ジョン・レスターが引退を表明
現地2022年1月12日、ついに来たかという残念なニュースが入ってきました。
レッドソックス、アスレチックス、カブス、ナショナルズ、そしてカージナルスで通算16シーズンを過ごし、2021年にちょうど200勝をマークしたジョン・レスター(Jon Lester)が引退を表明しました。
このオフはカージナルスをFAとなり、キャリアの最後はフェンウェイで!と本人も語っていたので、レッドソックスへの再加入に一縷の望みを抱いていたのですが、引退ということになりました。
自分で決断したかった
ジョン・レスターは1984年1月7日生まれで、ちょうど38才の誕生日を迎えたところでした。
引退を決めた理由として、体力的に厳しくなってきた事実も上げています。レスターほどのテクニックを持ってしてもMLBは非常に厳しい戦場であることが伝わってきます。
また、最大の要因として他人から引退を宣告されるのではなく、自分でキャリアの終焉を決めたかったことも挙げています。
I don’t want someone else telling me I can’t do this anymore. I want to be able to hand my jersey over and say, ’thank you, it’s been fun.’ That’s probably the biggest deciding factor.”
Jon Lester
「他の誰かに君はもうこれ以上は無理だと言われたくなかった。私は自分でジャージを畳んで、『ありがとう、楽しかったよ』と言って終わりたかったんです。これが引退を決断した最大の要因です」
ジョン・レスターのキャリア
ジョン・レスターは2002年のアマチュア・ドラフトでレッドソックスから2巡目指名(全体順位57位)を受けてプロ入り。元々はワシントン州のタコマの出身でシアトル由来の選手。
シンデレラ・ボーイが現れた!
マイナーで4シーズンを過ごし、順調に成長して2006年6月にメジャーデビュー。このルーキー・イヤーの活躍ぶりは今考えても「ファンタスティック」の一言に尽きます。
デビュー戦はレンジャーズを相手に4.1イニングで被安打5、失点3で降板し勝ち星はつきませんでしたが、その後が素晴らしく、ブレーブス、ナショナルズ、メッツとちょうどインターリーグの時期にナ・リーグ東地区の競合を相手に3連勝を飾りました。
2006年8月23日のエンゼルス戦まで約2ヶ月半の間で15試合に先発し、7勝2敗をマーク。ERAは4.76。コツコツ打たれはするものの、テクニカルないい投手が出てきたと思ったものです。
ところが思いもかけないトラブルが待ち受けていました。
悪性リンパ腫を発症(ルーキーイヤー)
2006年8月に背中から腰にかけて痛みが発症したジョン・レスターは精密検査を受けることに。すると悪性リンパ腫の一種である「未分化大細胞リンパ腫」を患っていころが判明。せっかくの高ペースで積み上げた勝利もこれでシーズン・エンディングとなってしまいました。
レスターは化学療法の治療を受けることに専念。デビューイヤーは22才でしたから、若年でのリンパ腫は拡散も早くてすぐに手遅れとなり、最悪の結末を迎えるケースもあるため、化学療法で対処出来るステージで発見できたのは、考えようによってはラッキーだったかもしれません。
2007年ASG後に復帰
2007年、スプリング・トレーニングにも参加してきたレスターでしたが、体力的にかなり落ちていたことは明らかだったので、レッドソックスは無理をさせず、まずは体力回復を第一に掲げ、MLBへの復帰を支援。
ルーキーイヤーでの目をみはる活躍があったため、悪性リンパ腫が完治すれば大きな戦力になるということでトレードの噂も出ましたが、レッドソックスは出さなくて大正解でした。
2007年はオールスター後の7月23日にメジャーのマウンドに復帰。復活のシーズンは12試合の登板で先発が11試合、リリーフが1試合で4勝0敗、ERA 4.57という成績。
2007年のWSチャンプに貢献
2007年、ワールドシリーズに進出したレッドソックス。相手はコロラド・ロッキーズで松井稼頭央選手がいたシーズンですね。レッドソックスはロッキーズに3戦3勝し、迎えたGame4で先発したのがジョン・レスターでした。レスターは5.2イニングを投げ、被安打3のシャットアウト投球。後半、リリーバー陣が失点し、1点差まで追い上げられるも4-3のスコアで逃げ切り。ロッキーズをスイープし、チャンプとなったのでした。この時は松坂投手、ジョシュ・ベケット、ティム・ウェイクウィールドが投手の柱。SSはフリオ・ルーゴ、3Bはマイク・ローウェル。
4年連続で15勝以上
2008年、ようやくフルシーズンで投げることが出来るようになったレスターはたがが外れたように素晴らしい活躍を見せます。
2008年に16勝6敗。なお2008年5月19日にはロイヤルズを相手にノーヒット・ノーランを達成。
2009年に15勝8敗、2010年に19勝9敗、2011年に15勝9敗をマーク。2010年はサイ・ヤング賞投票4位。2011年にはオールスターにも出場。
2012年は負けが先行し、9勝14敗に終わったものの、2013年に15勝8敗、ERA3.75。
2013年のワールドシリーズ制覇にも貢献
そしてジョン・レスターはレッドソックスでもう一度ワールドシリーズに出場(2013年)。
レイズとのALDSで1勝。タイガースとのALCSでは0-1の僅差で負け投手となりましたが、カージナルスとのワールドシリーズではGame1とGame5に先発し、2戦2勝と圧倒的な安定感を誇りました。
2014年のTDLでアスレチックスへ
2014年は前半だけで10勝7敗、ERA 2.52だったものの、トレードデッドラインでヨエニス・セスペデスとのトレードでアスレチックスへ移籍しました。アスレチックスでも6勝4敗、ERA 2.35をマーク。このシーズンは16勝11敗で、ERAは2.46。ここまでのキャリアで最高の品質を見せていた時に出て行ったのは残念というしかありませんでした。
カブスでも輝く!
ジョン・レスターは2014年オフにFAとしてカブスとサイン。6年/$155M(2015-2020)+2021年が$25Mのミューチュアルオプションというラグジュアリー契約でした。
カブスにはレッドソックス時代にGMを務めていたエオ・エプスタインがいました。
2016年、ジョン・レスターは輝きました。19勝5敗、ERA 2.44。カブスの地区優勝に大きく貢献し、サイ・ヤング賞投票では2位に。
ポストシーズンでは、ドジャースとのNLCSで2試合に登板し、ERAは1.38でNLCS MVPに輝きました。
そしてインディアンスとのワールドシリーズでは、Game1とGame5の2試合に先発し、1勝1敗。Game7では中2日で5回から8回までの3イニングに登板し、1失点の好投。レスターの3イニングは大きかったですね。この好投もカブスのワールドシリーズ制覇に大きく貢献しました。
レッドソックスは2004年にワールドシリーズチャンプとなり、すでに「呪い」は解いていましが、2007年のワールドシリーズ制覇にレスターも貢献。さらにカブスでも108年ぶりのワールドシリーズ制覇と、それぞれ忌まわしいジンクスがつきまとっていたクラブでWSチャンプの一員であったことはすごいことですね。
そんなレスターは2021シーズン、ナショナルズとカージナルスで28試合に先発し、7勝6敗、ERA4.71。これがファイナルイヤーの成績となりました。
ボールを動かし、200勝
ジョン・レスターは2008-2009シーズン近辺は、MAXで98mphをマーク、アベレージでも93-94mphのファストボールを投げていましたが、2021年のアベレージは89mphを切るところまで球速は低下していました。
カットボールを得意とし、ボールを動かしてゴロを打たせるスタイルは、0封こそすくなかったものの、非常に安定した投球でした。
キャリア16シーズンで悪性リンパ腫も乗り越え200勝です。お疲れ様でしたと敬意を表したいと思います。
打撃もよかった
なお、蛇足ながらジョン・レスターは打撃もよく、16シーズンで4HR(ナ・リーグでの7年)を放っています。
お読みいただき、ありがとうございました。
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