インディアンスもドラスティック
現地2020年10月30日のインディアンス情報のまとめです。ワールドシリーズが終了し、28日をピークに契約上、2021年のクラブオプションをどうするか結論をつけました。
通常のシーズンであればもう1年行使するであろうという選手もこのオフは容赦なしという傾向です。
各クラブの財務諸表を見たいところですが、ほとんがパブリック(公開)企業でないため、経営状態がつかみづらく、入場料収入がなくなったことがどれほど経営にインパクトを与えているのかを正確に知ることは難しいです。今、読めたとしても米国は1月の会計スタートゆえ、2Q(第2四半期)の速報値、早くて3Q(第三四半期)の速報値しか見えませんが、シーズン中の状況を見るにはこの期間でも類推できますね。
インディアンスの契約状況
なぜそんなことを書くかというと、ついついイメージで経営状況は芳しくないと判断してしまいがちですが、やはりきちんとした数字を見ないことには実態を見落としてしまうからです。
さて、クラブの名称が変わるかもしれないインディアンスですが、クラブオプション行使に関しても思い切りました。
該当選手の契約
当ブログ内のFA選手一覧の記事からインディアンスの契約状況を引用します。
- 【FAではない】フランシスコ・リンドーア(27)/SS/RS
- 1年/$17.5M (2020)
- 2021年はまだ調停だが、動く可能性はあるので記載。
- カルロス・サンタナ(35)/1B/RS
- 3 年/$60M (2018-20)+2021 クラブOpt($0.5Mバイアウト)→オプション行使せず→FAに
- ブラッド・ハンド(31)/ LHP/ LL
- 3年/$19.75M (2018-20) + 2021 $10MクラブOpt ($1Mバイアウト)→オプション行使せず→マイナーへアウトライト→10/30 FA
- ロベルト・ペレス(32)/C/RR
- 4 年/$9M (2017-20)+2021: クラブOpt $5.5M/$0.45バイアウト-2022:クラブopt $7M/$0.45バイアウト →2021オプション行使!
- オリバー・ペレス(39)/ LHP/ LL
- 1年/$2.5M (2019) + 2020 $2.75MクラブOpt (済)→10/28 FA
- セイザー・ヘルナンデス(31)/2B/ RS
- 1年/$6.25M (2020)→10/28 FA
- サンディー・レオン(32)/C/RS
- 1年/$2M (2020)→10/28 FA
- ドミンゴ・サンタナ (28)/ RF/ RR
- 1年/$1.5M (2020) + 2021 $5M クラブOpt ($0.25Mバイアウト)→オプション行使せず。
GG賞捕手、ロベルト・ペレスだけオプション行使
インディアンスは捕手のロベルト・ペレス(Roberto Pérez)のオプションだけを行使。ロベルト・ペレスは2019シーズン、ローリングス・ゴールドグラブ賞、2019ウィルソン・ディフェンシブ・アウォードの捕手部門をダブルで受賞。
ウィルソンのアウォードはより数字を重視した賞でなおかつ両リーグから1ポジションに1名しか選ばれないため、非常に高く評価された捕手ということが言えますね。
メジャー7シーズン、12月の誕生日で32才となるロベルト・ペレスはプエルトリコ出身。いみじくもヤディアー・モリーナと出身国は同じですね。
ペレス、2020年はローテーターカフを傷める
ロベルト・ペレスは2020シーズン、60試合中32試合の出場にとどまりました。打率.165、OBP .264、SLG .216、HR 1、RBI 5と打撃の方はかなり厳しい数字。ただ、CS%(盗塁阻止率)は71%と嘘のような数字を残しています。リーグ平均は26%。
この高いCS%からも言えることは出場試合数が少なかったということがわかりますね。実はロベルト・ペレスは右肩を傷めていました。肩痛と言えばやはりローテーターカフですが、そのどの部分かは定かではないものの、非常に厄介なところを傷めています。また、10月1日にはヤンキースのジョナサン・ロアイシガから右手首にデッドボールを受けるなど、利き腕に苦労したシーズンでもありました。
このローテーターカフ痛がどれだけよくなるのか?手術等にならないことを祈るばかりですが、契約ではオプションを行使したと言っても格安です。GG賞受賞捕手が$5.5M。ちなみに2020年のサラリーはフルアマウントで$3.5M。日割りの37%に直すと、受取額は$1.3Mです。また、2022年のクラブオプションがついており、この時は$7M、$0.45Mバイアウトがついています。いずれにせよ、ナ・リーグを代表するフィリーズのJ.T. リアルミュートは2020シーズンは1年/$10M でしたから、格安です。
ロベルト・ペレスは初FAでQOをもらう資格はあったのですが、インディアンスは提示しませんでした。
C・サンタナ、B・ハンド、O・ペレスはFAに
カルロス・サンタナの2020
厳しい契約更新状況で驚いたのはカルロス・サンタナの更新です。FAとなっていしまいました。34才のベテランで、2019シーズンはシルバースラッガー賞も受賞していたのですが、更新されませんでした。
今季は60試合にフル出場するも、打率 .199、 HR 8と苦しんだのがオプション行使に至らなかった材料を与えてしまった感があります。2021年のオプションは$17.5M、$0.5Mバイアウトという高額もネックになった模様です。
2019シーズンのお話ですが、このような活躍もありました。
B・ハンドは一旦マイナーへ
そしてさらに衝撃的でだったのがクローザーのブラッド・ハンドをマイナーへアウトライトしたことでした。当然、ブラッド・ハンドは拒否。FAとなっています。
ブラッド・ハンドは2021年は31才のシーズンを迎えますが、2018年途中からインディアンスのクローザーとして活躍。2019年は34SV、2020年は16SVを上げていました。この投手を一旦、マイナーへアウトライトというのは実に驚いた次第です。ブラッド・ハンドは肩肘の疲労の蓄積の心配はありますが、FA市場では評価されそうです。
39才のオリバー・ペレスもFA
ゲーム終盤にいぶし銀の活躍を見せていた39才の左腕、オリバー・ペレスもFAとなってしまいました。鉄腕は今季も21試合に出場。ERAは2.00でした。惜しいですね。
以上の3名はFAですからもちろんインディアンスとの再契約もあります。
残る戦力を計算しての上
2016年、カブスとのワールドシリーズに敗戦したインディアンスですが、同年以降は過去5年で4度もポストシーズンに進出。
しかも2018年オフにはすさまじいリビルドを実行。中心打者4名を失いました。総打点314の喪失。
しかし、インディアンスは2019年はポストシーズンを逃したものの、2位に入る健闘。そして2020シーズンはポストシーズンに進出を決めました。
リビルドしながら勝つ究極のオペレーション
インディアンスはいわばリビルド中にもかかわらず、優勝争いに絡んでくるといういわば奇跡的なオペレーションを展開。強いままです。
それを実現しているのはシェーン・ビーバーをはじめ若手の投手が育っていること。ブラッド・ハンドを出したのもジェームズ・カリンチャックが成長したことを見届けたからでしょう。
そしてカルロス・サンタナがいなくなりましたが、まだホセ・ラミレスがおります。さらに2020年は苦しんだものの、怪物クラスのフランミル・レイエスが中心に座ることも思い切ったリストラの背景にある根拠でしょう。
そして、調停ファイナルイヤーのフランシスコ・リンドーアをどうするか?ここはカードとしてこのオフは色々と交渉をしかけそうです。
また、上記の通り肩の怪我は心配ではありますが、ロベルト・ペレスがいれば守りはかなり引き締まるという確信もあるのでしょうね。
インディアンス、特にフランシスコ・リンドーアの動きに注目ですね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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