130.0 IP以上の稼働を見込める
現地2023年1月4日、アリゾナ・ダイヤモンドバックス(以下Dバックス)が、右腕のザック・デイビーズ(Zach Davies )と再契約で合意することとなりました。
ザック・デイビーズと言えば、「リラックス投法」。元エンゼルスで足をポンと高く振り上げるフォームでおなじみのジャレッド・ウィーバーとどちらが力を抜いて投げているか?というくらいに肩の力を抜いて投げる投手。フィニッシュでもそれほど力を集中させていないように見えるくらい力を抜いて投げます。
ある程度の失点は覚悟ですが、ローテーションを回し、イニングを稼ぐことが出来るイニング・イーターでもあります。そんなザック・デイビーズとDバックスとの契約内容はご覧の通り。
契約内容
- 1年/$5M (2023)
- 最大$3Mのインセンティブ
ザック・デイビーズのエージェントはボラス・コーポレーション。結構、地味な契約となりましたが、ここ2年ほどの数字が良くなかったのが響いた契約でした。
2015年にブルワーズでデビューしたデイビーズは、2019年オフにトレードでパドレスに移籍。2020シーズン、パドレスでのサラリーは$5.25M。このシーズンは日割りになったので実際は$1.58Mほどですね。
2020年12月にトレードでカブスへ移籍。カブスとの調停ファイナルイヤーの契約は1年/ $8.63M (2021)と非常に良かったのです。2019年と2020年の数字が良かったのが反映された契約でした。
2021年オフにFAとなり、12月にロックアウトが発生しました。ロックアウト解除後の2022年3月にDバックスと契約したのが直前の契約で、1年/$1.75M(2022) + 2023 ミューチュアル・オプションで$0.25Mバイアウト付きというかなり叩かれた形跡のある契約でした。
2022年、ザック・デイビーズは27試合に先発し、134.1イニングを投げるも、2勝5敗でERA 4.09と数字がついてきませんでした。よって、Dバックスは2023年のオプションを拒否。
ザック・デイビーズは先発すれば、5イニングから6イニングの計算は立つものの、3点くらいは覚悟しておくという投球が続いたのでした。
打たせて取る典型
誕生日が1993年2月7日で、2023シーズンは30才で開幕を迎えるザック・デイビーズは、2015年にデビューして以来、過去8シーズンにいずれも登板。一時的な離脱はあるものの、全休というのがありません。
圧巻のエース感はないものの、「しっかりとした仕事をしてきた」という投手。
キャリア通算182試合で、966.0イニングを投げ、ERAは4.14。年間平均IPは120.75。2020年の短縮シーズンでは69.1 IPで 63 SO を奪い、22.8%の奪三振率をマークしましたが、それ以外のシーズンで20%を超える奪三振率はなく、キャリア全体では17.4%。これはリーグ平均の22.1%を下回っていますが、ザック・デイビーズはそこで勝負する投手ではありません。
圧倒的なGB%
キャリアを通じたGB%(ゴロ率)は44.3%で、FB%(フライ率)は20.9%。圧倒的にゴロで打たせて取る投手。2022年の最速の球種はシンカーで平均で89.6 mph。これはキロ換算で144.2 km/h。NPBの先発投手の年間平均よりやや高い感じの値というところでしょうか。これにチェンジアップ、カッター、カーブ、スライダーをミックスし、タイミングをずらします。
このベロシティーで打たせて取るスタイルなので、9イニングを投げたとして1試合当たり何安打されるか?というH9はキャリアを通じて8.9と高め。これはもう致し方ありません。当然痛打もあります。キャリアを通じたハードヒット%は37.0%。
ただ、キャリアを通じたHR9(9イニングで何本HRを打たれるか?)は、1.2と素晴らしいのですが、HR%で行くと3.1%で、これはリーグ平均とほぼ同じくらい。
よってゴロ・キングだけにボールを上げないことから、このベロシティーでもHR率は低め、ただし、安打はコツコツ打たれますということが言えるでしょう。
それほど低くないBB%は仕事の証
なお、90mphを下回るベロシティーなので、コントロールを重視しているだろうから、さぞかしBB%は低いだろう・・・?と思っていたのですが、それほど低くないです。キャリアを通じたBB%は7.9%で、リーグ平均の8.4%をさすがに下回りますが、2021年と2022年はこの数字が悪化。2021年は11.2%、2022年は9.1%となりました。
もっと極端に低いBB%にはなり得ません。なぜなら、いかに際どいところをついて行くか?というのが彼のスタイルだからです。くさいところを突くがゆえにボールになることもあります。よって、BB%の数字だけを追うと、投手の価値を見誤ってしまいます。
これは3BやSSにエラーが無くならないのと同じ。3Bなら強い打球が飛んできますから、弾くこともあります。SSなら守備範囲ギリギリのところを処理しようとしますからたまにはミスをしてしまいます。仕事をしているから多少のデータもついてまわるのです。
Dバックスのローテーション
Dバックスのローテーションは、マディソン・バンガーナーを軸に、2022年に大活躍したザック ギャレン、そしてメリル・ケリーと3人を軸にして回って行きます。
ザック・デイビーズが入ることでNO.4以降の厚みが出てくることに。
なお、Dバックスには2022年に有望視されたものの、ビッグリーグ・レベルで定着していないプロスペクトが複数人おります。
ライン・ネルソンとドレイ・ジェイムソンは2022年終盤に良い兆候を見せたものの、ライン・ネルソンはMLBで3試合、ドレイ・ジェイムソンはわずか4試合の登板にとどまっています。2人とも来季は25才のシーズン。
さらに、トミー・ヘンリーも25才のシーズンを迎えます。彼も2022年は9試合と少ない登板にとどまり、ERA 5.36とあまり良い印象ではありませんでした。
彼らが大化けする可能性もありますが、やはり現実的なことを考えるとやはりザック・デイビーズの堅実な仕事ぶりは、現場としては欲しくなりますね。右腕のオーバースローで、ベロシティーで勝負しない投手の投球ぶりは非常に興味があります。彼が2019シーズンくらいに活躍することを願っています。
お読みいただき、ありがとうございました。
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