ハーパー、4週間はDH限定へ
西海岸への遠征を行っているフィリーズは現地2022年5月12日からナ・リーグの強敵、ドジャースと対戦。このカードは4ゲームシリーズです。
そのGame1で3番DHで出場したブライス・ハーパーは1回表に先制のソロHRを放つなど、4打数2安打、3RBIと活躍。エース、ザック・ウィーラーの登板日にしっかりと勝利をもぎ取ることに成功しました。
そのブライス・ハーパーは4月半ばから右肘を傷めていましたが、現地2022年5月13日、その詳細とともにリカバリー・プランも公表されました。ブライス・ハーパーは大方の予想通り、右肘のUCL (Ulnar Collateral Ligament)、尺骨側副靭帯を傷めていたことが明らかになりました。
’small tear’ わずかに損傷
ブライス・ハーパーの症状ですが、まだ軽い方です。英語の表記では、”small tear”。これを日本語に訳すと、「軽度の損傷」というところでしょうか。もしも断裂なら、”tear”のみですし、部分断裂なら”pertial tear”というような言い方をしますが、そうではないということは、UCLを軽度に損傷しているというふうに見て良さそうです。
PRP療法で
UCLはトミージョン手術を行う箇所です。断裂なら即座にそうなりますが、ハーパーの場合は、PRP(Platelet-Rich Plasma)で治療することが決まりました。PRP療法とは本人の血液から抽出した「多血小板血漿(PRP)」を、実施部位に注射する再生医療のこと。ただ、これは合う、合わないというのがあって、おそらくですが、断裂などダメージが大きいと合わない、損傷が小さければ合う、そんな傾向があるようです。ハーパーの場合、効果があるのではないか?と思います。
なお、ハーパーは現地2022年5月14日、PRPの治療を行う予定で、翌週も数試合欠場します。
追記:15日に治療
ハーパーの治療日ですが、現地15日(日)に行うことが決定。現地20日(木)、地元フィラデルフィアで行われるドジャース戦から復帰する予定となっています。ということは、ドジャー・スタジアムで行われるドジャースとの4ゲームシリーズのGame4及び次のサンディエゴで行われるパドレスとの3ゲームシリーズはフィリーズはハーパー不在で戦うということに。現地2022年5月14日のゲームでもフィリーズはハーパーの活躍で快勝。チームの調子が上がっているところゆえ、ちょっともったいないですが、致し方ありません。
トミージョン手術は野手でも1年くらいの見込み
なお、もしもトミージョン手術をすれば野手の場合、投手ほどかからないと言われています。投手なら、やはり余裕をもたせれば1年半(18ヶ月)くらいかかります。野手だとディディ・グレゴリアスは7ヶ月ほどで復帰しましたが、ちょっと痛々しかったです。
現レンジャーズのコーリー・シーガーは2018年4月下旬にトミージョン手術を行い、2019年の開幕から出場。スプリング・トレーニングから稼働していましたから、1年未満の10ヶ月ほどで復帰しています。ただ、2019年の序盤はかなり守備機会に気を使った出場にはなりました。
捕手ではサルバドール・ペレスが2019年3月初旬に手術。サルバドール・ペレスの場合、2020シーズンが7月下旬の開幕となったため、リハビリ期間は1年以上ありました。捕手としての復帰は2020年の開幕戦の7月24日からでした。
大型契約ゆえ
このように野手のトミージョン手術は投手ほど復帰に時間がかからないものの、今ブライス・ハーパーが手術を行えば、2022年の残り試合の全休は決定。クラブの顔としてそれは許されないというのもあります。なんと言っても13年/$330Mの契約で、打撃は可能という状態なのですから。
強肩のハーパーゆえ、可能なら根本治療を行ってもらいたいというのもあるのですが。
肘を傷めた瞬間
ブライス・ハーパーが肘を傷めたのは2022年4月11日のメッツ戦。アレック・ボームが色々とやらかしつつも、メッツから劇的勝利を勝ち取ったあの試合です。
7回表、ランナー2塁の状況でフランシスコ・リンドーアがRFのハーパーのところへ強烈なシングルヒット。その際のホーム送球が原因です。
ホームへの送球は素晴らしかったものの、直後にハーパーは右肘を抑える仕草をしました。
この試合から数試合は様子見をしていましたが、現地4月16日のマイアミ戦を最後にハーパーはRFの守備にはついておりません。
ハーパー、DH専任後は好調
なお、4月17日以降はDHでの出場が続いているハーパー。今季、ナ・リーグがユニバーサルDHを敷いて本当に良かったと思います。
ハーパーのDH起用は、フィリーズとしてはベストではないが、欠場よりはよほどいいというところでしょうか?本当は、ニック・カステヤーノスやカイル・シュワーバーをその枠で使えれば、さらに攻撃のバリエーションも上がるところではありました。これも1ヶ月ほどの辛抱です。
なお、ハーパーはDHで出場し始めた4月17日以降、打撃は好調です。
91-29で、打率.319、OBP .340、SLG .626、OPS .967。二塁打は8、HRは6、RBIは15。打者は暖かくなると調子が上がってくるので、その時期とマッチしているという要素もあるとは思います。
フィリーズ、6月上旬まで試練のカードが継続
ハーパーが休めない事情とも絡むのですが、フィリーズはこれから約1ヶ月間、試練のカードが続きます。ここで崩れるようなことがあれば、今季はポストシーズンが危なくなるというかなり厳しい1ヶ月となります。
- 5/12-5/15 vs ドジャース (@ドジャー・スタジアム)
- 5/17-5/19 vs パドレス (@シチズンズ・バンク・パーク)
- 5/20-5/22 vs ドジャース (@ シチズンズ・バンク・パーク)
- 5/23-5/26 vs ブレーブス (@ トゥルーイスト・パーク)
- 5/27-29 vs メッツ (@ シティ・フィールド)
- 5/30-6/1 vs ジャイアンツ (@ シチズンズ・バンク・パーク)
- 6/3-5 vs エンゼルス (@ シチズンズ・バンク・パーク)
- 6/7-9 vs ブルワーズ (@ アメリカン・ファミリー・フィールド)
ご覧のように、NLウェストのトップ3をはじめ、同地区ライバルのブレーブス、メッツ、さらには今季は一味違うALウェストのエンゼルス、そしてNLセントラルの首位を走るブルワーズと強豪ばかりが相手の1ヶ月となります。
ハーパーの力が必要ですね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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