マリナーズ、プレーオフに向け勢いの出る話題
現地2022年9月24日、シアトル・マリナーズは先発右腕のルイス・カスティーヨ(Luis Castillo )との5年の契約延長にサインしました。
後述しますが、これによりマリナーズはロビー・レイとルイス・カスティーヨで先発ローテーションの中軸を2026年まで完成。さらに今季デビューのプロスペクトも加え、少なくとも2026年シーズンまでは盤石な先発ローテーションとなり、かつてのインディアンス並みの投手王国を完成させました。
これはイチロー選手もうれしいでしょうね。
カスティーヨの契約内容
マリナーズとルイス・カスティーヨの契約内容は以下になります。
なお、ルイス・カスティーヨは延長契約しなければ、2023シーズン終了後にFAとなる予定でした。
- 5年/$108M (2023-27) + オプション
- 支払い:
- サイニング・ボーナス:$7M (サインから60日以内に支払い)
- $10M (2023)、 $22.75M/年 (2024-2027)
- 2028 : $25M べスティングオプション
- 2028年べスティング・オプション:以下を満たされない場合に2028年は$25Mのサラリー保証
- a) カスティーヨが2027年に180イニング以上投げる
- b) 独立した外科医がカスティーヨが2028年シーズンをILでスタートするような怪我をしていないと判断した場合
- 2028年コンディショナル・オプション(条件付き)。
- 2025-27年にカスティーヨがトミー・ジョン手術またはUCL損傷に起因する手術により連続130日以上IL入りした場合、マリナーズが2028年のクラブオプションとして$5Mのサラリーでカスティーヨに投げてもらうことが出来る
- 最初の3シーズンはノートレード条項が完全に適用される。
- 支払い:
トミー・ジョンのリスクを入れた契約
まず金額ですが、サイニング・ボーナスの$7Mと2023年の$10Mに加え、2024年から2027年までの4年を入れて、計$108M。
- $7M (サイニング・ボーナス)
- $10M (2023)
- $22.75M x 4年(2024-2027) = $91M
2028年のべスティング・オプションですが、トミー・ジョン手術のリスクを考慮に入れた内容で、これは初めて見たかもしれません。
カスティーヨにとっては2025年から肘のケアに注意
カスティーヨは2025-27年にUCL修復手術のため130日以上欠場した場合、マリナーズは2028年に$5Mのクラブオプションでカスティーヨに投げてもらうことが出来ます。
これは2028年も言ってみれば$5Mの保証があるということであり、べスティングの条件をクリアーすれば、$25Mのサラリーになるということですから、上記の$108M+$5M or $25Mということで、$113M保証で最大$133Mの契約ということも言えるでしょう。
ただ、クラブ・オプションではあるのですが、2027年で終了ということも色濃く残っているとも言え、金額的には2027年までの合計額の$108Mということなのでしょう。
カスティーヨが気をつけないといけないのは、2023年と2024年の最初の2年を過ぎれば、3年目からはトミー・ジョン手術に十分に気をつけなければならないところです。
良いように作用する可能性も大
大型契約をした投手がトミー・ジョン手術で離脱し、契約の2年ほどを不意にしてしまうのは、全ての関係者にとって不幸なことです。
サラリーが高ければ高いほど、批判の矛先はその投手であり、GMに向いてしまいます。
今回、このようなトミー・ジョン・リスクの規定を入れることで、そのような批判にさらされて選手やGMが気を病んでしまうリスクはかなり防げているかもしれません。
大きく儲けたい人にとっては不利な条件かもしれませんが、むしろこれがあることで、案外手術は回避出来るかもしれませんね。
安いと感じるくらいの方がむしろ幸福
今回のルイス・カスティーヨのサラリーは安いと感じるくらいの価格設定です。
ホセ ・ ベリオスのケースと比較してもやはり驚きの価格です。
現地2021年11月16日にブルージェイズとホセ・ベリオスが契約延長した内容は下記の通りです。
- 7年/$131M (2022-28)
- 2026年終了後にオプトアウト(出るかどうかは選手が決める)あり。
- ノートレード条項あり
ベリオスは2022年は11勝を上げてはいるものの、ERAが5.27と内容がよくありません。ルイス・カスティーヨはレッズとマリナーズを併せて今季はここまで7勝6敗ながら、139.0イニングでERAは2.85。大苦戦のレッズでの成績でも2.86でした。
球質などを見ても明らかにルイス・カスティーヨの方が上に思えるので、金額も期間もベリオスの方が良い契約に思えます。
2023年で30才となるルイス・カスティーヨは、それと比較するとあまり良い条件とは言えないかもしれませんが、2024年に31才のシーズンとなることを前提にFAとなるよりは、今複数年でサインする方がより良い条件でサインすることになり、一概に悪い内容でもないと思います。
なお、AAVはホセ・ベリオスが$18.7Mなのに対し、ルイス・カスティーヨは5年/$108Mで$21.6Mです。さらに、2028年のオプションを$25Mで行使した場合は、6年/$133Mですから、AAVは$22.17Mまで上がることになります。
筆者が思うに野球選手は怪我がつきものゆえ、AAVで$30Mを超えるような契約の選手は高額と引き換えにかなり厳しい立場に追い込まれがちで、さすがに仕事としてしんどそうに思います。
夢はあった方が良いとは言え、多くて$20M、ベストは$15Mくらい、需要を考えれば、$7-8Mくらいで野球選手としてはかなりの幸福感を味わえるのではないか?などと考えています。
そんなにもらったことがない人間が何を言っているのか?という話でもあるのですが。
カスティーヨ「最高の気分だ」
なお、カスティーヨ本人はこの延長契約に関して、「最高の気分です 。野球選手なら誰しもが、このような夢を実現させたいと思うものです。マリナーズでこれを達成できたことを嬉しく思うし、私を良くしてくれた組織のみんなに感謝したい。」と満足しています。
マリナーズ、2026年まではコンテンダーを継続!
ルイス・カスティーヨの延長契約は、マリナーズにとって2021年11月にサインしたロビー・レイとの5年/$ 115M (2022-26)に次ぐ先発投手への大型投資。
マリナーズはこの二人だけで、少なくともこの後の2023年から2026年までの4シーズンはローテーションの中核を維持することが可能。
【マリナーズのローテーションの契約】(順番は便宜上のもの)
- ロビー・レイ:5年/$ 115M (2022-26) / 2024年終了後にオプトアウトはある。
- ルイス・カスティーヨ:5年/$108M (2023-27) + オプション
- ローガン・ギルバート:2021デビュー。FAは2027終了後
- ジョージ・カービー:2022年デビュー。
- マット・ブラッシュ:2022年デビュー。
- マルコ・ゴンザレス(LHP):4年/$30M (2021-24) +
- 2025 $15M クラブOpt(バイアウトなし)
- クリス・フレクセン:
- 2 年/$4.75M (2021-22)+ 2023クラブOpt $4Mから$8Mへ!(21-22併せて300IP達成!べスティング確定)
- ジャスティス・シェフィールド(Justus Sheffield/LHP): MLS 2.053(2022/Jan)。
- FAは2025年終了後
さらに、ドラフトで育成したローガン・ギルバートは、2027年シーズン終了までフリーエージェントとなる予定はなく、またマット・ブラッシュ、ジョージ・カービーは今季デビューなので、2028年終了までFAはなし!
契約期間が短めのマルコ・ゴンザレスも2024年まではキープ。2025年のクラブオプションがグンと上がる契約なので、これは状況を見て行使するかどうか決めるでしょう。
また今季、先発が良すぎてブルペンに回っているクリス・フレクセンは、2021-2022年の2年間で300 IPを達成。これが2023年にサラリーが$4Mから$9Mへジャンプするべスティングだったので、それを確定させました。
ルイス・カスティーヨのすごさ
In light of the news of the @Mariners extending Luis Castillo for 5 years, let’s watch his 7 consecutive strikeouts. #SeaUsRise
— Mikaela Mattes 🎙 (@mikaelamattes) September 24, 2022
pic.twitter.com/Fogodjb65X
現時点で29歳のルイス・カスティーヨは、レッズでMLBのキャリアをスタートさせ、先発投手としての地位を確立。
2017年のデビューから2021年まで、123試合に先発し、ERA3.72という投球成績を残しています。
グレート・アメリカン・ボール・パークはヒッター・フレンドリーの球場と言われており、StatcastとESPNはこのボールパークを高地で良く飛ぶことで有名なロッキーズのクアーズ・フィールドに次いでヒッター・フレンドリー・パークとして2位にランクしています。その中での成績です!
2022年のトレードデッドラインでマリナーズへ移籍。
マウンドで見せる立ち居振る舞い、雰囲気、球質、どれを取っても一級品の投手であることは間違いないですね。
ルイス・カスティーヨのこれからの投球に注目したいですね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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