トラウト、復帰まで4-8週間
現地2023年7月5日、エンゼルスのフィル・ネビン監督は記者団に対し、マイク・トラウトが左手有鉤骨骨折の修復手術を受けたことを明らかにしました。復帰までは4~8週間。ざっと2ヶ月間、離脱することになります。
パドレス戦のGeme1で発症
マイク・トラウトが骨折したのは、現地2023年7月3日(月)のパドレスとの3ゲームシリーズのGame1。8回表、イニング先頭で打席に入ったマイク・トラウトは0-1カウントからニック・マルチネスの放ったボールに対して強いスイングで対処。ファウルとなったのですが、この時、トラウトは左手を強く振り、痛みを堪える仕草をしました。一瞬、ボールが手に当たったのか?とも思いましたが、むしろアウトコースで死球はあり得ません。
故障だなと思った後に浮かんだのは、うずくまる様子もないことから、腹斜筋ではない。となれば、強いスイングで手首のどこかを傷めか、あるいは有鉤骨のどちらかでした。
トラウトは打席途中でゲームを離れざるを得なくなり、代打としてミッキー・モニアックが入りましたが、凡退しました。
翌4日、正式に左手の有鉤骨骨折が明らかに。エンゼルスは即日、トラウトを10 Day ILに入れ、現地2023年7月5日、手術を実施したという流れです。
有鉤骨とは
有鉤骨とはバット・グリップエンドが当たる手のひらと手首の間の骨。自ずと右打者なら左手、左打者なら右手になります。打球を跳ね返す時にグリップエンドが当たる部分が衝撃を受け続けることにより、ある日骨折に至るというもの。これまでたくさんの打者がこの症状を経験してきました。
なお、このゲームはエンゼルス先発のハイメ・バリアがゲームメイク出来ず、5回を終えて0-4のビハインド。打線もパドレス先発のブレイク・スネルに抑えられ、厳しい展開。ただ、エンゼルスは中盤に3得点を返したものの、リリーバーが流れを止めることが出来ずに3-10のスコアで敗れました。
4-8週間で復帰は1つの目安
有鉤骨を傷めるともう症状の改善を待つしかありません。マリナーズのテイラー・トラメルは、2023年2月に有鉤骨骨折と診断され、回復までの期間は7週間と提示されました。リハビリを開始したのは2ヵ月後です。
つまり、トラウトも2ヶ月くらいで完治はしそうですが、そこからチューンナップを始めることになるので、早くて9月中盤以降になるかもしれません。
大谷選手の登板日も打線が援護出来ず
翌5日、エンゼルスは大谷選手が登板。3番P-DHで出場。CFにはミッキー・モニアック、LFにはテイラー・ウォード、RFはハンター・レンフローでした。
大谷選手は、前回6月27日のホワイトソックス戦での登板で爪を傷めた影響から先発日をずらしていました。その影響からか、立ち上がりはLow-90mphという投球で慎重でした。
なんとか踏ん張っていた大谷選手でしたが、中盤にパドレス打線に捉えられ、計5失点。この日は5.0イニングで被安打7、失点5、BB4、SO5、HR2でした。
ジョー・アデルを招集
エンゼルスはトラウトのIL入りにともない、マイナーからジョー・アデルを招集。右腕のヘラルド・レイエスも上がってきました。この日は、大谷選手が珍しく途中交代し、最後の打席はアデルが入りました。
エンゼルスは最終回に追い上げを見せたものの、5-8で敗れ、大谷選手に4敗目がつきました。ERAは3.32。
エンゼルスのけが人
エンゼルスの現時点でのけが人は先発捕手のローガン・オホッピー、SSのザック・ネトのルーキー・コンビに加え、内野手ではジオ・ウルシェラがシーズン・エンディングの左骨盤の骨折。
トラウトがIL入りとなる直前の7月2日には活躍していたブランドン・ドーリーがIL入り。ドゥルーリーはホワイトソックス戦でのダイビングで左肩を打撲。10 Day ILです。
さらに投手ではホセ・キハーダ、ホセ・スアレス、そしてマット・ムーアの左腕に加えて、剛腕のベン・ジョイスも。
また、トラウトが有鉤骨を骨折したゲームではアンソニー・レンドンが自打球を膝に受けて途中退場。レンドンは骨には異常がありませんので、現地7日のゲームには出場予定。
大谷選手のモチベーションにも影響するか
レンドンはもともと怪我の多い選手ゆえ、ある程度の離脱は覚悟の上でしょうが、マイク・トラウトまで失うとなると、さすがの大谷選手もちょっとメンタル的に厳しいかもしれません。
2023年シーズンは、大谷選手のFA資格取得前のラスト・イヤー。勝ちたい思いの強い大谷選手をつなぐために、エンゼルスはここまで勝てるロースターを構築することで残留の意思を固めようとしました。
ブランドン・ドーリー、ハンター・レンフロー、カルロス・エステベスといった実績のある選手の補強がそうです。さらに風を吹き込むために、ザック・ネト、ベン・ジョイス、サム・バックマン、ローガン・オホッピーといったトッププロスペクト達を積極的に起用。実際、彼らは良い結果を出していました。
ところが、ザック・ネト、ブランドン・ドゥルーリー、ジオ・ウルシェラ、アンソニー・レンドンといった内野陣が次々に怪我に見舞われ、プランは大幅に狂いました。
それでも勝てるようにベテランINFのエドゥアルド・エスコバーと元WS戦士のマイク・ムスタカスをトレードで獲得。しかし2人ともかつての輝きが縮小しているのは事実です。
勝てる要素を積み重ねつつも、ことごとくけが人が出て、厳しい戦いを強いられる状況が続いています。
なお、31歳のマイク・トラウトは、80試合で打率.260、OBP .365、SLG .493、OPS+が134、HR 18、RBI 43をマーク。かつてのトラウトの数字は下回るものの、その存在感の大きさは計り知れません。
エンゼルスはパドレスにスイープされ、45勝44敗とAL西地区3位ながら、5割に戻ろうとしています。現時点ではレンジャーズとは7ゲーム差、ワイルドカード争いでも4ゲーム差。シーズンの正念場であると同時に大谷選手をつなぐ糸をどこまで太く出来るかの瀬戸際でもあります。
どうなるか、見守りたいですね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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