ケイオス(Chaos)の可能性
現地2021年10月2日、MLB各クラブは161試合目を消化しました。これで2021シーズンも残り1試合に。最終戦である162試合目を前に、確定していないのは以下の2つ。
- ア・リーグのワイルドカード2枠
- ナ・リーグ西地区の地区優勝
ここで162試合目で決しない場合のシナリオについて見てみたいとおもいます。まずは大原則から。
162試合で決まらい場合のルール
【1】原則、勝率が並べば、163試合目で雌雄を決する
まず、大原則なのですが、とにかく決着をつけたがるのがメジャーリーグなので、勝率が並んだ場合は163試合目で雌雄を決します。
直近では2018シーズンにナ・リーグで行われました。
【2】ホームフィールド・アドバンテージでどちらがホームが決する
163試合目の決戦となった場合、どちらがホームになるか?というホームフィールド・アドバンテージを決する方法がこちら。1で決まらなければ、2へというふうに進み、最終的に5つのフィルターまで用意されています。
1.直接対決の勝率(Head to Head)
まずは直接対決の勝率を比較し、勝率の高い方に決定。比較対象が複数ある場合は、それぞれの直接対決を総計する。これにより決しない場合は2へ。
2. 同地区内の勝率の比較 (Intra division)
対象のクラブが所属しているディビジョン内での勝率を比較します。たとえばレッドソックスなら、ALイーストの他の4クラブとの対戦成績の合計を計算。もし、マリナーズと競っていたとしたら、マリナーズがAL西地区の他の4クラブとどのような成績で戦ってきたかを総計。その勝率を比較します。勝率の高い方に決定。
3.同リーグ内の勝率の比較 (Intra league)
それでも決しない場合は、今度は同リーグで対戦してきた勝敗を総計して比較。勝率の高い方に決定。
4. 後半戦の同リーグ内の勝率の比較 (intra league last 71)
3でも決しない場合は、オールスターゲーム後の後半戦の同リーグ内の対戦成績の高い方が勝者に。今季のオールスターは現地2021年7月13日に行われましたが、スケジュール上、オールスター前までで89試合、もしくは90試合を消化。オールスター後に71試合、もしくは72試合が組まれています。そのようにややばらつきがありますので、直近71試合で、同リーグ内での勝率の高い方が勝者ということに。
5. 後半戦の同リーグ内の勝率の比較 +1 (intra league last 71+1)
4.でも決しない場合は、もう1試合同リーグ内のゲームをプラスして直近72試合の同リーグ内の勝率で比較。
NL西地区のシナリオ
まず、シンプルな方から見て行きます。ナ・リーグ西地区は現地2021年10月2日、マジック1となっていたジャイアンツが、デーゲームで延長の末、パドレスに2-3で敗れました。これにより、ナイトゲームで予定されていたドジャースが負ければ、地区優勝ということだったのですが、ドジャースが8-3でブルワーズに勝利。これにより、勝敗はご覧の通りに。
【ナ・リーグ西地区の順位】
- ジャイアンツ:106−55
- ドジャース:105-56
シナリオ1 SFGが勝利/LADが敗戦
もしも、ジャイアンツが勝利したならそれで地区優勝が決定。また、ジャイアンツが敗れても、ドジャースが敗れれば、ジャイアンツの地区優勝が決まります。
シナリオ2 勝率が並んだ場合
もしも、ジャイアンツが敗れ、ドジャースが勝利した場合、勝敗数が並びますので、163試合目を現地4日(月)に行います。
163試合目、ホームはSFG
その場合、シーズン中の直接対決の成績は、10勝9敗でジャイアンツが上回っていますので、オラクル・パーク(SFG)で行うことに。そして勝者が、ナ・リーグ西地区のチャンピオンに。敗者は、カージナルスとのワイルドカードに臨みます。その場合、勝率でNL西地区の2位が圧倒しているので、そちらのホームで行うことに。
ALワイルドカードのシナリオ
ではア・リーグのワイルドカードの状況です。161試合を終え、ご覧のような状況になりました。この日、ヤンキースはレイズに大敗。レッドソックスはナショナルズに逆転勝ち、マリナーズもエンゼルスに逆転勝ち。ブルージェイズはオリオールズに大勝。
【161試合終了後のALワイルドカード順位】
- 1. レッドソックス: 91-70
- 1. ヤンキース: 91-70
- 3. マリナーズ: 90-71 (WC枠へゲーム差1.0)
- 3. ブルージェイズ: 90-71 (WC枠へゲーム差1.0)
【シナリオ1】91勝のクラブがともに勝利
まず、91勝のレッドソックスとヤンキースが162試合目にともに勝利すれば、たとえ90勝のマリナーズ、ブルージェイズが勝っても追いつかないことから、両クラブがWC枠決定。直接対決では10勝9敗でレッドソックスが上回っているので、フェンウェイパークでのワイルドカードへ。
90勝の2クラブは他力の要素が入っているということになります。
【シナリオ2】4クラブすべての勝率が並んだ場合
91勝の2クラブがともに負け、90勝の2クラブがともに勝利した場合、4クラブともに91-71で並びます。その場合、163試合目を行います。そして163試合目に勝った方がALワイルドカードへ進むことに。
その場合、どういう組み合わせになるか?は、まず上記の通り、直接対決の総計で決します。
4クラブの直接対決の成績
直接対決の状況はこちら。これで優劣がつきます。
BOS | NYY | SEA | TOR | 計 | 勝率 | 勝率順位 | |
BOS | – | 10-9 | 4-3 | 10-9 | 24-21 | .533 | 1 = A |
NYY | 9-10 | – | 5-2 | 8-11 | 22-23 | .489 | 3 = C |
SEA | 3-4 | 2-5 | – | 4-2 | 9-11 | .450 | 4 = D |
TOR | 9-10 | 11-8 | 2-4 | – | 22-22 | .500 | 2 = B |
- 勝率1位のレッドソックスと2位のブルージェイズがホームに。
- 3位のヤンキースは、レッドソックスかブルージェイズのどちからを選べるということに。
- 4位のマリナーズはその残りと対戦
- それぞれのゲームで勝利した方がワイルドカードに進むことに。
勝率3位のヤンキースがどちらかを選ぶというのはにわかには信じられなくて、複数のソースを確認したのですが、これで正しいです。ALDS方式なら、1vs 4、2vs3なのでその頭でいたのですが、違うようです。
【シナリオ3】3クラブが同率で並んだ場合
これは90勝のマリナーズ、ブルージェイズのどちらかだけが162試合目に勝ち、どちらかが負けるケース。負けた方はそこで敗退。
勝った方は、レッドソックス、ヤンキースとともに3クラブで決戦を行い、そのうち、1クラブは164試合目まで行います。
- 163試合目:クラブA(ホーム)vs クラブB→勝者がAL WC1枠目へ
- 164試合目:クラブAvsBの敗者 vs クラブCが対決→勝者がAL WC 2枠目へ
- この場合、5日開催のワイルドカードのゲームが6日にずれ込みます。
- 【マリナーズが勝った場合】上記の直接対決1位のレッドソックス、ヤンキース、そしてマリナーズの順に、A、B、Cのいずれかを選ぶ.。
- 【ブルージェイズが勝った場合】上記の直接対決1位のレッドソックス、ブルージェイズ、ヤンキースの順に、A、B、Cのいずれかを選ぶ。
【シナリオ4】WC2枠目を3クラブで争う場合
これは91勝のレッドソックス、ヤンキースのうち、1クラブのみが勝利。さらに、90勝のマリナーズ、ブルージェイズがともに勝利したケース。
- レッドソックス、ヤンキースのどちらか勝った方がAL WC の1枠目に。
- レッドソックス、ヤンキースのどちらか負けた方とマリナーズ、ブルージェイズで決戦。
(2枠目の争い)
- 163試合目:クラブA(ホーム) vs クラブBで対決
- 164試合目:クラブAvsBの勝者(ホーム) vs クラブCと対決→勝者がAL WC 2枠目へ
- この場合、5日開催のワイルドカードのゲームが6日にずれ込みます。
- 【レッドソックスが負けた場合】上記の直接対決1位のレッドソックス、マリナーズ、ブルージェイズの順に、A、B、Cのいずれかを選ぶ。
- 【ヤンキースが負けた場合】上記の直接対決の順に、ブルージェイズ、ヤンキース、マリナーズの順に、A、B、Cのいずれかを選ぶ。
【シナリオ5】WC2枠目を2クラブで争う場合
この2クラブで163試合目を行い、勝者が5日のALワイルドカードの2枠目へ進みます。
お読みいただき、ありがとうございました。
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