契約用語をまとめてみました
改めて契約用語をまとめておきたいと思います。これを見ればいいというのを1記事作成しておく方がいいと思いまして、前記事と重なるところもありますが、少し詳しく書いてみます。
Option オプション(選択権)とは:
契約年が終了した後、来季の契約をどうするかを決める権利のこと。それを選手側かクラブ側かのどちらかが持つことをいいます。使い方は以下の通りです。
Player Option:
契約年が終了した後、選手側に更新するかどうか決める選択権があること(よほどの選手でないと結べない契約です)。
Club Option:
契約年が終了した後、クラブ側に更新するかどうか決める選択権があること。ほとんどがこれです。
(例)クリス・セールは今年、2013年にCWSと結んだ5年契約の最終年で、BOSは2017年に獲得した時にその契約も引き継いでいて、5年めはクラブ側に選択権があった。
今回、BOSはセールを引き止めました。その金額は2019シーズンに1,500万ドルで100万ドルのバイアウト(バイアウトは後述)という条件。もし2018年にサイ・ヤングを獲れば2019年は250万ドルプラス、2位もしくは3位なら150万ドルがプラスされます。サイ・ヤング賞のボーナスは2013年から2018年の期間でのことなのですが、2014年と2017年に2位となり、それはその翌年のサラリーにすでに反映されています。 2019年はあと最大250万ドル伸びる、つまり1750万ドルになる可能性はありますが、これは難しそうなので1,500万ドルで落ち着きそうです。
契約の引き継ぎやトレードでプロスペクトを出したりすると複雑です。中には移籍前のチームがいろいろな条件でそのまま年俸の幾分かも払うこともあり、かなり個別の案件対応ということになります。クリス・セールもBOSが全額引き継いでいるのかどうかは定かではないです。そこまではわかりませんでした。
Mutual Option (ミューチュアル・オプション):双方相談して決める。
中身は後日に詳細を。すみません。
(例)
2013年1月、ナッツとアダム・ラローシュとの契約が2年か3年でもめていて、結局、2年2400万ドル、3年目はミューチュアル・オプションということに。3年目は双方の同意が必要で、クラブ側がノーと言えば、3年めの契約はなし。
- 2013年は1000万ドル
- 2014年は1200万ドル
- 3年めは0→ただし、契約解除でバイアウトとなった場合は200万ドル→結局、CWSへ移籍となりました。
Vesting Option (ベスティング・オプション):
Vestとはそもそも動詞で「〔権限などを〕与える」とか「授与する」、「授ける」という意味。Vesting Optionを日本語訳するなら「権利確定オプション」(でいいと思います)。Vestedという言い方の時もありますが、主語次第なのでVestingでもVestedでも同じ意味と考えていただいていいと思います。
これは予め特定しておいた年の成績が、特定の数字を達成した時にお金や契約年数延長などが保証される権利のことで、たとえば、投手ならイニング数、打者なら打席数などが該当年にクリアーされれば、契約終了の翌年以降どうなるのかが確定する、そういうオプションです。
数字によって確定されるので割とフェアなオプションとも言えます。終了年の翌年どうするかというのは契約の締結時に予め決められ、この内容は様々です。だいたいは最終年の翌年もXXドルで更新という設定です。
(例)サンティアゴ・カシーヤはSFGと2015年が最終年となる3年契約を結んでいた。その最終年の2015年に「55試合登板すれば、2016年も契約できる」というVesting Optionを結んでいた。 カシージャはその年55試合ぴったりに登板。2016年の契約を更新した。
そのほかにもこれは架空ですが、5年契約の3年めに50試合登板、4年めに45試合登板、5年めも45試合に登板すれば、翌年もXXドルで1年契約できるなどというケースもあります。
英文に出てくる時の話ですが、この「特定の数字」のことをインセンティブ(Incentive)と表現することが多いです。インセンティブと聞くと「がんばっただけもらえる出来高」ということで「お金」という意味合いにピンと来る方が多いと思います。もちろんインセンティブには「がんばったたけもらえる報奨金」という意味もあるのですが、出来高の「出来」にあたる「成績」や「数字」の意味合いで使われることもあり、この場合はそれに当たります。
蛇足の蛇足みたいな話ですが、衣類のチョッキ(古い言い方)のベストはこのVestの別の意味の「〜に服を着せる」の名詞形です。
Opt Out (オプトアウト):
長期契約で囲われた(言い方が雑ですが)選手側に途中解除という選択権があること。極マレに超一流のみが勝ち取る契約。
選手にとっては長期契約であればあるほどありがたい話ではありますが、長期であるがゆえに、金額面が固定されてしまって活躍以下のサラリーとなった場合、選手にとってはあまりうれしくない状態であると言えます。
あるいは例えばワールドシリーズで勝てるクラブに行きたいとなった場合、長期契約という縛りがあるがゆえに移籍が困難となったりするようなケースがあります。
よって選手側の視点で長期契約を一旦見直すことが出来る条項をオプトアウト条項といいます。結べるのは一流選手に限られます。
選手側のメリットばかりでもなく、クラブ側にとっても選手とそういった契約を結んだ実績があれば、他のFA選手を誘いやすいという面もありますし、何より目の前のシーズンの戦力補強として選手を誘いたい場合、これがあることで有利に囲い込むこともできます。
田中将大投手、カーショウなどがオプトアウト条項が含まれています。よっていつ見直して、出る場合はどういった条件で出るか、あるいは残る場合はいつまでどのくらいの金額で出るかといった内容が含まれています。
Buy Out (バイアウト):
解約金のことです。クラブ側の考えで選手と契約しない場合に支払われる。契約締結時に予め設定されます。
Mutualはもう少し噛み砕いてから再度UPさせていただきます。すみません。
お読みいただき、ありがとうございました。
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