左に強いSSとローテーション投手という受給
現地2023年7月26日、ドジャースがまた動きましたね。
ガーディアンズとの間でトレード成立です。今度はSSを補強で、アーメッド・ロザリオを獲得しました。ガーディアンズは昨シーズン大活躍したSSを放出して大丈夫か!という懸念が先立ちますが、まずは概要から見て行きます。
トレード概要
今回のトレードは実績のある選手同士で1:1の関係ですが、ドジャースはノア・シンダーガードにさらに$1.873Mを添えて送り出すとことになっています。
ドジャースGet
- アーメッド・ロザリオ(Amed Rosario/27)SS/右投げ右打ち
ガーディアンズGet
- ノア・シンダーガード(Noah Syndergaard/30※)RHP
- ※2023年8月29日の誕生日で31才となります。
- キャッシュ:$1.873M
契約との関係
互いの契約内容はご覧の通りです。
アーメッド・ロザリオ | ノア・シンダーガード |
---|---|
1年/$7.8M (2023) ( 2023年1月サイン) | 1年/$13M (2023) (12/14/22サイン) – パフォーマンス・ボーナス 130, 150, 170 IPごとに $0.5M加算 |
残り金額 $2.8M (LADが引き継ぎ) | 残り金額 $4.682M LADはCLEに$1.873M を送る |
アーメッド・ロザリオは今季が調停のラストイヤーで、調停を回避して2023年1月にサインしたもの。1年契約です。
一方のノア・シンダーガードはFAも経験し、クオリファイング・オファーも受けた経験があります。今季をステップアップにして長期を!という目論見でしたが、思うように行っていない数字です。これは後述します。
ご覧のようにサラリーにはかなりの開きがありますが、これはフルシーズンの金額。
残り期間のサラリーはノア・シンダーガードが$4.682Mなのに対し、アーメッド・ロザリオが$2.8M。その差額が約$1.873Mでドジャースがそれを支払うこととなりました。
ガーディアンズは残りの$2.8Mのみで良いことになり、これはアーメッド・ロザリオをフルシーズンで囲ったのと結果的に同じ金額になります。
なお、シーズンが終わればともにFAとなるため、期間限定の在籍ということになりそうです。
背景
(LAD)左腕対策
前日のキケ・ヘルナンデスのディールでも触れたように、ドジャースがこのトレードデッドラインでテコ入れしたいのは左腕投手対策。現地2023年7月26日時点のドジャースの左腕投手に対するチーム打率はMLB28位の.229。非常に大きな穴があります。
アーメッド・ロザリオは2023シーズンの数字では、左投手に対して.303/.345/477の素晴らしい数字を残しています。それはキャリアを通じても言えることで、.302/.343/.474と確固とした実績があります。
SSのミゲル・ロハス(打率.221)、2Bのミゲル・バルガス(打率.195)という内野の右打者が苦戦している中、いつまでもムーキーの器用さに甘える訳にも行きません。
ここで右打席のSSが入ることで、ムーキーにもOFで伸び伸びとプレーし、さらに打撃に集中してもらうという意味でもSSの補強ということになりました。
攻撃の関係でOFも
名手がひしめくMLBのSSですが、その中でアーメッド・ロザリオのSSの守備は平均以下という評価も。今季はすでにエラーが11。2022年はSSとして12個のエラーでしたから、今季は守備では苦戦しています。
なお、2021年はCFとして14試合に先発、2022年はLFで6試合に先発した経験のあるロザリオは、攻撃重視で考えた時に、OFとして起用されるケースもありそうです。
効果を発揮するか、見ものですね。
なお、ドジャースがSSを色々とやりくりしているのは、ギャビン・ラックスがACLの大怪我でシーズン・エンディングになったからです。
(CLE)先発補強
ガーディアンズがノア・シンダーガードを獲得した背景は、短期的にローテーションをアップグレードさせるため。
ガーディアンズはシェーン・ビーバー、トリストン・マッケンジー、カル・クァントリルをそれぞれ長期離脱で失っており、現時点ではアーロン・シバーリとギャビン・ウィリアムス、ローガン・アレン、タナー・バイビーのルーキー・トリオで回している状況。
このままでは立ち行かないという切実なところでのトレード成立です。
アーメッド・ロザリオとは
簡単に選手のプロフィールを。
ドジャースに移籍するアーメッド・ロザリオは、ドミニカ共和国の出身で、1995年11月20日生まれで現時点では27才。
2012年7月にアマチュアFAとしてメッツとサイン。メジャー・デビューは早く、2017年で21才の時。2018年からほぼエビリデーSSとして稼働し、打撃は一発は少ないものの、キャリア通算で打率.273、OBP .308、SLG.400をマークしている通り、確かなものがあります。メッツには2020年まで在籍。
2021年1月にフランシスコ・リンドーアがカルロス・カラスコとともにメッツに動いたトレードで、アンドレ・ヒメネスとともにガーディアンズに移籍してきました。
このトレードはガーディアンズにとってアンドレ・ヒメネスが羽ばたいたことで非常にいいトレードとなりましたが、アーメッド・ロザリオもSSとして良い活躍をしました。
2021年と2022年の2年間で、294試合に出場し、打率.282、OBP .316、SLG .406をマーク。特に2022年は、アンドレ・ヒメネスとともにホセ・ラミレスの脇を固め、シーズン途中には.300をマーク。最終的には.283に落ち着きましたが、彼の活躍がガーディアンズをポストシーズンに押し上げた面もありました。
2023年もほぼ毎試合出場していますが、打撃成績はやや落ちて、.265/.306/.369。
ガーディアンズのSSは?
ちなみにSSがいなくなったガーディアンズですが、場合によってはアンドレ・ヒメネスがSSに動くことにもなりそうですが、2Bの方が打撃成績が良いということになれば、プロスペクトのタイラー・フリーマンが筆頭候補に上がりそうです。その他、ガブリエル・アリアス、ブラヤン・ロッキオも候補です。
ノア・シンダーガードとは
ノア・シンダーガードのプロフィール詳細は下記のリンクに記しておきます。
かつて、”Thor”の愛称とともに、無双ぶりを発揮した剛腕は2020年シーズン前にトミー・ジョン手術を受けて以来、かつてのようには行かなくなりました。
リハビリで2021年のほとんどを欠場したシンダーガードは、2022年はエンゼルスとフィリーズで25試合に登板してERA 3.94をマーク。復活の兆しはありました。
特にフィリーズでは、ブレーブスとのALDSで好投。かつてのパワーはなりを潜めているものの、コマンドの素晴らしさはキープ。
今季は12試合、55.1イニングに登板し、1勝4敗、ERA 7.16と苦戦。苦しみながららもBB9は1.5とプロとしての矜持をそのコマンドの良さで保っている感じになりました。手術前には90mph後半の平均ベロシティーを記録していた剛腕は、今季のそれは92.6mph。もう少し、4シームが走れば復調しそうです。
6月後半からブリスター・イシュー(マメ)でマイナーで調整を行っていたノア・シンダーガードはまもなく復帰予定です。まさかガーディアンズで復帰するとは本人も思っていなかったでしょうね。
ともに活性化することを期待
ドジャースはNL西地区首位で2位ジャイアンツに3.0ゲーム差をつけています。一方、ガーディアンズはALセントラルで2位。51勝51敗で勝率5.00(現地2023年7月26日時点)。
このトレードがともに活性化すれば良いなと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
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