジャンカルロ・スタントンが守ることも出来、OFは満たされた状態になりましたので、ベニンテンディーは他クラブとのサインを模索しておりました。
レッドソックスは呼び戻してもと思いましたが、吉田選手を獲得しましたので、これは叶わず。
契約内容
契約内容がはっきりしましたので更新します(現地2023年1月3日)
- 5 years/$75M (2023-27)
- サイニング・ボーナス:$3M
- 支払い:$8M(2023)、$16.5M x 3 (2024-2026)、$14.5M(2027)
2022年終了後に初FAとなったアンドリュー・ベニンテンディーでしたが、ヤンキースからのQOはありませんでした。2022年が$8.5Mでしたから、ざっとAAV(Annual Average Value)で$15Mといったところなので、サラリーは上がりました。
CWS史上最高額
なお、意外でもあったのですが、ベニンテンディーのこの契約はホワイトソックス史上最高額のディールとなっております。調停前あるいは調停資格のある選手との延長契約が多いので、若い選手に報いる形のディールが多いと言っておきましょう。
- ヤズマニ・グランダール:4年/$73M (2020-23)
- リアム・ヘンドリクス: 3年/$54M (2021-23) + 2024 $15M クラブOpt
- ヨアン・モンカダ:5 年/$70M (2020-24) + 2025 $25M クラブopt (延長契約)
- ティム・アンダーソン:6年/$25M (2017-22) + 2023 $12.5M(CWSは行使済み) / 2024 $14M クラブOpt (延長契約)
ボーンを1Bに
クラブの顔のような選手であったホセ・アブレイユをFAでそのまま市場に送り出したホワイトソックス。ホセ・アブレイユはアストロズと3年契約でサインしました。
1Bが空いたホワイトソックスは、アマチュア時代から1Bとして活躍していたアンドリュー・ボーンで埋める見込み。アンドリュー・ボーンはMLBではOF、特にLFを守る機会が多かったのですが、これで本来のポジションに就くという形に。
よって、空いたLFに守備のいいアンドリュー・ベニンテンディーを起用し、ルイス・ロバートはCF、エロイ・ヒメネスをDHあるいはRFで起用することになりそうです。なお、ホワイトソックスはアダム・エンゲルを今オフ、ノンテンダーで放出しており、26才のギャビン・シーツ(左投げ左打ち)もOFのコーナー・スポットの候補です。
OFから強いボールを投げる際、シュート回転になることが多いため、たとえ変化したとしても捕手のミット側に自然に流れる方がタッチはしやすいので、左投げは理想的にはLF、右投げはRFが良いとは思いますが、あまりにこれにこだわってしまうとOFの打撃のパワーを封じかねないので、新監督のペドロ・グリフォルが何を優先して考えるか?によって起用は変わりそうです。
ただ、ベニンテンディーはLFであることが望ましいですね。
”スーパー・エリート”ベニンテンディーとは
アンドリュー・ベニンテンディーは、1994年7月6日生まれの28才。2015年のアマチュア・ドラフトでレッドソックスから1巡目(全体7位)で指名されてプロ入り。アーカンソー大学(University of Arkansas)の出身。
ドラフト・イヤーにルーキー・リーグを飛ばしていきなりクラスA-でプロデビュー。35試合で打率.290をマークし、クラスAに即昇格。クラスAでは19試合で打率.351をマーク。
翌2016年はクラスA+からスタートし、1ヶ月でAAに昇格。AAで2ヶ月強を過し、打率.295、OBP .357、SLG .515、HR 8をマーク。AAAを経ずに、2016年8月2日にメジャー・デビューを果たしたという超エリートOF。この時、21才。
2017年からLFのレギュラーとして定着し、151試合に出場。打率.271、OBP .352、SLG .424、HR 20、RBI 90という素晴らしい成績を残しました。この年のROYの投票で2位に入っています。
そして2018年、レッドソックスがワールドシリーズ・チャンプになったこの年にベニンテンディーは攻守に大活躍。打率.290、OBP .366、SLG .465、168安打、HR16、二塁打 41、三塁打6、RBI 87をマーク。
ポストシーズンでも活躍しました。ALCS Game4での好守備はもはや伝説的。
翌2019年も打率.266、OBP .343、SLG .431、HR 13,RBI 68をマーク。
2020年に大スランプ
おそらくここまで何の障害もなく突っ走ってきたベニンテンディー。しかし、開幕が遅れ、調整失敗者続出となった2020シーズンに絶不調に陥ります。このシーズンはたった14試合の出場で、打率は.103。
この当時、ダグアウトでiPadを使うことが許されておらず、解禁となったのは2021シーズンから。もしiPadが1年早く使えるようになっていたら、「ベニンテンディーのポイントを指摘できたのに!」と打撃のメンター的な存在であったJ.D.マルチネスが悔しがったほど。感覚の残っているうちに客観的な映像を見るのはやはり効果的なようです。
そしてその年のオフ、2021年2月にベニンテンディーはロイヤルズにトレードに出されてしまいます。彼のこれまでの成績を見れば、一時的なスランプであったことは確か。そのポイントをスルーして、安易な方向に走ったレッドソックスのフロント・オフィスは判断を誤ったと言っていいでしょう。
2021年、ロイヤルズで出場機会を得たベニンテンディーはゲームに出ながら調子を整え、134試合に出場し、打率.276、OBP .324、SLG .442、HR 17、RBI 73と完全に復調。
【YOUTUBE】Get to know Andrew Benintendi | Clubhouse Conversations
2022年は前半戦に打率.320をマーク。トレードデッドラインの大きなターゲットとなり、あろうことかヤンキースに移籍してしまいます。ただ、ヤンキース移籍後は怪我にも見舞われ、.404の高いOBPをマークしたものの、打率は.254と爆発はしませんでした。
2022シーズンは、134試合に出場し、打率.304、OBP .373、SLG .399、HR 5、RBI 51。HRは落ちましたが、怪我が治れば、打率は.280以上、RBIも80以上は期待していい選手だと思います。
2022年は81勝81敗と苦戦したホワイトソックス。監督も代わり、ベニンテンディーも入りましたので、ALセントラルのタイトルを狙いに行きます。
お読みいただき、ありがとうございました。
コメント