サイ・ヤング得票TOP3を計4度
現地2022年12月28日、ネイサン・イオバルディとリッチ・ヒルをFAで他クラブへ流したレッドソックスが、ローテーション右腕を獲得。
2014年と2017年に2度、サイ・ヤング賞に輝いたコーリー・クルーバー(Corey Kluber )と1年契約で合意に至りました。
契約内容
レッドソックスとコーリー・クルーバーの契約にはパフォーマンス・ボーナスとオプションがあります。
- 1年/$10M (2023) + 2024 $11Mクラブオプション
- パフォーマンス・ボーナス
- 20スタートで+$0.5M、25スタート及び30スタートでそれぞれ+$0.75M(計$1.5M)
- クラブオプションが行使された場合、2023年のパフォーマンス・ボーナスが2024年のベースサラリー$11Mに追加され、さらに前年と同じ設定のパフォーマンス・ボーナスも設けられている
- パフォーマンス・ボーナス
2023シーズンに20スタートとなった場合のサラリーは$10.5M、30スタートまで行けばさらに$0.75Mが2度加算されるので、$2M追加の$12Mに。
そして、2024年のサラリーは前年のパフォーマンス・ボーナスがベース・サラリーにプラスされるので、仮に2023年に30スタート以上をこなした場合、2024年のベース・サラリーに$2Mが追加されて$13Mに。さらに、2024年も30スタート以上をこなした場合には+$2Mのパフォーマンス・ボーナスが追加されるので計$15Mに。
よって2年でMAX$27Mが可能という設定になっています。
直近の契約
コーリー・クルーバーの2022シーズンのレイズとの契約は以下の通り。
- 1年/$8M (2022)
- パフォーマンス・ボーナス: 10スタート、15スタートでそれぞれ+$0.5M。20スタートで+$1M、25、30スタートでそれぞれ+$1.5M
コーリー・クルーバーは2022年に31スタートをこなしましたので、ボーナスは$0.5Mx2 + $1M+ $1.5M +$1.5Mで計$5M。よって2022年のサラリーは$13Mでした。今回のレッドソックスの契約は若干ではありますが、前年よりも安めの設定にはなっています。
2019年以降のコーリー・クルーバー
コーリー・クルーバーは2014年から2018年の5シーズンの間に、サイ・ヤング賞の得票でTOP3を4度、9位を1度獲得したことことのある実績ある右腕。その後は災難にも遭遇していました。
打球直撃で骨折(2019)
2019年は5月1日にマーリンズのブライアン・アンダーソンのラインドライブの打球を右腕にダイレクトに受けて骨折。
さらに、リハビリ中に腹筋痛(腹斜筋か?)にも悩まされました。この間、当時在籍していたインディアンスではシェーン・ビーバーやザック・プリサックらのプロスペクト達が台頭。コーリー・クルーバーはトレードの対象となり、2019年12月にデリノ・デシールズJr.とエマニュエル・クラせとのトレードでレンジャーズに移籍。クラセは禁止薬物で出場停止処分を受けるも、2022年に大飛躍しましたね。
肩の筋肉の断裂(2020)
コーリー・クルーバーの2020年は肩の筋肉を断裂し、1試合のみの登板にとどまりました。
シーズン終了後にFAとなり、スカウト向けのショーケースで好印象を与え、2021年1月にヤンキースと1年/$11Mでサイン。フィジカルチェックが注目されていましたが、それにパスしただけでなく、開幕からローテーションのNO.2の座を手に入れました。
肩の疲れ(2021)
5月19日には、2021シーズンで通算6度目のノーヒットノーランを達成。ヤンキースの投手のノーヒットノーランは、21世紀に入ってから初めてあり、グローブ・ライフ・フィールドでのノーヒットノーランの達成は、4月9日にパドレスのジョー・マグスグローブが達成して以来2人目となりました。
しかし、5月25日のブルージェイズ戦で、肩の疲れを訴えてわずか3イニングで降板。これ以降、IL入りとなり、復帰は8月30日まで待たなければならなくなりました。結局、2021シーズンは16試合で5勝3敗、ERA 3.83。ポストシーズンには登板せず、ヤンキースはワイルドカードゲームで敗退しました。
ベロシティー・ダウンにどう対応するか?
2018年までの輝かしい実績の後は、上述のように利き腕に大きな怪我を負い、一時は選手生命も危ぶまれましたが、2022年はレイズで31スタートで164.0イニングを投げ、10勝10敗、ERA 4.34、奪三振139で、とにかくシーズンにフル稼働した実績を残しました。
大怪我も完治し、さあこれからというところですが、コーリー・クルーバーは1986年4月10日生まれの36才。2023シーズンが始まってすぐに37才になります。
サイ・ヤング賞を2度受賞し経験豊富とは言え、年齢によるベロシティー・ダウンにどう対応できるのか?が最も関心のあるところ。
全盛期の2015年はシンカーの平均ベロシティーが93.5mph、4シームは93.2mph、武器のスライダーは88.9mphを誇りましたが、2022年は平均ベロシティーで90mphを上回る球種はなく、4シームとシンカーが88.9mph。ビデオゲームのようなスライダーは封印。カットボールを投げており、86.3mphで投球スタイルも変わりました。
さすがなのはBB%で、2021年は9.7%だったのが、2022年は3.1%に激減。キャリア平均が5.4%ですから2021年はやや高すぎはしましたが、3.1%はキャリアハイです。
ただ、2017年に34.1%をマークしたSO%は、2022年は20.2%に低下。これがベロシティー・ダウンの影響の出ているところです。
なお、ハードヒット%は全盛期でも33%前後でしたが、2022年は35%とそれほどアップしておりません。
とにかく、ヘルシーでさえあればローテーションは回せます。あとは狭いフェンウェイパークで一発に注意するあまり、腕が振れなくなるのに注意したいところです。ただ、昨年のレッドソックスの投手陣で一発を多く浴びたのはほとんどがど真ん中への投球。彼のコントロールと実績を信じるしかありませんね。
マイケル・ワカと再契約してもよかったのでは?なども考えてしましますが。
お読みいただき、ありがとうございました。
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