HOT STOVE for 2020
現地2019年12月24日、ニューヨーク・ヤンキースからFAとなっていたデリン・ベタンセス( Dellin Betances,)のディールが決まりました!メッツと1年プラスちょっと変わったオプション設定で合意です!
契約詳細
合意内容ですが、以下の設定となっています。
- 1年/$7.5 M(2020)
- 2021はプレーヤーオプション
- バイアウトの場合、$3M
- プレーヤーオプション行使の場合
- $0.8M with 2020年に40試合登板の場合
- $1M 追加(2020年に50試合/ 60試合/70試合登板したごとに)
- 2022もプレーヤーオプション
- 2021年に50試合登板で$1M
- 2021年に60試合登板で$2M(バイアウトの場合$1M)
- 2021年に70試合登板で$3M(バイアウトの場合$1M)
ギャランティーされている金額としては2020年の$7.5Mと2021年をバイアウトした場合の$3Mを合わせた$10.5M。2021年はサラリーがエスカレーションする設定ですが、ベースはあくまで$0.8M。2021年もベースは$1Mです。
この契約のオプションがわかりにくい理由
普通は箇条書きにそればややこしい契約でもスッキリとよくわかるものですが、この場合あまりピンと来ない方も多いのではないでしょうか。
そう思うのはまず、「プレーヤー・オプション」の設定です。通常は選手側に再契約するかどうかの選択肢がある「プレーヤー・オプション」で、サラリーの設定も選手にとって有利な内容になるものですが、この場合あまりベタンセスのメリットになっていません。
加えて、プレーヤーオプションなのに、予め定めた成績を超えたらという「べスティング・オプション」の要素も入っています。
しかも、「べスティング・オプション」はクラブ側が選手に人参をぶら下げるように設定するのが常ですが、今回の場合はまるでベタンセスが自らを鼓舞するような設定になっています。
まだあります。なおかつその金額の設定が高くない。以上の点から、ちょっと通常では考えにくい設定ゆえにピンとこないのではないかと思います。
デリン・ベタンセスとは
そういう設定をしたデリン・ベタンセスについてちょっと触れておきたいと思います。
マンハッタン育ち
デリン・ベタンセスは1988年3月23日生まれで生粋のニューヨーカー。ローワー・イースト・マンハッタンの出身で、高校はブルックリンにある学校を出ています。ドラフトは2006年のヤンキース8巡目指名。
生まれも育ちもニューヨークでマイナーもスターテン・アイランドで過ごしたというすごい経歴です。今回のメッツ入りに本人はまたニューヨークにいられると喜んでおります。
デビューは2011年のセプテンバー・コールアップ。この年は2.2イニングでノーレコード、ERA 6.75でフィニッシュ。期待された2012年は逆に苦しみ、マイナーで過ごしました。2013シーズンも6試合、5イニング、ERA 10.80で終了。この時、すでに25才。
2014年から18年の5年間で349試合登板
そして本格的にメジャーのマウンドに上がり始めたのが2014年、26才のシーズンから。以降は2014年から2016年までは3年連続70試合以上に登板、さらに2017年から18年もそれぞれ66試合に登板するなどヤンキースにとって欠かせないリリーバーへと進化を遂げました。
2019年はたった8球でシーズンエンド
2019年、デリン・ベタンセスはスプリングトレーニングから肩の不調を訴えます。肩を上げていくときに、ある角度で痛みや引っかかりを感じてそれ以上上げられなくなることを「肩のインピンジメント症候群」と言いますが、ベタンセスはそれに罹ってしまいました。2014年から18年の5年間で349試合登板の疲れが出たのではないかと思います。
さらに、2019年は9月15日に復帰登板を果たしたのですが、今度はアキレス腱の部分断裂が判明。結局、1試合のみの登板でシーズンエンドとなってしまいまました。2019年は0.2イニング、打者2人、8球のみで終了しています。
自らを追い込むオプション設定にしたかったのか
ベタンセスが今回このようなオプション設定にしたのは2019シーズンが怪我で思うような活躍どころか、大変不本意な成績になってしまったがゆえ、自らを追い込むような設定にしたのではないか?と推測します。だとしたら、かなり良心にそった契約内容であると評価したいところでもあります。
とは言え、2021年はバイアウト$3Mなので、2020年の成績がよければバイアウトしてFAとして新たにメッツを含めた30クラブと交渉できるというよいシナリオも描いているとは思います。
本来は100mph、ナックルカーブの投手
2019年は怪我に泣いたベタンセスですが、本来は100mph超えのファストボールとナックル・カーブが持ち味の投手。もっとも2020年は32才となるので威力も落ちるとは思いますが、カーブがいいのでファストボールのベロシティーが多少落ちてもまだ十分に緩急で勝負できると思います。
本当にヘルシーかどうかだけだと思います。
メッツ、豪華なブルペンに
2019年のメッツはブルペンで苦しみました。エドウィン・ディアスとジェウリス・ファミリアの不調が痛かったです。
- E・ディアス: 66G/ 2-7/26SV/ ERA 5.59
- J・ファミリア:66G/ 4-2/0 SV/ ERA 5.70
エドウィン・ディアスは今オフ、トレードの噂もまだ消えてはいませんが、今のところは彼ら2人も2020年のブルペンとカウントされています。
2019年、メッツが後半戦に盛り返してナ・リーグ東地区3位でフィニッシュしたのはセス・ルーゴの力が大きかったです。61試合、7勝4敗、6SV、ERA 2.70。セス・ルーゴは本当はスターターに回りたかったようですが、メッツは今オフ、スターターを補強。ルーゴは再びブルペンに回ることになりそうです。わかっているだけでご覧のようなブルペンです。
- E・ディアス
- J・ファミリア
- S・ルーゴ
- J・ウィルソン(L)
- D・ベタンセス
- R・グセルマン
- B・ブラック
- D・スミス
もしもディアスとファミリアが機能し、しかもベタンセスがヘルシーであれば、ゲーム後半にかなり優位に立ちそうな展開になりそうです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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