マッド・バンがついに決着
現地2019年12月15日、ジャイアンツからFAのマディソン・バンガーナー(Madison Bumgarner) のディールが決定しました!アリゾナ・ダイヤモンドバックス(以下Dバックス)と5年$85Mで合意です。
2018年オフ、2019年春、2019年トレード・デッドラインと続いていたマディソン・バンガーナーの移籍話はようやくこれで決着がつきました。
契約内容
契約内容は現地2019年12月15日時点では以下の2点がわかっています。
- 5年/$85M (2020-24)
- このうち$15Mが繰延払い
1989年8月1日生まれのマディソン・バンガーナーは2019年の誕生日で30才となりました。開幕時点での年齢をそのシーズンの年齢とすると、今回の契約はバンガーナーが30才から35才までのシーズンの契約になります。
MLS 9以上で初FA
バンガーナーは2020年のMLSが9年を超える「9.127」の選手ですが、FAとなったのは今オフが初めて。というのも前回の契約を履行していたからです。
前回の契約
前回の契約は2012年4月にサインした2013年から2017年までの5年/$35M 。これに2018-19の2年間でそれぞれ$12Mのクラブオプションがついていて、ジャイアンツ側が2回とも行使しました。よってMLSが6年を過ぎた2017年終了後、その動向が注目されていたのですが、結局オプション行使通りにジャイアンツに残りました。
バンガーナーはQO拒否
2019年終了後、FAとなったバンガーナーはジャイアンツからのクオリファイング・オファーをもらうも拒否。そして今回のDバックスとのディールとなりました。
2020ドラフトとの関連
まず、マディソン・バンガーナーに出ていかれるジャイアンツは、COM Balance Round Bの後で1人指名できます。
そしてDバックスですが、QO拒否選手を獲得したということで、3巡目の指名権を失います。
マディソン・バンガーナーとは
あらためてマディソン・バンガーナーについて簡単に記しておきたいと思います。ドラフトは2007年ジャイアンツ1巡目指名(全体10位)。ちなみにこの年の全体1位はデービッド・プライス、2位はマイク・ムスターカス。
2009年デビューからジャイアンツで11シーズンを過ごしました。主なタイトル、受賞歴はご覧の通り
【マッド・バンの受賞歴及びスタッツ】
- 2008 ピッチャー・オブ・ザ・イヤー(マイナー)
- オールスター4度出場:2013-2016
- 2014 NLCS MVP
- 2014 ワールドシリーズ MVP
- シルバースラッガー賞2度受賞:2014 & 2015
- NL 完投数1位 (2015:4試合)
- 15 勝シーズン: 4度 (2012 & 2014-2016)
- 200 イニング達成: 7シーズン (2011-2016 & 2019)
- 30スタート以上:7シーズン(2011-16&2019)
- 200 奪三振: 4シーズン (2014-2016 & 2019)
- ワールドシリーズ制覇:3度(2010、2012 、2014)
とにかくタフな投手です。200イニングのシーズンと30スタートのシーズンが重なっているように、2011年から2016年の活躍は凄まじく、ジャイアンツが2010、2012、2014と偶数年にワールドシリーズ制覇した時期に活躍。特に2012年そして2014年のワールドシリーズ制覇に大きく貢献しました。
2014年WSヒーロー
2014年のジャイアンツはレギュラーシーズンではドジャースに敗れ、2位フィニッシュ。ワイルドカードでのポストシーズン進出でした。
ワイルドカードに登板したバンガーナーはパイレーツを相手に被安打4のシャットアウト勝ち。チームも8−0の圧勝でNLDSへ進出しました(NLWCスコア)。
PSで唯一揺れた瞬間
ナショナルズとのNLDSではGame3に登板。ダグ・フィスターとの投げあいで終盤まで無失点投球をするも、7回表に四球とエラーが絡んで3点を失い、これが決勝点に。ジャイアンツはバンガーナーで1敗を喫したものの、3勝1敗でナショナルズを下し、NLCSへ進出。
カージナルスとの対戦となったNLCS ではGame1とGame5の2試合に登板。いずれも8回まで登板して2勝を上げ、NLCS MVPを受賞。
WSでは打たれる気配なし
そしてロイヤルズとの戦いとなったワールドシリーズ(WS )ではGame1、Game5に先発。Game1は7イニングを投げて勝利投手。Game5はシャットアウト勝利。
そしてさらにすごかったのはGame7での登板。2−2のタイスコアのあと、ジャイアンツが4回表に1点を奪い、3−2と勝ち越しに成功。そして逃げ切るように5回裏からバンガーナーが登板。Game5から中2日しか空いていなかったにも関わらず、5イニングを無失点に抑え、ロイヤルズの反撃を封じたのでした。この時はまさに仁王立ち状態でしたね。
2017年のバンガーナー
ド派手な開幕戦
バンガーナーは2017年の開幕戦でも際立っていました。2017年4月2日、オープニングピッチャーとして登板。いみじくも対戦相手は今回のディール先となったDバックスでした。バンガーナーは7回を投げ、被安打3、失点3、奪三振11を奪う力投。
そして打っては2HRを放つ活躍。そのうちの1本はザック・グレインキからで、まさに一人舞台という形で開幕戦で派手に活躍したのでした。ところが、思わぬ事故が待ち構えていました。
ダートバイク事故で左肩を傷める
好事魔多しでしょうか。2017年4月24日のオフの日、バンガーナーは趣味のダートバイクで事故を起こし、左肩を強打する事故を起こしてしまいます。ダートバイクとは舗装されていない道を乗り回すモータースポーツですが、シーズン中によくこんなことをやっていたと思います。これにより約2ヶ月半の離脱を余儀なくされました。2017は4勝9敗、 17スタート、 111.0 IP、 ERA 3.32に終わりました。
不幸中の幸いは、過去7年間の肩肘の怪我ではなかったことです。
2018年はスプリングトレーニング最後の登板で指を骨折。6月5日がシーズンデビューとなり、 6勝7敗、21スタート、129.2 IP、ERA 3.26に終わりました。
2017年のバイクでの事故は余計でしたが、それでもこの2年間の離脱期間があったおかげで2011−16の7年間の疲れを取れたのかもわかりませんね。
そして2019年は復活の34スタート。207.2イニングに登板。チーム状態が悪かったため、9勝9敗、ERA 3.90に終わりましたが、十分に手応えのあるシーズンだったと思います。
ロビー・レイ次第でローテトップに
Dバックスは現時点で以下のローテーションが揃っています。
- ロビー・レイ(L): 12勝8敗
- マディソン・バンガーナー(L)
- メリル・ケリー:13勝14敗
- アレックス・ヤング(L):7勝5敗
- ルーク・ウィーバー:4勝3敗
- ザック・ギャレン: 2勝3敗
Dバックスは今オフ、ロビー・レイをトレードのカードに使う可能性もあることから、そうなるとバンガーナーがローテーションのトップになりそうです。
また2020年終了後、デービッド・ペラルタ、ニック・アーメッド、ロビー・レイ、ジェイク・ラム、ヤズマニ・トーマスがFAとなることも今オフのDバックスの補強に少なからず影響を与えそうです。
なおDバックスは2019ドラフトでは4巡目までに8名を獲得できましたから、プロスペクトの宝庫です。
とにかくマディソン・バンガーナーがバッティングが披露できるナ・リーグに移籍できたことでファンとしては嬉しい限りです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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