注目左腕のディールが成立
現地2022年12月15日、サンフランシスコ・ジャイアンツからFAとなっていたローテーション左腕のカルロス・ロドン(Carlos Rodón)のディールが成立。ヤンキースと6年の大型契約で合意しました。
契約内容
カルロス・ロドンとヤンキースとの契約内容はご覧の通り。
- 6 年/$162M (2023-28)
- サイニング・ボーナス:$5M
- 支払い
- $22M(2023)、$27M/年 (2024-28)
- フル・ノートレード条項あり
現地2022年12月15日時点の情報ではオプションなどはない見込みです。今後詳細が明らかになった場合は追記します。
サイニング・ボーナスを入れた総額が6年/$162Mで、AAV(Annual Average Value)は、$27M。カルロス・ロドンは1992年12月10日生まれで、合意時点でちょうど30才となったばかりですから、この契約はロドンが35才のシーズンまでとなります。
ヤンキースが競り勝つ
現地2022年12月11日にジャイアンツがショーン・マナエアとのディールを成立させました。
この時点でジャイアンツはFAのロドンが他のクラブとサインする前提で動いていた訳ですが、実はマナエアのディール成立後もロドンとの契約に粘りを見せていました。
ジャイアンツがロックアウト解除後の2022年3月11日にカルロス・ロドンとサインした内容は2年/$44Mで、支払いは$21.5M(2022)、$22.5M(2023)。
この契約にはオプトアウトがついていて、もしロドンが2022年に110イニングを投げればオプトアウト可という条件になっており、実際、ロドンは2022年7月21日のドジャース戦に登板した時点で110.0 イニングをクリアー。これまで怪我に泣かされた左腕がオールスターブレイク直後という非常に早い時期に条件を満たしたのでした。この年、ロドンは最終的には178.0イニングを投げました。
そんなロドンに対し、ジャイアンツもかなり頑張ったようですが、どうやら、ヤンキースが1年あるいは2年を上積みした形でこのディールに競り勝ったようです。
FAのローテーション投手の6年契約は稀
カルロス・ロドンは7年のディールを希望しているとの報道もありましたが、結果は6年。ここはロドン側も崩せなかったか、あるいはサラリー面で納得した模様です。
ローテーション投手がFAの資格を満たすのは、だいたいは30才前後での到達で20代後半は稀です。フィナルイヤーが6年後となる長期ディールを実現するとなると、35才以上の年齢になることから、なかなか長期では実現しません。
ロドンの今回の契約はFAのローテーション投手としては、2019年12月にゲリット・コールがヤンキースと9年/$324Mでサインし、同年、スティーブン・ストラスバーグがナショナルズと7年/$245M (2020-26)でサインした以来の大型契約です。
また2018年以降、FA市場で6年の契約でサインした投手は上述の2人を除いて、パトリック・コービン(ナショナルズと2018年12月に6年/$140Mでサイン)とダルビッシュ投手(2018年2月にパドレスと6年/$120Mでサイン)の2人のみ。
驚異の成績となった直近2年までの道のり
カルロス・ロドンは2014年のアマチュア・ドラフトでホワイトソックス1巡目(全体順位は3位)で指名されてプロ入り。ノース・キャロライナ・ステートの出身です。
アマチュア時代の実力は日米野球や国際大会などでは折り紙つきで、mid-90mphのファストボールと消えるようなスライダーで、すぐにビッグリーグへ上がると目されていました。2014年は当然ルーキーリーグからスタートしたのですが、クラスAを飛ばしてクラスAプラスへ、そしてAAを飛ばしてAAAまで上がりました。プロスペクトとしてはかなり評価が高く、筆者も旧ブロクでは100mph左腕として紹介させていただいた覚えがあります。
MLBデビューはドラフト翌年の2015年。4月21日にリリーフとしてデビューし、先発に回ったのは3戦目の5月9日のレッズとのダブルヘッダーの2試合目から。この年、ロドンは26試合、23スタートで、139.1イニングを投げ、9勝6敗、ERA 3.90 をマークしました。
しかし、ここからロドンは怪我に悩まされ、そして翻弄されて行きます。
カルロス・ロドンのMLBキャリア
デビューから2年、ロドンはローテーション投手として大きく貢献。2シーズンを通じて304.0イニングを投げるという稼働ぶりでした。
この2年の無理がたたったのか、2017年の大半を怪我で離脱します。最初は、左腕の上腕二頭筋滑液包炎を患い、9月には肩の関節鏡手術を行いました。
復帰したのは翌2018年の6月で、この年は20試合に先発。翌2019シーズンの序盤、ロドンは肘に問題があると診断され、2019年5月にトミー・ジョン手術を受けました。当然2019年は残りを全休。短縮シーズンで開幕が7月24日になった2020シーズンの終盤に復帰し、4試合に登板。
- 2015:MLBデビュー(9勝6敗/ 139.0 イニング)
- 2016:9勝10敗/ 165.0イニング
- 2017:左肩手術で2勝5敗
- 2018:6勝8敗
- 2019:トミージョン手術
- 2020:ノンテンダーFA(トミージョン手術から復帰するも、2020年は0勝2敗)
- 2021:キャリア99試合目の登板で見事にノーヒッター
- 2022: ジャイアンツで、キャリア・ハイの成績
- 2022オフ:ヤンキースと6年/$162Mの大型契約
2020年オフ、ホワイトソックスはカルロス・ロドンに対してノンテンダーを発動。これにはGMのリック・ハーンに大きな批判が浴びせられました。その後、2021年1月にホワイトソックスはカルロス・ロドンと1年/$3Mで再契約しています。
2021年、ロドンは前半戦で89.2イニングを投げ、ERA 2.31と絶好調。初のオールスター出場を果たし、輝かしい活躍を見せました。特に、現地2021年4月15日にはインディアンスを相手にノーヒットノーランを達成。
まるでサイ・ヤング賞への道を歩んでいるように見えたカルロス・ロドンでしたが、8月に肩の疲労に見舞われることに。ただ、このときは2週間ほどで復帰。シーズン終盤に球速が落ちたものの、復帰後も好投を続けました。この年、ロドンは132.2イニングを投げ、ERA 2.37、SO% 34.6という素晴らしい成績を収めました。サイ・ヤング賞の投票では5位に入る評価も。
ただ、シーズン終盤の肩の故障と球速の低下は、ホワイトソックスのフロントオフィスを不安にさせたようで、2021年オフ、ホワイトソックスはロドンにQOを出さず、ドラフトでの補償なしにFA市場に出すという決断をしました。これも結果が出ないことにはわからないことではあります。
2022年のロックアウト後、ジャイアンツが2年/$44Mでロドンとサイン。この契約には、上述のオプトアウトがついており、ロドンはこれを行使したのでした。健康なシーズンを過ごせるよう、かなり気を使ったと思われます。
さらに、2022年は2年連続でオールスターに選出されました。この年、ロドンは7.3%のBB%(四球率)に対し、33.4%のSO%(奪三振率)をマーク。100イニング以上投げた投手の中で、この奪三振率を上回ったのはブレーブスの新人、スペンサー・ストライダーのみ。
ヤンキースのローテーション
ヤンキースはジェームソン・タイヨンをFAで失うことになったものの、カルロス・ロドンの加入でむしろアップグレード。
- ゲリット・コール
- カルロス・ロドン(L)
- ルイス・セベリーノ
- フランキー・モンタス
彼らに加え、ドミンゴ・ヘルマン、クラーク・シュミットさらにプロスペクトのランディー・バスケスもおり、かなり層が厚いです。
NYYのCB TAX
ヤンキースの現時点での40manの贅沢税上のサラリーは、$286M。2023年の基準額は$233Mですから、すでに$53M以上突破。
Name | Salary |
---|---|
アーロン・ジャッジ | $40M |
ゲリット・コール | $36M |
ジャンカルロ・スタントン | $25M |
カルロス・ロドン | $27M |
アンソニー・リッゾ | $25M |
DJ・ルメイヒュー | $15M |
ルイス・セベリーノ | $15M |
アーロン・ヒックス | $10M |
ヤンキースは2022年のサラリーも基準額を突破していますから、2年連続の超過でペナルティーも強化されます。
お読みいただき、ありがとうございました。
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