大エースはメッツに決定
現地2021年11月29日は12月1日に期限を迎える現行のCBA(労使協定)の駆け込みでエージェントとクラブ間で火花の散るようなディールが多数決まりました。期限はまだ2日ほどあるので、この動きはそれまで続く見込み。ということは、ロックアウトはほぼ決定ということでしょうね。それはそうでしょう。というのも、決める項目が多すぎます。
期限到来で身動きが出来なくなって編成に影響が出るのはクラブ側なので、エージェントがかなり強気に出ていると言えそうです。売り手市場ですね。
エージェント:「期限前に決めたければ、契約年数、年俸単価、あるいはバイアウト付きのオプションでもう一声くれ。そしたら、あんたのところに決めるよ」というやり取りが聞こえてきそうなくらいの強気の内容の連発となっています。そんな中で飛び抜けていたのはレンジャーズで、コーリー・シーガーとのディールも破格の待遇なのですが、いかんせんシャーザーのディールの単価に霞んでしまいました。
シャーザーのディール
シャーザーとメッツは以下の条件で合意。
- 3年/$130M (2022-24)
- 2023シーズン終了後にオプトアウトあり
- フル・ノートレード条項
2年目が終了した時点でメッツに残るかどうかをマックス・シャーザーが選択するオプトアウトが入っています。オプトアウトが行使になった後の条件はわかり次第記載します。
AAVで史上最高額 43.33Mドル
このディールで驚くのはその単価。贅沢税算出の基準にもなるAAV(Annual Average Value)は総額を年数で割ったフラットな単価。今回のシャーザーのディールは$43.33Mです。
AAVランク
総額/年数のAAVで大型ディールは以下の通り。
- マックス・シャーザー(NYM):$43.33M (3年/$130M :2022-24)
- マイク・トラウト(LAA):$37.1M (12年/$426.5M: 2019-30)
- ゲリット・コール(NYY): $36M (9年/ $324M: 2020-28)
- ジェイコブ・デグロム(NYM): $36M (5年/$137.5M :2019-23)
- ノーラン・アレナド(STL): $35M (8年/$260M: 2019-26 + 1年/$15M:27)
- スティーブン・ストラスバーグ(WSH): $35M (7年/$245M: 2020-26)
- マックス・シャーザー(WSH): $34.5M (7年/$210M: 2015-21) 前契約
- トレバー・バウアー(LAD): $34M (3年/$102M: 2021-23)
- ジャスティン・バーランダー(HOU): $33M (2年/$66M: 2020-21) 前契約
- ザック・グレインキ (HOU) : $32.9M (6年/206.5M: 2016-21)
- コーリー・シーガー(TEX):$32.5M (10年/$325M)
華麗なる実績
今更ながらですが、マックス・シャーザーの華麗なる実績をかいつまんで記載しておきます。
- オールスター出場:8度 (2013-2019 & 2021)
- サイ・ヤング賞受賞:3度 (2013/AL、2016/NL & 2017/NL)
- 勝利数(最多勝)1位:4度 (2013/AL, 2014/AL, 2016/NL & 2018/NL)
- ア・リーグ最高勝率:1度 (2013: 21勝3敗)
- ナ・リーグ最多イニング:2度 (2016 & 2018)
- ナ・リーグ奪三振タイトル:3度 (2016: 284、2017: 268 、2018:300)
- ナ・リーグ完投数1位:3度 (2015: 4、 2017: 3、2018:2)
- ナ・リーグ完封数1位:2度 (2015:3 、 2018: 1)
- 15勝以上のシーズン: 8 (2011-2014, 2016-2018 & 2021)
- 20勝以上のシーズン: 2(2013 & 2016)
- 200 イニング以上のシーズン: 6 (2013-2018)
- 200奪三振以上のシーズン: 9 (2012-2019 & 2021)
- 300 奪三振のシーズン: 1 (2018)
- ノーヒット・ノーラン:2度(2015 June 20/ 2015 Oct 3)
- 2019 ワールドシリーズ・タイトル
- 通算:190勝97敗 ERA 3.16/ SO 3,020
2022年途中で38才
マックス・シャーザーは1984年7月27日生まれの37才。2022年の誕生日で38才に。今回の契約は3年なので2024年のシーズン終了時は満年齢で40才を迎えています。
シャーザーに対し、3年をオファーするクラブはあったと思いますが、ここまでの単価を出せるのはふんだんに資金のあるメッツしかないというようなディールでもありました。
シャーザーはまだまだこれからもいい投球を見せてくれると思います。数年前からモデルチェンジをしていまして、4シームの割合がそれまでの55%前後から2017年を境に50%、今では45%前後に落としており、カーブがそれまでの7-8%から9.5%前後にアップ。つまり、緩急を使うようになってきました。
4シームのベロシティーは、アベレージで意外にもMid-90mph。ここぞという時に今でも97-98mphは出してきます。もともとスリークォーターの腕の角度なので、100mphは滅多に超えませんでした。これがトラックマンの計測でも同じなのです。どうも100mphをヒットしません。
ただし、シャーザーの場合、97mphでも他の投手の100mph以上の威力を感じさせるものがあります。低めは地を這い、唸りを上げているのが画面からでも伝わってきますからね。
シャーザーを初めて見た時のことを思い出します。こんなすごい体格の投手がこれだけ速い腕のスイングで投げるのだから、速いに決まっている!と。
故障が少ないのは、若いころから投げた後にすぐに腕を上げて血液を戻す動きをしていた点にあると思っています。かつて投手のマッサージでPNFというのがあったのですが、内捻、外捻を繰り返す動作し、投げた後の腕を本来のところに戻すというようなのがあったのですが、それをセルフでやっていたようなものかなと思います。そのほかにも、今ポストシーズンで裸でセレブレートするシーンがありましたが、あの素晴らしい上半身を見たら、しっかりケアしているのだなと思いますね。
何が言いたいかというと、ケアもしっかりしているシャーザーはメッツに大きく貢献するでしょうということです。
ナ・リーグ・イーストはまた激しくなりますね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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