2020年の良い話のうちの1つへ
現地2020年12月15日、コロラド・ロッキーズは今季復活を果たしたダニエル・バード(Daniel Bard )と調停を避けてサインしました。
2020年はショートシーズンとなり、メジャー・リーグにとって苦難の年となりましたが、その中であり得ないことを果たしたダニエル・バードとロッキーズに拍手を送りたい気分です!
相場より高い額でサイン
ダニエル・バードとロッキーズは1年$2.95M(2021)でサイン。プロジェクティッド・サラリー(見込まれるサラリー額)が$1.2Mから$2.2Mのレンジ(範囲)と言われていましたが、蓋を開ければそれを大幅に上回る$2.95Mという額でサイン。
2020年のサラリーはメジャー最低年俸でしたから、大幅増となりました。ちなみに2020年のメジャー最低年俸はフルアマウントで$0.563M。そこからプロレーティッド(日割り)で60試合分に減額されるということになりましたから、$0.208704M。日本円でざっと2100万円というところでした。
7年の時を経て調停のステータス
ダニエル・バードは2013年4月27日を最後にMLBのマウンドから遠ざかり、2020年、実に7年超の時を経てメジャー復活を果たしました。
デビューした2009年から2013年までレッドソックスでトータルで5シーズンを過ごしましたが、稼働したシーズンは2010年から2011年の2シーズンのみ。2009年、2012年、2013年はロスターから外れていた時期がありました。正確な数字はわかりませんが、2013年の最後の登板を果たした時点でMLSが3を超えたところだったはずです(3.103か?)。
そして2020年はMLSに1が加わり、2021年1月時点でMLSが4.103の予定に。よって、調停のステータスなので、上記のようなお話が出たというところでした。
イップスの選手に勇気を与えたダニエル・バード
ダニエル・バードは1985年6月25日生まれの35才。2021シーズン途中で36才になります。2006年アマチュアドラフトでレッドソックスから1巡目指名を受けてプロ入り。全体順位28位。
2009年、24才の時にメジャーデビューし、デビュー・イヤーから49試合に登板。SO9は11.5を記録。
圧巻だった2011シーズン
圧巻だったのはデビュー2年目の2010シーズン。73試合に登板して、74.2イニングを投げ、ERAがなんと1.93。
翌2011シーズンにも70試合登板を果たしました。
メジャー屈指のリリーバーとしてキャリアを積んでいたところだったのですが、ところが思わぬ落とし穴が。
1.2IPで6BB、0.1 IPで3BB
2012年はスターターに転向。10試合で先発登板を果たしましたが、シーズン途中からリリーフに戻り、トータルで17試合で5勝6敗、ERAが6.22という数字に。
ERAが悪化したのは59.1イニングを投げて43を数えたBB(与四球)の数。コントロールに非常に苦しみました。
例えば、2012年4月16日のレイズ戦で、6.2イニングを投げBBが7を計上。この時はまだその兆候が出始めたくらいのレベルでした。実際、その後の2試合ほどは落ち着いた登板に。しかし、5月に入り登板ごとに4BB、5BBというのが続きました。
そして決定的となったのが2012年6月3日のブルージェイズ戦。先発して1.2イニングで6BBを出し、HRも1本打たれ5失点で降板(BOX SCORE)。このゲーム後、一旦ロスターから外れ、調整に入りました。
シーズン後半はリリーバーとして復帰。復帰当初は落ち着いていたのですが、9月19日のレイズ戦で0.1イニングで3BB 。ついにリリーバーとしても自信をなくし、イップスが顕在化したのでした。
2020年、メンタルコーチからマイナー契約へ
完全にイップスを自覚したダニエル・バードは2013年からマイナーをあるき続けました。2013年は9月にレッドソックスをDFA、カブスがウェーバーでクレームしたものの、シーズン終了後にノンテンダーFAに。
2014年はレンジャーズとマイナー契約、2015年はカブスとマイナー契約、2016年はパイレーツとマイナー契約。2017年はメッツとマイナー契約。しかしいずれもメジャーのマウンドに上がることはありませんでした。
その後、自身の経験を踏まえてDバックスでメンタルスキル・コーチとして活動。イップスの選手をケアしてきました。
結局、ダニエル・バードの場合、時薬(ときぐすり)を服用するしか方法はなかったようです。復活の手応えを掴み、2020年2月にロッキーズとマイナー契約。
復活のマウンドへ
そして7年の時を経て、2020年は7月の開幕からロスター入り。7月25日に見事にメジャー復帰を果たしたのでした。
今季はCOVID-19による遅延もあり、メンタル的にも厳しい条件の中、見事にそれをはねのけて復活し、23試合で24.2イニングに登板。4勝2敗、ERA3.65。BBもたったの10しかありませんでした。
2020年の中でも最高に良いお話の1つとなりました。
カムバック賞
プレーヤーズ・チョイスでもカムバック賞を受賞。
さらに、現地2020年12月10日に発表されたカムバック・プレーヤー・オブ・ザ・イヤーにも選出。
今回の調停を避けた契約など、とても素晴らしい年にしたダニエル・バード。
来季も期待したいと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
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