ジャイアンツとの契約が急遽破談に
現地2022年12月20日、これまた急転直下の、かつて聞いたことのない状況が発生しました。
ちょうど1週間前の現地12月13日に、サンフランシスコ・ジャイアンツと13年/$350M (2023-35)のメガ・ディールで合意し、「ツインズとの3年契約の1年後と2年後にオプアウトを入れた戦略が成功したね」とハッピーエンド的な話となっていたカルロス・コレアが、一転、メッツと新契約を結ぶことになりました。
追記:ツインズに
カルロス・コレアはメッツにもフィジカル・チェックで待ったをかけられ、現地2023年1月11日、結局、ツインズに戻ることになりました。
一体何があったのか?
現地2022年12月20日、カルロス・コレアはジャイアンツから正式に紹介される予定となっていましたが、ジャイアンツ側が同日朝に理由を示さずに記者会見を急遽キャンセル(延期すると発表しました)。
「何事?」とざわついている間にジョン・ヘイマンさんからメッツとのディール成立の衝撃のニュースが流れ、「一体、どうなっている?」というケイオスな状態に。
どうやらメッツとのディール成立は確かな情報となり、細かい情報も出始めました。
破談理由は「メディカルな疑念」
MLBの記者さんもたまには勇み足で報道することがあります。数年前にはトレーバー・バウアーのディールの際に、メッツに決定と出たものの、実はドジャースでしたということがありましたし(記事)、つい先日も、アーロン・ジャッジのジャイアンツ入りが決定と有名記者さんが勇み足で情報をリークしたところ、ヤンキースがそれを上書きした内容のディールを提示。結果、ヤンキースに決まったということもありました。あの記者さんはジャイアンツから訴えられないか心配です。
今回はそのような類の「勇み足」ではなく、本当にジャイアンツとのディールが破談となり、メッツに決まったというものです。
ジャイアンツ側がなぜ拒絶したのか?という点について、カルロス・コレアのフィジカルチェックで公表出来ないメディカルな懸念が生じたからという理由が報道されています。
確かに、カルロス・コレアは2017年から2019年までの3シーズンで、親指、背中(腰)、肋骨を傷め、もしフル出場なら486試合のところを294試合のみの出場にとどまり、この期間の平均は98試合でした。
ただ、それ以降は2020年も58試合(フルが60試合)に出場しましたし、2021年から2022年も平均で142試合に出場。腰や背中を傷めることもありましたし、死球で数日休んだこともありましたが、長期離脱はありません。
ジャイアンツがメディカルな理由で契約に待ったをかけたという情報が流れた時点で、関係者は「ははん、これは違うところと契約がまとまるんだな」とピンと来たと言います。
そしてその通りに、メッツのオーナーのスティーブ・コーエン氏がニューヨーク・ポスト紙に、ハワイでスコット・ボラスと新契約を交渉したと語ったのでした。
ディール成立後、コーエン氏は「我々は良い形で投手を補強出来たと思う。あともう一人、打者が必要でした。このディールは、私たちを上位にお仕上げます。」とも語っています。
まさに「急襲」
仮にジャイアンツ側からのクレームがあれば、エージェントは直近3年の稼働率をもとに反論するでしょうし、百歩譲って破談を受け入れたなら、まずは次の受け入れ先を探さくてはなりません。ましてや13年/$350Mの規模のディールの受け入れ先を探すなど容易なことではありません。
エージェントのスコット・ボラス氏がジャイアンツからメディカルなイシューがあることを予め聞いていたがゆえに早めに手を打った結果のディール成立か、あるいは一度は$300Mディールを断られたスティーブ・コーエン氏がそれでも諦めきれずに、ボラス氏を通じてチャンスを伺っていて、オフィシャルになる前にメディカルなイシュー要因にして新契約でもぎ取った・・・、ジャイアンツにも何らかの義理は果たした・・・最後は若干妄想が入りました。真実は定かではありませんが、とにかくメッツは獲る気が満々であったということは状況からは見てとれます。
契約内容
コレアとメッツとの新契約はご覧の通りです。
- 12年/$315M (2023-34)
また細かい情報が出ましたら、追記します。
このメッツとの新契約は、ジャイアンツとのそれより1年短く、AAV(Average Annual Value)も若干落ちます。ジャイアンツとの契約のAAVは$26.92Mだったのに対し、メッツとのそれは$26.25M。
また、総額金額でもジャイアンツとの内容は$350Mで史上4位だったのに対し、メッツとのそれはMLB史上10位。
メッツの贅沢税上のサラリーは384Mドル超え
メッツは今オフ、CFのブランドン・ニモ、クローザーのエドウィン・ディアスと再契約し、先発ローテーションとしてジャスティン・バーランダー、千賀滉大投手、ホセ・キンタナと新規で契約。さらに、リリーフのアダム・オッタビーノと再契約し、デビッド・ロバートソン、捕手のオマール・ナルバエスとも契約しました。
今回のコレアとのディールを入れて、メッツの2023年の40manロスターの贅沢税上のサラリーはすでに$384M超え。2023年の基準額が$233Mであることから、すでに154Mを超過。
贅沢税のペナルティーである4番目の最高段階は$293Mですが、それをはるかに超えているため、メッツは$293Mの基準額を超えた支出に対して90%のレートでペナルティーがかかります。
概算ですが、$384M + ペナルティーが約$111M強(あくまで概算です)でサラリー関係の総額はざっと$495Mで、さらに未知の領域に達しています。
コレアは3B
メッツにはすでに2021年4月に10年/$341Mで契約延長したフランシスコ・リンドーアがおります。ポジションはどうやらリンドーアがSSに留まり、コレアが3Bに移る予定。
The Mets are STACKED 🤯
— FOX Sports: MLB (@MLBONFOX) December 21, 2022
Do they have the best lineup in baseball? pic.twitter.com/q0TUksS0dV
これにより、3Bのエドゥアルド・エスコバーが内野のバックアップロールに回るというとんでもない状況になっております。DHでダニエル・ボーゲルバックが入る予定ですが、エドゥアルド・エスコバーとシェアするかもしれません。しかし、なんとも贅沢な起用ですね。
ハートブレイクなジャイアンツ
ジャイアンツが今回のディールをどういう考えで見送ったのか?あるいは見送らざるを得なかったのか?は定かではありませんが、今オフはアーロン・ジャッジ、カルロス・ロドン、千賀滉大投手、そしてカルロス・コレアといずれも他クラブと競り負けて補強機会を喪失しています。
本当であれば、2011年からジャイアンツのSSを務めていて、36歳になるブランドン・クロフォードの次のSSを補強したかったのでしょうが、未来のSSをどうするのか?ザイディ社長の動向に注目したいところです。
クロフォードは2022シーズンは怪我に悩まされ、打率.231、9HR、52 RBIと低迷。2021年は打率.298、24 HR、90 RBIでしたので、ジャイアンツの得点力にも大きく影響してしまいました。
またジャイアンツは今オフ、ミッチ・ハニガー、ロス・ストリップリング、ショーン・マナエアをFAで獲得。ジョク・ペダーソンはQOで残留。それなりに補強はしておりますが、NLウェストを勝ち抜くにはまだ厳しい状況です。
良い点で言えば、40manロスターの贅沢税上のサラリー総額はまだ$174.1M。基準額までまだ$58.8Mもスペースがあります。
このスペースをどう使うのか?注目です。ひょっとしたら、2023年オフにFAとなる大谷選手獲得も視野に入るかもしれませんん。
お読みいただき、ありがとうございました。
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