35才、14シーズン目でNLイーストへ復帰
現地2022年12月23日、ドジャースからFAとなっていたクレイグ・キンブレル(Craig Kimbrel )がフィリーズと1年契約で合意しました。
クレイグ・キンブレルは1988年5月28日生まれの34才。2023シーズンは35才のシーズンでメジャー14年目を迎えます。
ここまでアトランタ、サンディエゴ、ボストン、シカゴ(カブス)、シカゴ(ホワイトソックス)、ロサンゼルス(ドジャース)と渡り歩いてきましたが、今回のフィラデルフィアで再びNLイーストで投げることになりました。
契約内容
フィリーズとクレイグ・キンブレルが合意した内容な以下の通り。
- 1年/$10M 保証(2023)
パフォーマンス・ボーナスはついていそうですので、情報が明らかになりましたら、追記します。
クレイグ・キンブレルの前契約は、2019年6月にカブスとサインした時の内容で、3 年/$43M (2019-21) + 2022 $16M クラブオプション($1Mバイアウト←行使されたので不要)でした。前年にクラブ。オプションも行使され、今回は契約が切れたのでFAとなっていました。
ドンブロウスキー氏との縁
今回のフィリーズとのディールは現ベースボール・オペレーション社長のデーブ・ドンブロウスキー氏がレッドソックスで同ポジションに就いていたときに、パドレスから獲得した際に出来た縁でもあります。
WSチャンプ後の2人
レッドソックスが2018年にワールドシリーズを制覇した時のクローザーがクレイグ・キンブレルでしたが、この時のキンブレルの契約は、2014年にアトランタとサインした4年/$42M (2014-17) + 2018 $13Mクラブ・オプションを行使した後でFAとなっていました。
大型契約を望んでいたキンブレルにレッドソックスはオファーをしませんでした。その時の編成トップがデーブ・ドンブロウスキー氏で、ファンとしてはなぜ動かないのか?とやきもきした覚えがあります。GMロールと言えども中間管理職ですから、オーナーからの意向で動けなかったのでしょうね。
2018年のワールドシリーズ後にFAとなったキンブレルはなかなか引き取り手が見つかりませんでした。各クラブが敬遠したのは、2018シーズンの後半戦の苦戦と、ほぼすべてのクラブの分析部門が、クローザーは一般的に過払いであると指摘し始めてたからです。
ただ、その前の2016年にインディアンスのアンドリュー・ミラーがALCSで鬼の投球を披露。彼は厳密に言えばクローザーではありませんでしたが、ゲーム後半のリリーバーがいかに大事かを痛感させた出来事でクローザーの相場も上がっていたという背景がありました。
キンブレルが所属先を見つけたのは2019年のアマチュア・ドラフトが終わった当日の6月5日のこと。シカゴ・カブスは、FA選手獲得の補償でドラフト上位指名権を手放す心配がなくなったので、上述の3年契約でサインしました。
今回のディールはあの時の穴埋め・・・不義理を許してとDD氏がキンブレルに請うているようにも思うのです。
カブス1年目の2019シーズンは、膝の炎症と戦いながら、23試合で13セーブ、ERA 6.53と散々な成績でした。
そして2019年9月、デーブ・ドンブロウスキー氏はレッドソックスを解雇されました。
2020年以降のキンブレル
短縮シーズンとなった2020年、最初の登板となった7月27日のシンシナティ・レッズ戦で、8-5のリードの状況で登板したものの、打者4人に四球を与えるなどでわずか0.1イニングで2失点を喫してジェレミー・ジェフレスに救われるなど、最悪のスタートとなりました。2020シーズンは18試合で0勝1敗、ERA 5.28、2セーブ。クローザーの座はジェフレスに奪われたものの、ポストシーズンの接戦で起用され、10月2日のワイルドカードシリーズGame2で、マイアミ・マーリンズに2-0で敗れた試合に1.1イニングをスコアレスで抑えるなど本来の力を出したケースもありました。
2021年、キンブレルはそれまでの2シーズンが嘘であったかのように、メジャー屈指のクローザーに返り咲きました。6月15日時点で、28試合に登板して18セーブ、ERA 0.66でクローザーロールをリードする存在に。6月17日には、キャリア通算367セーブをマーク。ジェフ・ラードンと並んで歴代10位タイとなりました。6月24日のドジャース戦ではコンバインド・ノーヒットノーランを達成。ただ、カブスはこの試合の直後から連敗を続け、ポストシーズン争いから脱落しました。
クレイグ・キンブレルはこの年のトレードデッドラインで2Bのニック・マドリガル(怪我で年内離脱)らとのトレードでシカゴ・ホワイトソックスに移籍。トレード直後の8月16日には、キャリア1000個目の奪三振をマーク。ただ、ホワイトソックスにはリアム・ヘンドリクスがクローザーを務めていたため、キンブレルはセットアップロールに回りましたが、どうやら合わなかったようで24試合で2勝2敗、ERA 5.09、1セーブと良い成績は上げられませんでした。
2021年は63試合に登板し、4勝5敗、ERA 2.26、24セーブ。アストロズとのALDSでは、3試合に登板し、2イニングで3失点を喫しました。
2022年の開幕直前の4月1日、キンブレルはOFのA.J.ポロックとのトレードでドジャースに移籍。ホワイトソックスはOFが一人欠けており、ドジャースはケンリー・ジャンセンを放出していたためクローザーがいないということで、受給がマッチしました。
2022シーズンは63試合で、60.0イニングを投げ、ERA3.75。47ゲームを締め、セーブは22。
400SVのマイルストーンへ
現時点で394セーブのクレイグ・キンブレルはあと6で400セーブ。2023シーズンはケンリー・ジャンセンとともに400SV投手が2人も誕生するかもしれませんね。それにしてもマリアーノ・リベラの652セーブは異次元の数字ですね。
# | Player (yrs, last mlb age) | SV | IP | Arm |
1 | マリアーノ・リベラ【HOF】 (19, 43) | 652 | 1283.2 | R |
2 | トレバー・ホフマン【HOF】(18, 42) | 601 | 1089.1 | R |
3 | リー・スミス【HOF】 (18, 39) | 478 | 1289.1 | R |
4 | フランシスコ・ロドリゲス(16, 35) | 437 | 976 | R |
5 | ジョン・フランコ (21, 44) | 424 | 1245.2 | L |
6 | ビリー・ワグナー (16, 38) | 422 | 903 | L |
7 | クレイグ・キンブレル (13. -) | 394 | 688.1 | R |
8 | ケンリー・ジャンセン (13, -) | 391 | 769 | R |
9 | デニス・エカーズリーHOF】(24, 43) | 390 | 3285.2 | R |
10 | ジョー・ネイサン (16, 41) | 377 | 923.1 | R |
11 | ジョナサン・パベルボン (12, 35) | 368 | 725.2 | R |
キンブレルの実績
とにかくブレーブス、パドレス、レッドソックス時代は本当にえげつなかったクレイグ・キンブレルですが、過去の実績はご覧の通り。
そう言えばキンブレルの眼前でピッチング・ルーティーンのマネをしていたのはフィリーズ・ファンでした。
【YOUTUBE】Phillies fans mimic Kimbrel’s mannerisms
- オールスター出場:8度 (2011-2014,、2016-2018 & 2021)
- 2011 NL ROY(Rookie of the Year) Award
- NL ロレイズ・リリーフ賞(Rolaids Relief Award):1度 (42SV: 2012)
ロレイズ・リリーフ賞は、ロレイズ社が毎年、各リーグの最優秀救援投手に贈るAward。1976年に初めて授与されたが、2014年にマリアーノ・リベラ賞とトレバー・ホフマン賞が導入されたため、2012年シーズンを最後に廃止されています。NPBの「ファイヤーマン・オブ・ザ・イヤー」という同じ
- トレバー・ホフマン賞:1度 (47SV: 2014)
トレバー・ホフマン賞は2014年から導入されたNLの最高救援投手を称えることを目的とした賞。NL歴代トップのセーブ記録を持つトレバー・ホフマンに敬意を表して名づけられた。
- マリアーノ・リベラ賞:1度 (35SV: 2017)
マリアーノ・リベラ賞は2014年から導入されたALの最高救援投手を称えることを目的とした賞。AL歴代トップのセーブ記録を持つマリアーノ・リベラに敬意を表して名づけられた。
- NLセーブトップ:4度 (46SV:2011/ 42SV: 2012/ 50SV:2013/ 47SV: 2014)
- 30 セーブ以上のシーズン: 8度 (2011-2018)
- 40 セーブ以上のシーズン: 5度 (2011-2014 & 2018)
- 50 セーブ以上のシーズン: 1度 (2013)
- ワールドシリーズ・チャンプ:1度( @レッドソックス in 2018)
フィリーズのリリーバーは?
フィリーズはポストシーズンにリリーフで活躍したザック・エフリンが抜け、さらにデービッド・ロバートソンも同地区のメッツへ。
タイワン・ウォーカーとマット・ストラムが入りましたが、ウォーカーは先発、ストラムはブルペンロールを演じてきましたが、また先発をやりたいと言い出すのかどうか。いずれにせよキンブレルが入ったのは心強いですね。
ホセ・アルバート、セランソニー・ドミンゲスのどちらかがクローザーになるのか?あるいはクレイグ・キンブレルか?ここは注目ですね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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